2023年11月27日 月曜日 17:35
金価格は月曜日早朝にドル建てで6か月ぶりの高値へ上昇しました。これは、欧米の株価が下げ、またハマスが10月7日のテロ攻撃で拉致した人質の解放に同意すれば、イスラエルはガザでの停戦延長に同意する可能性を示唆する中でのことでした。
金相場は、先週心理的節目のトロイオンスあたり2000ドルを維持し、本日2017ドルへと、5月15日以来の高値まで急騰していました。この高値は、米国の地方銀行のミニ危機が起きた際の最高値であり、かつてスイスの大手銀行であった
クレディ・スイスが競合のUBSに吸収合併をされた際以来の高値となります。
日本貴金属マーケット協会(JBMA)の代表理事の池水雄一氏は、週末のレポートの中で、金が10月末以来、いかにこの抵抗線を破ろうとして失敗してきたかを指摘しながら、「(スポット)金が、今春の米国銀行のミニ危機からの歴史的な高値である2080ドルを超えるためには、まず、ここ数セッションで見られた2000ドルの水準の「売り」を克服しなければならないだろう」と述べていました。
スイスの地金精錬・金融グループMKSパンプの貴金属ストラテジー責任者であるニッキー・シールズ氏は、「少なくとも、(イスラエルとハマスの停戦延長をめぐる)週末の動向は、2000ドルを突破した最近の上昇が、地政学や中央銀行の買いよりも、デリバティブ取引やチャートに基づく "テクニカル "取引によるものであったかどうかを試すものである」と述べていました。
米国ドルの他の主要通貨との強さを測るドルインデックスは、本日0.1%下げ、米連邦準備制度理事会(FRB)が短期金利に「長期金利上昇」のメッセージ出したことで、債券価格が金や銀とともに暴落し、長期借入コストが上昇した10月初旬のピークからは3.4%下落していました。
これとは対照的に、10年物米国債の利回りは年率4.47%と多少上昇していましたが、10月中旬に記録した17年ぶりの高水準である5.00%近くは大幅に下回っていました。
一方、金価格は
ハマスのイスラエル攻撃直前の数ヶ月ぶりの安値から11.4%上昇し、主に工業用金属である
銀価格は月曜日に2.0%上昇し、トロイオンスあたり24.82ドルと8月30日以来の高値をつけ、10月初旬からは20.2%上昇していました。
この銀の強さは、かつて貨幣であった2つの貴金属の相対価格を示す
金銀比価をさらに押し下げ、この2ヶ月で最低値である81をわずかに上回っていました。
プラチナは、自動車触媒に代表される工業用途が需要の3分の2を占めており、本日の上昇率は0.2%増のトロイオンスあたり937ドルと、それほど大きなものではなく、金に対するディスカウントは、11月初旬につけていたLBMA価格が発表されて以来最大のトロイオンスあたり1098ドルへと近づいていました。
一方、原油価格は下落し、ブレント原油先物は先週4週ぶりに上昇を記録した後、バレルあたり80ドルへと下落していました。
今週末に開催される産油国カルテル「オペック+」の会合では、2024年までの供給が抑制される見通しですがが、アフリカ諸国の生産目標に関する意見の相違を調整するため、会合はすでに延期されていました。
一方、ユーロ建て金価格はトロイオンスあたり1838ユーロと0.5%上昇し、
ポンド建て金価格は1593ポンドと0.4%上昇していました。
欧州株は、ストックス欧州600指数が金曜日につけたほぼ10週間ぶりの高値から0.2%下落していました。
米国株式先物も、S&P500指数とハイテク株比率の高いナスダック100指数がともに先週まで4週連続で上昇した後、月曜日は下落していました。中東で地政学的な混乱が続いているにもかかわらず、こうした上昇によって米国株オプションのボラティリティを示すVIX指数は急低下し、「恐怖指数」はコロナ危機が起こる直前の2020年1月以来の最低値を示していました。
なお、テロ・政治組織ハマスは日曜日、イスラエルとの停戦・人質解放合意を当初の4日間から
延長するよう求めていると発表していました。
その停戦延長のためには、「日ごとに、さらに10人の人質を解放する必要がある」と、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は日曜日の夕方、ジョー・バイデン米大統領との電話会談後に答えていたものの、この停戦が終わり次第イスラエルは「
全力を挙げて」攻撃を再開すると警告していました。
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