ニュースレター(2026年1月2日)調整が入った年末年始相場と2025年貴金属市場の総括
正月休みであったことから遅れましたが、ニュースレターをお届けします。
週間市場ウォッチ
先週金曜日の弊社チャートの価格と前週のLBMA価格と比較して以下の通りです。

*金は午後3時の弊社チャート価格、銀は午後12時、プラチナとパラジウムは午後2時の価格。
**日本円価格はLBMA価格として発表されないために、弊社チャート上の金曜日午後3時の価格。
- 金:ドル建て価格は、前週の史上最高値から週間の下落。
- 銀:前週の史上最高値から5週ぶりに週間の下落。
- プラチナ:前週の史上最高値から5週ぶりに下落。
- パラジウム:前週の2022年以来の高値から4週ぶりに下落。
貴金属市場の動向(週間)
1日が正月で世界的に休場となる中、29日月曜日は、クリスマスまでの急激な上昇からの調整の下げで始まりました。火曜日以降は、正月を挟んで大きなニュースもない中で、動意性の乏しい市場となっていました。
今週の貴金属相場の動き(日次)
月曜日
金相場は早朝、トロイオンスあたり4,549ドル、銀相場は83.90ドルと史上最高値を更新しましたが、その後は調整局面に入り、金は過去2週間分、銀は先週の上昇分をほぼ失う展開となりました。
前週に12%超上昇していた銀は下落率が10%を超え、金についても12月18日に記録した最高値から約5%下落しました。
貴金属上昇の背景には、欧米市場がクリスマス休暇で薄商いとなる中、中国における銀需要が高まり、他の貴金属もつられ高となっていたことがありました。上海黄金交易所(SGE)におけるロンドン価格に対するプレミアムは、トロイオンスあたり約8ドルと過去最高水準に達し、中国で唯一の銀ETFである「Silver Investing LOF」のプレミアムも同日34.0%まで上昇しました。
同日は株式市場も全般的に下落していたことから、年末を控えたポジション調整の動きが広がり、今年大きく上昇した貴金属市場においても、その影響が表れていました。
火曜日
同日、金相場は若干前日の下げ幅を縮め、トロイオンスあたり4,403ドルへと上昇した後、上げ幅を削り4,342ドルでロンドン時間を終えました。銀もまた、トロイオンスあたり78.05ドルまで上昇した後、74.70ドルへと下げて終えました。
前日の大きな下げを受け、ディップ買いが入っていたようですが、正月休み直前ということもあり、調整を超える動きは抑えられていました。
水曜日
クリスマス前から大きく動いていた貴金属相場は、同日、銀、プラチナ、パラジウムが下げ幅を広げる中、金相場は前日同様に落ち着きを取り戻す動きとなりました。
金曜日
正月明けで欧米が市場に戻る中、中国や日本は引き続き休場であったものの、ロンドン時間午前中に上昇し、金相場はトロイオンスあたり4,402ドルまで上昇しました。その後は上げ幅を削り、4,332ドルで終えました。アジア各国が正月休みから戻る5日の市場開始までは、動意性の乏しい市場となっていました。

年間の貴金属市場のまとめ
2025年の貴金属市場は、金と銀が1979年以来の上げ幅、プラチナは記録史上最大、パラジウムは2010年以来の上げ幅となり、大きく上昇しました。
貴金属それぞれの年間の上昇幅は下記の通りです。

