金市場ニュース

中国の金投資への’ゴールドラッシュ’は宝飾品の需要を上回る

金地金と金貨への投資が世界最大の金貨消費国で史上最高を記録。
 
中国黄金協会(CGA)の最新のデータによると、中国の金投資需要の急増により、2025年の最初の3ヶ月間で金地金と金貨の需要が宝飾品需要を上回っていました。
 
1月から3月までの期間には、中国の重要な連休である旧正月が含まれており、インドの秋の光の祭典であるディワリを凌ぐ、世界で最も金購入が盛んな消費者の金の祭典となっています。
 
月曜日発表されたCGAのデータによると、中国の金貨と投資用地金の小売の需要量は合計138トンとなり、昨年の第1四半期から29.8%増加していました。
 
これとは対照的に、2025年の第一四半期における金宝飾品の需要は、重量で前年同期比26.9%減の135トン以下となていました。
 
2024年の中国の金取引の急増と共に、世界の金価格はトロイオンスあたり2400ドルと史上最高値を更新していました。
 
その後、中国国内と世界の金価格は再び30%を超えて上昇し、今年4月には、ドナルド・トランプ米国大統領が米国への輸入品に対する大規模な貿易関税「解放の日」を発表し、世界の株式市場が下落する中、3500ドルと史上最高値を更新しています。
 
中国の宝飾品と金貨及び金地金の小売需要の比較 出典元 CGAデータを基にブリオンボールトが作成
「金価格の高騰に抑制され、金宝飾品の需要は引き続き低迷している。」と政府によって義務付けられた金取引団体CGAが 第1四半期のレポートで述べている。
 
「しかし、複雑で変化し続ける地政学的状況と経済の不確実性は、金のヘッジと価値保存の機能をさらに際立たせている。金地金や金貨に対する個人投資家の需要は急速かつ大幅に増加している。」
 
金額ベースでは、上海黄金交易所(SGE)の3ヶ月平均価格で計算すると、宝飾品の需要は1月から3月にかけて2024年の第1四半期とほぼ変わらず、CGAの重量データに基づくと、900億円に達していました。
 
一方、金貨・地金の需要は前年同期比77.9%増の920億人民元(127億ドル相当)となり、過去最高を記録していました。
 
また、中国の金を裏付けとするETF信託ファンドにも多くの資金が流入し、その発行株式の裏付けに必要な金地金の量は25%増加していたとCGAは指摘しています。
 
金ETFではアジア市場を支配しているものの、世界の金ETF市場のほんの一部に過ぎない中国の金ETFは、中国と世界の金価格が史上最高値を更新する中、 4月に急成長を続けています
 
「銀行の金取引量も大幅に増加している」とChina Business Newsは伝えており、他の中国のニュースサイトやソーシャルメディアの投稿によれば、スマートフォンの金取引アプリが「ゴールドラッシュ」の中心となっているとのこと。
 
「従来は保守的な投資と考えられていたものに、投機的な銘柄に典型的なデイトレードが出現している。」と北京大学の経済学の教授であるLiu Feng博士は述べています。
 
「取引規模が小さくなり、頻度が増加している。」とオーストラリアの鉱山関連ニュースと分析咲いてのDiscovery Alertは伝え、「機関投資家ではなくリテール投資家の参加が目立っています。」と続け、「上海金取引所では、100グラム未満の取引が全取引の5分の3を占め、2023年の35%から増加している。」と述べています。
 
過去2年間で、金の人民元価格は77.6%上昇しました。その結果、100gのSGE価格は44,300人民元(当時は6,410ドル)から78,200人民元(現在は10,750ドル)に上昇し、これは国内最高賃金を提供する都市の 上海の平均可処分所得の3ヶ月分に相当しています。
 
深圳商報によると、金を借りて取引することは中国のソーシャルメディア上で「ホットな話題」となっているとのこと。
 
銀行は、現物の金貨や小規模な地金を「在庫切れ」として「断続的に」表示しており、深センの支店では、購入希望者にオンラインや銀行のスマートフォンアプリからの予約を要求しているとChina Business Networkは伝えています。
 
中国の第1四半期の金投資と宝飾品需要については、金鉱業界のロンドンに本拠を置くワールド・ゴールド・カウンシルが、1-3月の世界金需要動向レポートを発表する今週水曜日に、別途推計が発表される予定です。
 
貴金属専門アナリストのMetals Focusが収集したデータを用いると、WGCの中国の家庭用需要の総計は、2023年と2024年のCGAの総計よりも7%近く下回っていました。

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

注意事項: ここで発信される全ての記事は、読者の投資判断に役立てるための情報です。しかし、実際の投資にあたっては、読者自身にてリスクを判断ください。ここで取り扱われる情報及びデータは、すでに他の諸事情により、過去のものとなっている場合があり、この情報を利用する際には、必ず他でも確証する必要があることを理解ください。Gold Newsの利用については、利用規約をご覧ください。

SNSで最新情報を入手

Facebook   TwitterYoutube

 

貴金属市場のファンダメンタルズ