金の基礎知識

1977年から2016年までの主要資産の年間収益率

米国と英国の主要投資資産と金の年間収益率比較

過去40年間の主要資産クラスの年間収益率は大きく変動しています。

しかしその変動はどのようなものなのでしょうか。そして、金と株式、債券、不動産、預金等の年間収益率の比較はどのようなものでしょうか。ちなみに、金は英国においては21世紀において最も収益率の高い投資資産で、米国においては商業用不動産に次ぐ投資資産となっています。

ブリオンボールトのリサーチ部門は、ここで米国と英国の主要投資資産の年間収益率のデータを1977年からまとめて発表しています。1977年は、英国はIMF危機から英国ポンドが回復する中で預金金利が下落したことを見ることができます。この年米国でのインフレの上昇は、高い預金金利へと導き、そして1980年代と90年代にこの預金金利が下がる中で長い債券と株のブームが起こっていました。

2000年以降、2度の株式市場の暴落と世界的な不動産価格の下落が起こりました。この間、主要資産の年間収益率比較表では、金の収益率が第1位と2位の位置に他の資産よりも最多の7回付け、米国株を10回上回っていたことを見ることができます。

英国の投資家にとっては、金は2000年から5回第1位となり、英国株式を10回上回っています。

2013年に金の年間収益率は最下位となりましたが、2014年に英国株式を2011年以来初めて上回り、米国の投資家にとっては米国外株式を上回ることとなりました。これは、米国ドルが再び強まったことが要因でした。そして、2015年に米国投資家にとって金の年間収益率はマイナス10%を記録しましたが、昨年は、英国のEU離脱の国民投票の結果や、米国大統領選でドナルド・トランプ氏が選出されるなどの政治リスクから、再びその収益率は上昇し、英国投資資産の中では第1位となり、米国投資資産の中では4位まで上昇したのでした。

金の年間収益率のボラティリティの高さは、下記の年間収益率比較表の特記事項にもあるように他の資産を上回ります。しかし、金融危機で多くの投資資産が暴落した2008年から学んだことは明確です。それは、投資の多様化は重要であること。そして、金は投資家が最も必要とする際にポートフォリオの保険となるということ。そして、多様化されたバランスの取れた投資ポートフォリオでは、株式、金利、不動産等のリスクをカバーするために金は効果的であるということです。

1977年~2016年の米国の年間投資資産の年間収益率比較

1977年~2016年の英国の年間投資資産の年間収益率比較

全てのデータは総収益率で、特に記載されていない限り費用や税金が引かれる前のもので、市場が終えた2016年12月30日金曜日までのデータで更新されています。この表は、情報提供を目的したものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。この情報を利用する際には、必ず他でも確証する必要があることを理解ください。

1977年~2016年の米国ドル建て主要投資資産の年間収益率比較

主要投資資産の種類

Inflation 米国消費者物価指数(年末数値)
Cash 預金金利(3ヶ月米財務省証券レート:日間平均)
Bonds 国債利回り(米10年物国債利回り+資本価値)
Stocks 米株式(S&P500種指数+資本+配当)
Non-US stocks 米国外株式(欧州、アフリカ、極東)+資本+配当
Corporate bonds 社債(バンカメ・メリルリンチUS Corp Master Total Return Index)
Commercial real estate 米国商業用不動産 (FTSE NAREIT All REITs total returns)
Commodities コモディティ(ロイターCRB継続商品指数:CCI)
US Housing 米住宅(S&P/ケースシラー住宅価格数値)
Gold 金(米国ドル建てロンドン金フィクシングの年末価格)

 

1977年~2016年の米国の年間投資資産の年間収益率比較

特記事項

  • 金は米国の主要資産の年間収益率では過去40年間に6回第1位となっています。これは、商業用不動産の11回、米国外株式の9回と米株式の7回に次ぐものです。
  • 金は最下位に9回なっており、これは他の主要投資資産では最も多い回数で、コモディティが8回で続いています。
  • 金の40年間の収益率の変化は+669%(費用も含む)で、消費者物価指数の+328%、不動産の+598%(費用と利回りを除く)と預金金利+535%(累積利息)を上回るものです。コモディティは1975年末から-3.05%と下落していました。
  • 商業用不動産は1977年以来40年間で+6,787%(発表された収益率の費用を含まない累積収益)と21世紀(1999年から)は+536%と最も収益率の高い投資資産となっています。
  • 金は1999年以来商業用不動産に次ぐ年間収益率の+299%を上げていて、社債が+174%と次いでいます。
  • 金の最悪の年間収益率は1981年の-32%で、商業不動産にとって最悪の年は2008年の-37%で、米国株式は-37%で、米国外株式は-43%でした。
  • 1977年以来、金は米国株式が10%以上下げた際の3年間に常に平均9.6%上昇しています。商業不動産が下げた際は、金は平均11.3%上昇しています。
  • 米国株式市場は、8年間連続で上昇しています。これは、1980年代の強気市場と同様で、1990年代の強気市場では記録的に9年間続けて上昇していました。
  • 預金金利は、1977年以来消費者物価指数より16回下回っています。2002年以来では12回となっています。金は、3年間(2013年から2015年)を除く全てのこの期間で上まわっています。
  • 金は1994年から2001年の間、消費者物価指数を継続的に下回りました。この8年間は預金金利が消費者物価指数を上回っていました。

1977年~2016年の英国ポンド建て主要投資資産の年間収益率比較

主要投資資産の種類

Inflation 英国小売物価指数(RPI)
Cash 預金金利(3ヶ月英国財務省証券レート:日間平均)
Bonds 国債利回り(英20年物国債利回り+資本価値)
Shares 英国株式(FTSE All-Share+資本+配当)
Housing 英国住宅(1982年までNationwide HPIそれ以降はHalifax HPI
Gold 金(英国ポンド建てロンドン金フィクシングの年末価格)

 

1977年~2016年の米国の年間投資資産の年間収益率比較

特記事項

  • 英国株式は過去40年間で16回第1位の収益率となっています。そして、2000年以来5回となっています。
  • 次いで国債が10回、金と不動産の6回、銀行預金2回と続いています。
  • 金が第1の収益率となった6回の内5回は2005年以降です。
  • 英国の投資家は1976年に消費者物価指数が15%となったIMF危機の際に多くを失いました。
  • 金は他の投資資産の収益率を下回ることが多く、1977年以来16回最下位となっています。(債券は9回、不動産は6回、株式は5回、銀行預金は4回)
  • 金は、英国の投資家にとって21世紀には最も収益率の高い投資資産となっており、その収益率は+423%、債券+189%、不動産+167%、株式+110%となっています。

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