金市場ニュース

ニュースレター(2026年6月26日)FRB利上げ観測で金・銀は7か月ぶり安値、貴金属から資金流出

週間市場ウォッチ

今週金曜日の弊社チャート上のLBMA価格が決まる時間の価格と前週のLBMA価格比較した一週間の変動率は以下の通りです。

一週間の貴金属の変動率 出典元 ブリオンボールト

*金は午後3時の弊社チャート価格、銀は午後12時、プラチナとパラジウムは午後2時の価格。

**日本円価格はLBMA価格として発表されないために、弊社チャート上の金曜日午後3時の価格。

  • :ドル建て価格は4週連続の週間の下落で、金曜日価格で20251114日以来の低値。
  • 7週連続の週間の下落で、金曜日価格で20251128日以来低値。
  • プラチナ7週連続の週間の下落で、金曜日価格で20251121日以来の低値。
  • パラジウム4週連続の週間の下落で、金曜日価格では昨年829日以来の低値。

貴金属市場の動向(週間)

今週貴金属市場は、引き続き米連邦準備制度理事会(FRB)の根強い利上げ観測を背景とした、1年ぶりの高水準にあるドルインデックスや長期金利(TIPSインフレ連動国債の実質利回りも1年超ぶりの高水準)を受けて、金と銀は一時7か月ぶりの安値まで押し下げられることとなりました。

株式市場ではテクノロジー関連株のボラティリティの高さが続いており、イラン紛争勃発以来方向感を欠く貴金属市場からの資金流出を促しているようです。そのことは、前週には若干残高を増やしていた金ETFについても、最大銘柄であるSPDRゴールド・シェアとiSharesゴールド・トラストの双方が今週再び減少へ転じ、いずれも昨年9月以来の低水準まで残高を減らしていることからもうかがえます。

一方で、5月も多くの新興国の中央銀行による金需要の高まりが確認されており、金価格を下支えしています。

その結果、中央銀行需要という支援材料を持つ金に対し、銀の下げ幅が相対的に大きくなっており、金銀比価は今週69台と昨年12月以来の高水準へ上昇しています。

金銀比価とドル建て銀価格チャート 出典元 ブリオンボールト

今週の貴金属相場の動き(日次)

 

月曜日

金・銀相場は、米国とイランが和平協議に向けたロードマップで合意に達したことを受け、前週の1週間ぶりの安値から反発し、金はトロイオンスあたり4,219ドル、銀は67.13ドルまで一時上昇し、その後やや値を戻して推移していました。

そのような中、同日スターマー英首相は、後継候補として注目されている前マンチェスター市長のアンディ・バーナム氏が前週の補欠選挙で圧勝したことを受け、党内での求心力を失い、辞任を表明しました。

前週発表された英国政府の5月の借入額がパンデミック以来の高水準となっており、米国でも5月の財政赤字が大幅な水準となっていました。そのような中、前週金曜日にはポーランドが2月以来の大規模な18トンの金準備増加を発表したほか、「新興市場」の中央銀行では、カザフスタンが7トン、ウズベキスタンが9トン、ジョージアが1トン、チェコが1.7トンの金を準備資産に追加するなど、世界の中央銀行が5月も引き続き金準備の積み増しを進めていたことが明らかとなっていました。

 

火曜日

金・銀相場は、同日午前中に一時、金がトロイオンスあたり4,091ドル、銀が61.56ドルまで下落し、610日に付けた322日以来の安値を再び更新しました。その後はやや値を戻していました。

背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が広がる中、米10年物TIPS(インフレ連動国債)の実質利回りが2.26%と昨年4月以来の高水準へ上昇し、利息を生まない貴金属の保有コスト(機会費用)が意識されていたことがありました。また、急騰を続けてきたAI関連を中心とするテクノロジー株に調整の動きが見られ、アジア株は月曜日の過去最高値から2%超下落、S&P500種株価指数も1%超下落しており、投資家の現金化の動きが広がっていました。

 

水曜日

金は一時3,959ドル、銀は55.61ドルまで下落し、それぞれ心理的節目の4,000ドル、60ドルを割り込みました。その後はやや買い戻され、金は4,000ドルを取り戻したものの、銀は58ドルを割り込む水準で低迷していました。

これは、FOMC後の利上げ観測の高まりに加え、心理的節目を割り込んだことで売りが売りを呼ぶ展開となったためです。

一方で、マイクロン・テクノロジーの決算への期待や、ホルムズ海峡を巡る供給懸念の後退による原油安とリスク選好の回復を背景に、テクノロジー株は反発し、資金が貴金属から株式へ移動していました。

 

木曜日

前日に心理的節目を割り込んだ金・銀価格は、同日発表された市場注目のインフレ指標を受け、金は4,000ドル台を回復し、銀は引き続き60ドルを下回っていたものの、トロイオンスあたり4,043ドル、58.99ドル前後へと一時反発し、その後上げ幅を削って推移していました。

米個人消費支出(PCE)コア・デフレーターは3年以上ぶりの高い伸びとなりましたが、ほぼ市場に織り込み済みであったことに加え、5月のデータであり、和平協議の進展を受けて足元で下落している原油価格を反映していないとの見方から、市場への影響は限定的となっていました。

