金価格ディリーレポート(2024年4月22日)中東の緊張が緩み、米債務が肥大化する中でFRBによる年内利下げ観測が消え、金と銀の価格が下げる 2024年4月22日 月曜日 17:06 在中東米軍へ攻撃にもかかわらずイスラエルとイラン間の地政学リスク的緊張が緩和し、金相場は1週間ぶりの安値、銀相場は2週間ぶりの安値へとロンドン昼過ぎに下げていました。この間、米国中央銀行の政策金利予想は、米国政府債務が急増しているにもかかわらず、2024年内にわずか1/3ポイント引き下げへと減少していました。 ドル建て金現物価格は、トロイオンスあたり2333ドルと、今月の史上最高値から100ドル下落し、前週終値から2.2%下げていました。これは、昨夜イラクのイランを支持する民兵が、 シリアの米軍基地を攻撃したというニュースが伝えられる中ででしたが、先週金曜日にイスラエルがイスラム共和国に対して行った無人機による報復攻撃を、 イラン政府が軽視しているというニュースによって、紛争悪化が避けられているという市場判断によるものでした。 この間英国ポンドとユーロ建ての金も1週間ぶりの安値をつけ、それぞれトロイオンスあたり1900ポンドと2200ユーロを割り込んていました。 貴金属専門コンサルタント会社であるMetals Focusは、最新のウィークリーレポートで「3月以来の(金価格の)上昇の規模を考慮すると、価格調整の時期があっても驚くことではない」とし、米国の金利が長期的に上昇する見通しにもかかわらず、貴金属は依然として堅調であると指摘していました。 ロンドン市場の卸売地金は、3月初めから米ドル建てで14%上昇し、ポンドとユーロの両方で18%近く急騰していました。 デリバティブ取引所 CMEのFedWatchツールによると、2024年末の米中央銀行の主要金利に関する市場コンセンサスは2月末の4.56%から本日4.99%に上昇しており、現在の23年来の高水準であるフェデラルファンドレートからわずか0.34ポイントの引き下げが予測されています。 予想を上回る米雇用統計に続き、 予想を上回る消費者物価上昇率、さらに パウエルFRB議長の「タカ派」発言もあり、この市場のFRBによる年末の政策金利予想は3週間以上にわたってFRBの予想の4.60%を上回っています。 デリバティブ・プラットフォームのサクソバンクの商品ストラテジストであるオーレ・ハンセン氏は、「2400ドルを超える(金の)一時的な上値の重さの兆候も出始めているが、通常の反応機能が放棄されたことはますます明確になっている。」と述べ、「金、そして直近では銀すらも、通常のマクロ要因のドル高と長期金利高という向かい風の中で、上昇を続けていた。」と続けていました。 銀相場は月曜日2.5%下落し、ドル建て価格はトロイオンスあたり27.35ドルと2週間ぶりの安値となっていました。 外国為替市場で米国の通貨価値を主要通貨に対して示す指標であるドルインデックスは、本日、昨年11月以来の高水準まで上昇し、米国債10年物利回りは、政府および多くの金融・商業機関の借入コストの基準金利ですが、先週火曜日の年率4.67%という5ヶ月ぶりの高水準に向けて上昇していました。 「地政学的緊張の高まりに加え、他のテールリスクも存在し、これら全てが一部の機関投資家にとって金の投資魅力を支えている」とMetals Focusは述べていました。 アメリカの下院は土曜日、ウクライナ、イスラエル、台湾に軍事援助を行う950億ドルの法案を超党派の幅広い支持によって可決していました。 この法案は、民主党が多数を占める上院に送られ、早ければ火曜日に可決され、ジョー・バイデン民主党大統領の署名が行われます。 財務省が発表した最新の数字によれば、 米国の国家債務は先週34兆5000億ドルに達し、 国内総生産に占める割合は過去20年間で倍増し、120%に達していました。