金銀比価(レシオ)とは?
金銀比価(レシオ)は、金と銀の価格の比率のことです。これは、1オンスの金で何オンスの銀が購入できるかで表されます。
この数値は、その時点の金価格をその時点の銀価格で割って算出されます。
こうして算出された金銀比価(レシオ)で、貴金属でも主要な二つのメタルの価値の比較を簡単に行うことができます。
金銀比価(レシオ)が上昇すると、金は銀に比べて割高となったこととなり、下落すると、金が銀に比べて割安になったということを意味します。
アナリストやトレーダーや投資家の中には、この数値を利用して取引し、金銀比価(レシオ)が高い時に銀を購入し、低い時に金を購入します。
どのような要因が金銀比価(レシオ)に影響を与えるのか?
金と銀の価格は通常は日々同じ方向へと動きます。しかし、その動きの規模は大きく異なります。
過去50年間で、金の平均的な一日の価格の動きは、ドル建てで0.5%ですが、銀の動きは0.9%となっています。それは、銀市場が金に比べて評価額では10分の1と規模が小さいからです。そのために、価格の上下は銀がより激しく、金銀比価(レシオ)を上下させることとなります。
銀の市場の規模とそのボラティリティからも、銀市場では投機家の取引が金やその現物市場の評価額と比較しても多くなっています。
銀の価格の上下を予想して取引をするコメックスの銀先物・オプションで取引される銀の想定元本量は、年間に算出される銀の総量を65%上回る量となっています。しかし、コメックス金先物・オプションで取引される金の想定元本量は、金の年間産出量を26%下回っています。
コメックスの銀先物・オプションの建玉は、金融危機以来安定して増加し、2018年の夏の史上最高値は、過去10年間の平均を50%上回っています。それに対し、金の建玉は2011年の史上最高値~25%下回り、長く横ばいとなっています。
このように投機家に好まれる銀の現物の需要は、工業用において安定して増加しています。年間の銀現物需要の60%は、産業用で金が10%であるのと比較すると大きく異なります。
最近需要が伸びている分野は、電子機器関連、太陽光発電のための太陽電池のセル等となります。太陽光発電関連の需要は2017年に史上最高値を付けた後、中国とインドが欧州同様に新たな太陽高熱発電用パネルへの助成金が中止される中で、このための需要のピークは終えた模様です。
供給を見てみると、銀の産出量は順応性がありません。それは、銀産出量の72%は他の金属の副産物であるためです。そのために、銀の算出費用を計算することが難しく、金や鉛や亜鉛や銅などの価格が下げて産出量が減った場合にのみ、産出量が減少することとなります。
歴史的な観点から見た金と銀の価格について
古くから金と銀は金貨や銀貨に製造されて通貨として使われてきました。
そのために、金銀比価(レシオ)は日々の生活に重要な情報となってきました。それは、もしこの比価に大きな動きが出た場合、金貨もしくは銀貨のどちらで支払いを受けるかで、利益もしくは損失を受けることとなったためでした。
多くの投資かは、金銀比価(レシオ)は地上に現存する金と銀の量に沿っているべきだと考えています。確かに過去にはその埋蔵量が価格に影響を与えていました。
歴史学者は、中世の日本において3対1で金は取引され、古代エジプトでは2対1で、これらの地域では銀が算出されなかったことから、取引がされていたと推測しています。
そして、中世から20世紀初頭には西欧では金銀比価(レシオ)が、歴史的にも高い水準の16対1へ12対1から上昇していました。そして、これらの貴金属を購入していたインドのような国では、承認が利益を追求することから、大きな差が出ていました。
金を最も高く売れる地域へ輸送することは、銀において大きな利益を出すことが可能となっていました。そして、地域間の金銀比価(レシオ)の差を狭めることも可能となりました。この方法を現代では裁定取引と呼び、これにより地域ごとの供給バランスを改善することができます。
金と銀は1900年まで金貨や銀貨に使われていました。しかし、当時の大英帝国によって金本位制が広がるにつれて、金が貨幣価値のある貴金属として認識され、金と銀の関係に変化が出てきました。そして、貨幣価値を設定する金は、通貨が紙幣へと代わることで、日々の通貨としての利用はなくなり、政府の保管場所で貯蔵されることとなりました。
1950年代から1960年代に英国や米国では銀は銀貨として引き続き使われていましたが、ニッケル硬貨や銅貨のように通貨としての価値は持たなくなっていったのでした。
正しい金銀比価(レシオ)とは?
地質学者は、銀は金の19倍の量が地上に現存すると信じています。しかし、毎年世界の銀鉱山で産出される銀は金の8倍ほどです。
それでは、なぜ金銀比価(レシオ)はこれらの数値よりもはるかに大きいのでしょうか。
金は古くから富を蓄える「安全資産」と見られてきました。特に、通貨や株式市場が高いボラティリティを持っている際などはです。銀はそれに対し、工業用の貴金属と見られており、世界の経済状況に応じてその需要に変化が生まれるものとされています。
金は、他のコモディティとは異なり、使われても消費されることはなく、その高い価値からも金は捨てられたり破壊されたりすることは稀なことです。そのため、産出された大部分の金は無くなることはなく、異なる場所で存在することとなります。
2000年初頭の推測では、地上に現存する金は、6,600日分以上の需要にこたえることができる量とされています。銀においては、コーヒーやココアや他の消費されるコモディティ同様に260日未満とのことです。
金銀比価(レシオ)は、米国が銀の貨幣としての痛痒を廃止させ、1970年代の初めに金本位制を終えた後にボラティリティが高まり、16対1からほぼ100まで1990年代に上昇しました。
この期間に、比価は下げて銀が金に対し割高になった時期もありました。それは、テキサスの石油王のハント兄弟とウォーレン・バフェットが大量の銀を1970年代と1990年代に購入して、利用価値の高い銀の市場を追い詰めた時でした。
また、2007年から2009年の世界金融危機の際にも、金価格が高い水準を保持し銀が下げる中、リーマンショックの際にピークの80を超える比価となっていました。
その後世界金融危機が終わり、太陽高熱発電に利用される銀の需要が急増して、銀が史上最高値のトロイオンスあたりほぼ50ドルを2011年に付けた際には、過去30年間でも最低値の30を推移していました。
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注: ここで掲載されている分析記事は、読者の投資判断に役立てるための情報です。過去の価格傾向は、必ずしも将来の価格動向を保証するものではありません。実際の投資にあたっては、もし個人の投資環境に適当であるかが確かでない場合は、ファイナンシャルアドバイスを別途得ることをお勧めします。