同日も原油価格は下落し、イラン紛争以前の水準まで戻しています。

なお、今週の銀価格は金と比較しても下げ幅が大きく、金銀比価は70近くまで上昇し、昨年12月以来の高水準となっていました。

 

金曜日

本日の金・銀相場は、米ミシガン大学消費者態度指数で示されたインフレ期待が予想を下回ったことを受け、ドルインデックスと長期金利がともにやや低下したことで、トロイオンスあたり4,080ドル、59.04ドル前後へ上昇して推移しています。

しかし、2026年内の新規株式公開(IPO)を計画していたオープンAI2027年への延期を検討しているとの報道を受けてハイテク株が下落しており、株式市場のボラティリティの高まりが投資家心理を悪化させ、貴金属市場も上値の重い展開となっています。

 

一週間のドル建て金価格チャート 出典元 ブリオンボールト一週間のドル建て銀価格チャート 出典元 ブリオンボールト

その他の市場のニュ―ス

 

  • コメックス(COMEX)のデータによれば、ケビン・ウォーッシュ新FRB議長の米連邦公開市場委員会(FOMC)の前日616までの一週間に、金と銀価格が上昇していた際に、プラチナを除く貴金属の投機筋のネットロング・ポジションが増加していたこと。

  • 金のネットロングは前週比8.9%増の351.21トンと、127日の週以来の高さへ増加。2025年のネットロングの平均は465.8トンで、2024年は555.8トン。

  • 銀の先物・オプションは23.2%増の1,877トンと512日までの週以来の高さへ増加。2025年の平均は、5,132.4トン、2024年は4,231.0トン。

  • プラチナはネットロングが3.6%減で12.6トンと5週連続で減少して310日までの週以来の低さへ下げていたこと。2025年平均は、16.2トン、2024年は9.4トン。

  • パラジウムは、23日の週以来のネットロングから317日の週にネットショートへ転換し、5.6%減の14.1トンのネットショートと、前週の昨年923日の週以来の高さから減少していたこと。2025年の平均は19.3トンのネットショート、2024年は32.6トンのネットショート。

  • ETFの最大銘柄であるSPDRゴールド・シェアの残高は、今週13.42トン(1.32%)減で1,007.075トンと昨年926日以来の低さ。そこで前週の4週ぶりの週間の増加から、一転週間の減少。年間ベースでは2025年は、198.04トン(20.81%)増と4年ぶりの年間の増加。2024年は6.59トン(0.75%)減少。202338.53トン(4.4%)減、202257.2トン(5.9%)減、2021195トン(6.8%)減。

  • ETFの第2規模のiShare Gold Trustの残高は、昨日2週ぶりに増加したものの、今週5.67トン(1.21%)減で466.43トンで、昨年916日以来の低さで、3週連続で減少。年間ベースでは、2025年は101.09トン(23.35%)増と4年ぶりの年間増。2024年は5.91トン(1.29%)減、2023年は50トン(11.6%)減、202242トン(8.9%)減、202136トン(7.0%)減。

  • ETFの最大銘柄であるiShareシルバーの残高は、今週52.04トン(0.35%)増で14,991.13トンと、前週の2025718日以来の低さから5週ぶりの週間の増加。年間ベースでは2025年は2120.59トン(14.45%)増と2年連続で増加。2024年は720.44トン(5.3%)増。2023年は936.56トン(6.4%)減、2022年は1937トン(12.2%)減、2021年は867トン(4.2%)減。

  • 金銀比価(LBMA価格ベース)は、今週63台前半で始まり、木曜日69台後半と前年12月以来の高さへ上昇後、若干下げて終える傾向。2025年の平均は87.852024年平均は84.752023年は83.275年平均は82.44。値が高いと銀が割安、低いと割安感が薄れていることを示します。

  • 上海黄金交易所(SGE)とロンドン金価格の差は227日の週からプレミアムへ転換し、今週の週平均は、火曜日から木曜日までディスカウントであったことから、前週の4.40ドルから0.61ドルへ下げていたこと。2025年の平均は、2.85ドルのプレミアム。2024年平均は15.15ドルのプレミアム、2023年は29ドル、2022年は11ドル。需要増に加え、中国中銀の輸入許可制限も背景。過去5年平均は6.9ドルのプレミアム。

来週の主要イベント及び主要経済指標

 

今週の市場は、米国とイランの和平協議の進展に注目するとともに、木曜日に発表されたFRBがインフレ指標として重視する米個人消費支出(PCE)コア・デフレーターにも注目していました。

来週は米国の雇用関連指標の発表が予定されており、火曜日の雇用動態調査(JOLTS)求人件数、水曜日のADP全国雇用統計、そして金曜日の非農業部門雇用者数と失業率などが重要な材料となります。

 

その他、主要経済指標の発表スケジュールの詳細は、主要経済指標(2026629日~73をご覧ください。

 

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でも配信中です。ぜひご視聴、ご登録ください。

ロンドン便り

今週から日本に滞在していますので、ロンドン便りは、3週間ほどお休みさせていただきます。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者であると共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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