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第3四半期金需給レポート:中央銀行の需要にけん引されて堅固に推移

中央銀行の金購入は昨年の史上最高値を超える予想となっている。

今年7月から9月までの金需要は、金価格が同四半期平均でトロイオンスあたり1928.5ドルと、全四半期の史上最高値から2%下げていたものの、前年同四半期12%高であったことから、前年度同時期比6%減少していた。

しかし、過去5年間の平均と比較すると8%上回る1147トンと堅調なものであったことが、10月末に金業界のマーケティング団体であるワールドゴールドカウンシルが発表した、最新の金需給レポートで明らかとなった。

これは、中央銀行の金購入量にけん引されており、その総量は337トンと、記録的な高さとなった前年同四半期比の459トンには至らない27%減の337.1トンであったものの、同四半期までの通年の購入量は史上最高を記録した昨年を14%上回る800トンであり、今年も史上最高値を更新することが予想されている。

2010年からの中央銀行の四半期ごとの金需要の推移 出典元 ワールドゴールドカウンシル

これは、中国人民銀行(PBOC)が年初から9月末までに181トン購入してけん引していると共に、ポーランドの中央銀行、ポーランド国立銀行(NBP)が年初来105トン積み増すなど、新興国の金需要増加が背景となっている。

この傾向は第4四半期にも継続しており、PBOCは10月にも23トン金準備を積み増し2215トン、NBPは6トン増で340トンとそれぞれ年初から10.1%、48.5%増加させている。

NBP総裁のAdam Glapinski氏は10月初旬に金準備を積み増していることに触れ、これによりポーランドが信頼のおける国として多くの格付けでも認識されるとし、今後も金を購入続けて、外貨準備の20%へ達することを目指していると述べている。ポーランドの外貨準備に対する金準備の割合はワールドゴールドカウンシルの最新のデータによると、9月末の段階で11.2%であった。

世界最大の金準備である8,133.5トンを保有する米国の外貨準備における金準備の割合は9月末の段階で68%で、急激に金準備を積み増している世界7位の中国の金準備2,191.5トンは同時期4%と未だ低いものとなっている。

他の第3四半期の金需要を見ると、投資需要は157トンと、前年同四半期を56%上回っているものの、過去5年間の平均の315トンを下回り、金地金及び金貨の需要は前年同期比14%減の296トンで、過去5年の四半期の平均の267トンを上回っていたものの、ドイツを筆頭とした欧州での急激な金需要減少で前年同期比で減少しており、OTC投資は120トンと、金ETFからの資金流出や金先物・オプションのロング減少の中でサポートとなっていた。

宝飾品重要は、前年同期比2%減の516トンと価格の高騰にもかかわらず減少幅を抑えていたものの、工業用需要の電子機器は低迷して前年同期比3%減の516トンとなっていた。

ちなみに、金投資が過去5年の平均を上回っている背景は金のETFにおいて購入を上回る売却が行われており、その量は第3四半期においては139トンであったものの、前年同期比244トンを下回るものではあった。

金ETFの資金の流出は四半期ベースでは、ロシアによるウクライナ侵攻以降の2022年第2四半期以来7四半期連続となっている。

10月末までにおいては、月間で36.6トン減と、アジアとその他の地域では若干増加しているものの、北米と欧州のETFからの資金流出が続いていることで未だ減少を続けている。しかし、そのペースは前月の58.7トンの減少からは落ちてきている。

そして、金地金と金貨の需要減少の要因である、欧州の需要は2023年第3四半期に2008年の金融危機以来の低さの30トンへ下げ、これはドイツが73%減の12トンになっていたことが大きな要因で、欧州全体としても前年同四半期比59%減と大きなものとなっていた。

これは、金利上昇による銀行の貯蓄口座の魅力が増し、また住宅ローン返済額が上昇したことによって投資資金が減少したことも要因として挙げられている。

ドイツにおいては、国内経済の低迷と政府の急進的なグリーン政策によって消費者が費用の高いヒーティングシステムの導入を余儀なくされることへの懸念も背景と分析されている。

供給サイドにおいては、鉱山生産量は、第3四半期に記録的な971トンに達して、金の総供給量を1,267トンに増加させて前年同期比6%増となった。リサイクル量も前年同期を上回り、8%増の289トンであった。

ワールドゴールドカウンシルのシニアマーケットアナリストのルイーズ・ストリート氏は、「地政学的緊張が高まり、中央銀行による旺盛な金購入が続くと予想される中、金需要はサプライズ的に上昇する可能性がある。」と述べている。

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

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