金市場ニュース

金価格ディリーニュース(2023年8月21日)ジャクソンホールを控えた弱気取引の中で金価格は反発

 
金ETFの保有量が再び減少し、投機筋が金価格への強気ベットを3月のシリコンバレー銀行破綻前以来の低さへ減らす中で、金価格は月曜日に5ヶ月ぶりの安値から上昇していました。
 
今週ワイオミング州ジャクソンホールで開催される中央銀行の年次総会を控え、世界第2位の経済大国である中国が、不動産不況と債務不履行が悪化する中、主要金利を本日再び引き下げる中で、ドル建てで取引されている金は、夜間のアジア取引で3月中旬以来の安値をつけた後、ロンドン時間昼過ぎにトロイオンスあたり15ドル上昇し1897ドルとなっていました。
 
金ETFとして最大銘柄のSPDRゴールドシェア(GLD)は先週、11月以来最も速いペースで縮小し、最新のデータによると、コメックス金先物・オプションのヘッジファンドやその他の投機的トレーダーは、8月15日に終わる週において、グループとして4週連続で金に対する強気のポジションを減らしていました。
 
また、同グループは4週連続で弱気ポジションを増やし、3月7日( シリコンバレー銀行などが経営破綻した米国の地方銀行のミニ危機の直前)以来の大きさとなり、資金運用業者のネットロングポジションは、前週から1/3以上減少していました。
 
この想定元本はわずか145トンに相当し、資金運用業者のネットロングポジションは、 5月初旬に金価格が史上最高値の2078ドルを現物価格でつけて、このポジションが増加していたピークから315トン縮小していました。
 
コメックスの金先物・オプションのネットロングポジションと金価格のチャート 出典元 ブリオンボールト
 
 
カナダの証券会社TD Securitiesのコモディティ戦略責任者であるバート・メレック氏は、「投機的な投資家は金から手を引いており、 金利上昇期待が大きな要因となっている」と述べていました。
 
先週の米連邦準備制度理事会(FRB)による7月の利上げ時の 「タカ派的」議事録に続き、米経済データも引き続き堅調である中で、FRB高官は今週、欧州中央銀行、イングランド銀行、日本銀行の政策担当者とともに、毎年恒例のジャクソンホール中央銀行シンポジウムに集まり、ジェローム・パウエルFRB議長が金曜日のニューヨーク時間午前10時に講演する予定となっています。
 
昨年のパウエル議長の講演では、FRBは完全雇用の義務よりもインフレ対策に重点を置くと露骨に発言し、利下げはすぐには行われないと警告したため、 金価格は1.2%下落していました。
 
派生商品のプラットフォームのサクソバンクの商品ストラテジストであるオーレ・ハンセン氏は、「金相場は依然として下降トレンドのチャネルにある。」と述べ、「4週連続の下落は金利上昇と強いドルが背景にあり、FOMCが今後の経済指標次第でさらなる利上げを行わざるを得ないかもしれないという観測が、金価格の頭を押さえている。」と続けていました。
 
2年物米国債利回りは本日も上昇して年率4.97%となった一方、政府だけでなく多くの金融機関や商業機関の借入コストのベンチマークとなる。10年物米国債利回りは4.29%と16年ぶりの高水準となっていました。
 
しかし、ドル指数(主要通貨に対する米国の通貨価値の指標)は、前週に5週連続で2ヵ月ぶりの高値まで上昇した後、月曜日は下落に転じていました。
 
為替市場でそれぞれの通貨が対ドル強含んだことからも、ユーロ建て金価格は0.3%下落し1732ユーロ、 ポンド建て金価格は0.1%下落して1482ポンドと下げていました。
 
一方、上海金取引所の金価格は、中国の中央銀行が再び小幅な利下げを行った後、人民元が対米ドルで10ヶ月ぶりの安値まで下落したことから、1gあたり457円と1ヶ月ぶりの高値まで上昇していました。 
 
そのため、上海の金はロンドンの相場に対して歴史的なプレミアムとなり、BullionVaultの記録によると、月曜日にはオンスあたり57ドルを超えていました。
 
中国の1年物ローンプライムレート(LPR)を10ベーシスポイント引き下げ3.45%とした中国人民銀行は、日曜日の声明で、債務不履行がより広い金融システムに波及し始めている不動産セクターへの 信用政策を「最適化」し、地方政府の債務問題を解決するための金融支援を「調整」すると述べていました。
 
CMEデリバティブ取引所の FedWatchツールによると、中国の金融緩和政策とは対照的に、月曜日にトレーダーは、米FRBが5月までにフェデラル・ファンド・レート(FF金利)の引き下げを開始することはないだろうとの見方を続けている。
 
欧州株式相場は、世界的な原油・ガス価格の上昇に伴い、エネルギー関連企業の株価が上昇し、ストックス欧州600種指数が4日続落から反発していました。
 
また、主に工業用金属である銀価格は1.7%上昇し、トロイオンスあたり23.15ドルと2週間ぶりの高値を付けていました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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