金価格ディリーレポート(2023年10月30日)コメックスの金先物・オプションが記録的な急増をする中、2000ドルへ急騰した金価格は「一息をつく」
イスラエルがガザでの地上攻撃を拡大させたものの、多くのアナリストが予想していたよりも慎重な規模であったことから、ドル建て金相場は月曜日に前週のコメックス取引終了時間前の急騰で5月以来初の2000ドルを超える水準から多少下げて推移していました。
米連邦準備制度理事会(FRB)が今週水曜日、主要金利をほぼ20年来の高水準に維持すると予想される中、金価格は、明日の日本銀行の金融政策決定会合、そして木曜日の英国イングランド銀行の金融政策決定を控え、中国人民元、ユーロ、英国ポンド、日本円を含む、ほとんどの主要なドル通貨以外の通貨建てでで史上最高値を更新していました。
また、米財務省は今週水曜日に、四半期ごとの国債売却計画を発表する予定ですが、これは8月に発表した、翌週に1030億ドルの長期債を借り入れるという計画が、米国債の売りに拍車をかけ、それ以降、長期金利が数年来の高水準まで急上昇したことを警戒させる背景となっています。
「一息つく時が来たような気がします」と、証券会社StoneXグループの地金市場アナリスト、ローナ・オコネル氏は述べていました。
「数週間前、10月7日(ハマスがイスラエル南部で残虐行為を行った日)に(金が)跳ね上がった時の大騒ぎは、私の見解では少し行き過ぎだったと考えます。
先週の金曜日に金価格が2000ドルに急騰する前のデータによると、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機家は、コメックス金先物・オプションの強気ポジションを1週間前より22%増やした一方で、弱気ポジションを26%減らしていました。
先週火曜日までの米国の規制当局CFTCのポジションデータによると、資金運用業者のネットロングポジションは前週から117%増加し、8月初旬以来最大となっていました。
これは、投機家はグループとして328トンの金をこの2週間で購入したこととなり、これは米商品先物取引委員会(CFTC)の20年近い記録の中で2番目に早い2週間のペースの急増となります。
日本貴金属マーケット市場協会(JBMA)の池水雄一代表理事は、最新のレポートの中で、「まだ上昇の可能性があるため、ここから新たな金ショートを始めるのはリスクが高すぎる」と述べていまいした。
コメックスの派生商品とは対照的に、金のETFは先週さらに資金流出が進み、最大規模のSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)とiShareゴールド金ETF(NYSEArca: IAU)は、先週後半に残高を減少させなかったものの、週間では0.2%と0.5%縮小していました。
また、iShareシルバーの銀ETF(NYSEArca: SLV)は、金曜日にその規模に変化はなかったものの、週間では0.4%増加していました。
銀価格は、先週3.9%下落した後、本日1.3%上昇し、トロイオンスあたり23.40ドルへとロンドン時間昼過ぎに上昇していました。
原油相場は、イスラエルがガザへの侵攻を強化するとの報道を受けて急騰した相場の1/3を削り、1%以上下落していました。
欧州の株価市場は、ストックス欧州600指数は前週10か月ぶりの低値をつけた後に、月曜日に0.7%上昇してはいるものの、月間では4.6%の下げを記録する傾向となっています。そのような中、ユーロと英国のポンド建て金価格は、週末の史上最高値である1901ユーロと1658ポンドをつけた後に、月曜日ロンドン時間昼過ぎには若干下げていました。
また、日本円建ての金価格は、前週金曜日にgあたり9661円と史上最高値を記録した後に月曜日下落し、貴金属の世界最大の消費国である中国での金価格は、月曜日朝の上海黄金交易所のベンチマークオークションで、gあたり480円と史上最高値を記録していました。