金価格ディリーレポート(2023年11月20日)SPDRゴールドシェアが増加しコメックスのロングが減少する中で金と銀価格は下げる
金相場は月曜日、ドルインデックスが2ヶ月ぶりの安値まで下落する中、コメックス投機筋が米インフレ率が予想を下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)が早晩利下げを開始するとの期待を高めたにもかかわらず、再びネットの強気ポジションを縮小させたことが明らかになる中で、値を下げていました。
ドル建て金相場は、先週2%以上上昇しこの4週間で最大の上げ幅を記録した後、本日月曜日ロンドン時間昼過ぎまでに0.6%下落しトロイオンスあたり1965ドルへと下げていました。
金地金の世界第一の消費国である中国の金相場も月曜日には下落し、上海黄金交易所(SGE)は0.9%下落し1グラムあたり467円と1ヶ月ぶりの安値となっていました。
中国の中央銀行が引き続き新規輸入許可の発行を制限していることと需要の高さからも、ロンドン価格に対するSGEのプレミアムはトロイオンスあたり46ドルと、コロナ禍の中厳格なロックダウンがされた2020年を除く過去5年間の新規輸入のインセンティブの平均値の9ドルを大きく上回っていました。
世界第2の地金消費国のインドでは、宝石商が今月初旬のインドの光の祭典ディワリを前に買い付けを増やしたことで、10月の金輸入需要が前年同月比60%増と急増し、31ヶ月ぶりの高水準となったことが、政府関係者のコメントで明らかとなっていました。
「しかし、記録的なペースで続いている中央銀行の金購入とは別に、ヘッジファンドやCTA(商品投資顧問業者)などのレバレッジを効かせたファンド口座、そしてETFに対する投資家の需要が、金の継続的な上昇を支える鍵であることに変わりはない」と、デリバティブ・プラットフォームであるサクソバンクの商品ストラテジスト、オーレ・ハンセンは述べていました。
先週、米国のインフレ率が予想を下回ったことを受けて金価格が上昇したにもかかわらず、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機家は、コメックス金先物・オプションの強気ポジションを減らし、弱気ポジションを増やしていました。
資金運用業者のネットロングポジションは、ハマスによるイスラエルへの攻撃と、それに対するイスラエルのガザ侵攻をきっかけにピークに達していた10月末から2週連続で減少し、先週火曜日までの一週間でその減少幅を12%に拡大させていました。
長期的に見ると、この金のネットの強気ポジションは、2023年の平均を6%上回っているものの、5年間の平均と比較すると21%低い水準となっていました。
それに対し銀は、米国の規制当局であるCFTCが発表した最新の投機的ポジションデータによると、コメックス先物・オプションのネットロングポジションは、先週9月上旬以来の高水準に達したにもかかわらず、2023年平均を11%下回り、5年平均を66%下回っていました。
銀価格は、先週6.6%上昇した後、月曜日には1%近く下落し、23.49ドルとなっていました。
銀のETFとして最大銘柄のiShareシルバー(NYSEArca: SLV)は先週も縮小を続け、11月に入ってから1.1%減少となっていました。
金ETFで最大銘柄のSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)は、先週金曜日に4週間ぶりの1日あたり最大規模の資金流入を記録して残高が13トン増加して2ヶ月以上ぶりの規模に達し、11月に入ってから20トン近く増加していました。
しかし、第2規模の金ETFであるiShareゴールド(NYSEArca: IAU)は残高減少を続け、今月4.3トン縮小し、2020年4月初旬以来の最低水準に達していました。
世界の金を裏付けとするETFからの資金の流出は10月も5ヶ月連続で続いていましたが、9月に1年ぶりの高水準となる58.7トンに達した後、そのペースは10月に36.6トンに鈍化していました。
米国債10年物利回りは、政府機関や多くの金融機関、商業機関の借入コストの基準金利ですが、金曜日に一時9月以来の低水準である4.38%に達した後、今日は4ベーシスポイント上昇していました。
CMEデリバティブ取引所のFedWatchツールによると、FRBの12月と1月の政策決定会合でフェデラルファンドレートが「据え置かれる」ことへの予想は、金利投機筋の間でほぼ100%に達していました。
火曜日には、11月に開催された連邦準備制度理事会(FRB)で2会合連続で据え置かれた政策決定会合の議事録が公表され、今週末の米国感謝祭の休暇を前に、月曜日に行われる160億ドルの新規20年債入札に投資家は注目することとなります。これは、11月9日に行われた30年債の入札が不調に終わったことで利回りが急騰したことが背景となります。
一方、主要通貨に対する米国の通貨価値の指標である米ドル指数は、月曜日に下げ幅を拡大し、8月の最安値を更新していました。米インフレ・データの鈍化を受けて米金利がピークに達したとの見方が強まる中、ドル相場は先週2%下落し、1週間の下落幅としては7月以来最大となっていました。
欧州株は、先週3%近く上昇した汎欧州ストックス600が横ばいで推移する一方、ムーディーズが同国の国債の見通しを引き上げたことで、イタリアの銀行株は上昇していました。
それに対しアジア株式市場は、日本株が33年ぶりの高値を付けて活況を呈していました。 本日日経平均株価は1990年3月以来の高値をつけた後、上げ幅を縮小していましたが、日経平均株価は11月に入ってすでに9%近く上昇し、月間では2020年11月以来の大幅上昇となっていました。