最低値と最高値は次の通りです。

2025年の貴金属相場の上昇の背景は以下の通り
- トランプ政権の関税政策による経済への悪影響懸念に加え、貴金属へ関税が課される懸念からも、貴金属が米国に集中したことで、現物貴金属取引の世界的中心であるロンドンで供給不足が発生。
- 中東およびウクライナ、さらにベネズエラを含む外交政策を背景としたドル資産離れによるドル安。
- トランプ大統領による米連邦公開市場委員会(FRB)への介入で、中央銀行の独立性が危ぶまれ、財政赤字の拡大及びインフレ抑制ができないとの懸念が高まった。
- 主要中央銀行の政策金利引き下げにより、利息を生まない貴金属の機会コストが低下し、需要が高まった。
- 安全資産需要が、中央銀行のみならず投資家の間でも高まったこと。
- モルガン・スタンレーの最高投資責任者(CIO)マイク・ウィルソン氏が、従来の60/40ポートフォリオ(株式60%、債券40%)から、金を20%組み入れる「60/20/20戦略」へのシフトを提案するなど、金投資配分を高める動きが強まった。
- 米国の「重要鉱物」に、プラチナとパラジウムに続き銀も含まれたことで、すでに供給不足が生じている工業用途比率の高い貴金属に、さらなる供給不足懸念が高まった。
その他の市場のニュ―ス
-
コメックス(COMEX)のデータは、米政府機関の閉鎖で遅れていたものの、12月23日までのデータが発表され、貴金属価格が史上最高値を繰り返していた際に、金は5週連続でネットロングを増加させて9月30日までの週以来の高さで、銀は2週ぶりにネットロングを2週連続で減少させ3週ぶりの低さ、プラチナはネットロングを5月20日以来の低さから増加させ、パラジウムは2022年10月18日以来のネットロングへ12月9日に転換したものの、ネットショートへ再び転換していたこと。(年間ベースは12月30日までのデータが出た後にまとめる予定。)
-
金曜日までのコメックスの取引量においては、貴金属全てが大きく下落した29日以降の1週間に、金が週間で前週比2.0%減少させ、銀は28.3%増のコロナ禍の2020年8月半ば以来の高さ、プラチナは44.5%減で、前週の2020年6月に記録をつけ始めて以来の高さから下げ、パラジウムは、21.7%減で前週の2024年2月23日の週以来の高さから下げていたこと。
-
金ETFの最大銘柄であるSPDRゴールド・シェアの残高は、今週金曜日までに6.0トン(0.56%)減で1065.13トンと週間の減少で、前週の2022年6月22日以来の高さから下げていたこと。年間ベースでは2025年は、198.04トン(20.81%)増と4年ぶりの年間の増加。2024年は6.59トン(0.75%)減少。2023年38.53トン(4.4%)減、2022年57.2トン(5.9%)減、2021年195トン(6.8%)減。
-
金ETFの第2規模のiShare Gold Trustの残高は、先週1.14トン(0.23%)増で493.78トンと、2022年9月以来の高さ。年間ベースでは、101.09トン(23.35%)増と4年ぶりの年間増。2024年は5.91トン(1.29%)減、2023年は50トン(11.6%)減、2022年42トン(8.9%)減、2021年36トン(7.0%)減。

-
銀ETFの最大銘柄であるiShareシルバーの残高は、今週53.38トン(0.33%)増の16,444.14トンで、2022年7月以来の高い水準で、週間の増加。年間ベースでは2025年は2120.59トン(14.45%)増と2年連続で増加。2024年は720.44トン(5.3%)増。2023年は936.56トン(6.4%)減、2022年は1937トン(12.2%)減、2021年は867トン(4.2%)減。
-
金銀比価(LBMA価格ベース)は、今週59台後半ばで始まり、30日は58台後半と2013年9月以来の低さへ下げ、金曜日に59前半に上昇して終えていたこと。2025年の平均は87.85。2024年平均は84.75、2023年は83.27、5年平均は82.44。値が高いと銀が割安、低いと割安感が薄れていることを示します。
-
上海黄金交易所(SGE)とロンドン金価格の差は、10月28日以来継続的にプレミアムであったものの、11月13日にディスカウントへ転換して、2日金曜日に人民元建て価格が下げる中で再びプレミアムに転換していたこと。週間の平均は、前週の21.13ドルのディスカウントから、3.28ドルのプレミアムとなっていたこと。2025年の平均は、2.85ドルのプレミアム。2024年平均は15.15ドルのプレミアム、2023年は29ドル、2022年は11ドル。需要増に加え、中国中銀の輸入許可制限も背景。過去5年平均は6.9ドルのプレミアム。

来週の主要イベント及び主要経済指標
今週は年末年始にあたり、主要な経済指標の発表が限られる中、ポートフォーリオ調整の動きが見られました。
来週は米国の雇用関連指標が相次いで発表されます。水曜日にADP全国雇用者数と雇用動態調査(JOLTS)求人件数、金曜日に非農業部門雇用者数、失業率、平均時給などが予定されており、市場の注目が集まります。
その他、主要経済指標の発表スケジュールの詳細は、主要経済指標(2026年1月5日~9日)をご覧ください。
ブリオンボールトニュース
今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。
-
主要経済指標(2025年12月29日~2026年1月2日)今週のの結果をまとめています。
-
主要経済指標(2026年1月5日~9日)来週の予定をまとめています。
なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でも配信中です。ぜひご視聴、ご登録ください。
ロンドン便り
今週は日本に滞在していますので、ロンドン便りは1月23日の週までお休みさせていただきます。そこで今週は、2025年を振り返る内容を本日のニュースレターでお届けしていますので、このロンドン便りでも、ご紹介した内容がどのようなものであったかをまとめてみました。
英国からのニュースとしてご紹介したのは、英国政権の政策関連が12回、トランプ大統領関連が5回、ウクライナ戦争関連が3回、イスラエル及びパレスチナ関連が2回、スポーツ関連が3回、日本関連が2回、文化関係が2回、貴金属業界の年次会議関連が3回などで、英米政府の政権運営に加え、ウクライナ戦争や中東関連のトピックが多い年となりました。
本日、トランプ政権が3日、ベネズエラに対する大規模な攻撃を成功裏に実施し、マドゥロ大統領夫妻を拘束して国外へ移送したことが伝えられていますが、ここでも、本年もトランプ政権に関するトピックが多くなりそうです。
1月 ハリス大統領候補を支持していた英労働政権の気まずさについて、ヒースロー空港の第3滑走路をめぐる議論について
2月 火災した高層低所得住宅グレンフィルタワー解体について、ウクライナ戦争終結に向けたトランプ大統領の動きと欧州の反応について、英国メディアのウクライナ戦争を巡る議論について、英国の国防費増額について
3月 英国の終戦80周年記念行事について、英国スターマー首相が発表した国民保健サービス(NHS)改革、ジャック・ドレイパー英テニスプレイヤーの第5のグランドスラム優勝について、英ドラマ「Adolescence(思春期)」の反響について
4月 トランプ大統領の関税政策への英国の反応、英国首相の「辞任叙勲」制度について、英国最高裁判所の「女性」及び「性別」の法定定義の判決について、ローマ教皇死去を伝える英国メディアについて
5月 英国のエネルギー政策について、英国のヨーロッパ戦勝記念日のイベントについて、英国政府の新たな移民政策について、ロンドン・プラチナウィークについて、英国政府の年金受給者への冬季燃料手当の方針変更について
6月 スコットランドの補欠選挙結果について、春の叙勲者名簿について、英議会で「末期患者の自己決定による安楽死を合法化する法案」が可決されたこと、英最大野外音楽フェスティバルのグラストンベリーについて
7月 労働党政権の混乱と課題について、マクロン仏大統領の国賓訪英について、アフガニスタン協力者に関する情報漏洩問題について、日本新国立劇場バレエ団のロンドン初公演について
8月 イングランドの女子サッカー代表の欧州選手権優勝について、イスラエルのパレスチナ自治区のガザ市占領計画に対する英国の立ち位置について、英国拠点「パレスチナ・アクション」を英政府がテロ組織に指定したことに関して、英難民収容所を巡る抗議運動と長期使用に関する判決について、観測史上最も暑い英国の夏について
9月 英副首相辞任について、駐米英国大使解任について、トランプ大統領英国公式訪問について
10月 マンチェスターにおけるテロ事件について、保守党の年次会議について、ロンドンの大相撲トーナメントについて、ロンドン貴金属市場協会の日本における年次会議について
11月 BBCのドキュメンタリー番組がトランプ大統領の演説を編集した問題について、英国新型コロナウィルス感染症調査委員会の報告について、英国の秋季予算について
12月 ロンドン貴金属市場協会の年次会議とパーティについて、「今年の言葉」について、ウクライナ支援会議の要旨と英国の立ち位置について






