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金価格ディリーレポート(2026年8月7日)米雇用統計の悪化で金は2020年3月以来最大の週間上昇へ

 

金曜日、予想を大きく下回る米雇用統計を受けて急騰し、週間では新型コロナウイルス危機の最中だった2020年3月以来で最大の上昇率となりました。一方、中国人民銀行は約3年ぶりとなる大幅な金準備の積み増しを発表し、ホルムズ海峡を巡る動向も引き続き地政学リスクとして市場の注目を集めました。

米国の7月非農業部門雇用者数(NFP)は2万3000人の減少となり、市場予想の8万人増を大きく下回りました。また、5月と6月の雇用者数も合計10万3000人分下方修正されました。一方、失業率は4.2%から4.1%へ低下し、平均時給の前年比伸び率も6月の3.4%から3.2%へ鈍化しました。

スポット金価格は、雇用統計発表前までにすでに1%超上昇していたところ、発表直後には中東情勢の緊張激化を脇に置き、トロイオンスあたり100ドル超急騰して4368ドルに達しました。ロンドン午後の金価格ベンチマークでは週間で約8%の上昇となる見通しで、世界の金融市場が新型コロナウイルス感染拡大によって激しく動揺し、安全資産への需要が急増した2020年3月以来の大幅な週間上昇となりました。

米国の月間雇用者数の伸びは、2021~22年に見られた異例の力強い雇用拡大から大幅に鈍化しています。労働市場は依然として底堅さを保っているものの、雇用創出は着実に減速しており、月平均雇用者数は2021~22年の49万1000人から2023~24年には16万6000人へ低下し、2025年初以降は2万9000人弱まで落ち込んでいます。過去19カ月では14カ月で10万人未満にとどまり、そのうち6カ月は雇用者数が純減となっています。

米非農業部門雇用者数と月間平均金価格 出典元 ブリオンボールト

「ここには過熱はまったく見られません」と、ニュー・センチュリー・アドバイザーズのチーフエコノミスト、クラウディア・サーム氏は述べました。7月の雇用統計では2万3000人の雇用減少に加え、過去2カ月分も大幅に下方修正されたことを受けたコメントです。

デリバティブ取引所CMEのFedWatchツールによると、9月の次回FOMCでFRBが政策金利を年3.50~3.75%に据え置くとの市場予想は、1週間前の約3分の1から現在は約5分の3へ上昇しています。

予想を下回る雇用統計を受けて、米ドルと米国債利回りも急低下しました。ドル指数(DXY)は約0.5%下落して約2カ月ぶりの低水準となり、指標となる10年物米国債利回りも約4.61%まで低下し、こちらも約2カ月ぶりの低水準となりました。また、金融政策に敏感な2年物国債利回りは約4.15%まで低下し、約3週間ぶりの低水準を付けました。

今週発表された米労働市場関連指標も、金曜日の雇用統計を前に雇用の鈍化を示していました。JOLTS求人件数は6月に736万件と、前月改定値の754万件から減少し、市場予想の744万件も下回りました。また、ADP全米雇用報告では、7月の民間部門雇用者数は4万4000人増となり、市場予想の7万5000人増を大きく下回り、6月改定値の9万5000人増からも減速しました。一方、同一企業に勤務する労働者の賃金上昇率は前年比4.4%で横ばいでした。

FRBは7月のFOMCで政策金利を据え置く「タカ派的な据え置き」を決定し、「雇用の増加は労働力人口の伸びに見合ったペースを維持しており、失業率の変化も小さい」との認識を示しました。ただし、決定は全会一致ではなく、3人のFOMCメンバーが即時利上げを支持して反対票を投じており、FRBが「雇用の最大化」と「物価の安定」という二重の使命のバランスを引き続き模索していることが改めて示されました。

ロンドン市場の公認地金業者(LBMAマーケットメーカー)であるスタンダード・チャータード銀行のグローバル・コモディティ・リサーチ責任者、スキ・クーパー氏は最近のインタビューで、「長期的には金価格が再び5000ドルを試す、あるいはそれに近づく可能性があるとの前向きな見方を維持しています」と述べました。同氏はその背景として、各国中銀による継続的な金購入、底堅いETF需要、地政学リスク、そして米ドルからの分散投資を挙げました。

本日公表されたデータによると、中国人民銀行は7月に金準備を20トン増やしました。これは2023年10月以来で最大の月間増加となり、21カ月連続の積み増しとなります。今年に入ってからの累計増加量は60トン超となり、保有量は2366トンに達しました。

また今週には、韓国銀行が13年ぶりに金の購入を再開したことも報じられました。同行はスポット金ETFへの投資を行うとともに、国内生産の地金購入も準備しており、地政学リスクの高まりや安全資産需要の増加を背景に、外貨準備に占める金の比率を段階的に引き上げる戦略へ転換しています。

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の最新レポートによると、世界の金裏付けETFの保有残高は7月に23トン増加し、2カ月連続の流出から流入へ転じました。地域別では、アジア上場ETFが年初来の資金流入を引き続き最も大きく牽引しています。

年間需要の約60%を工業用途が占める価格も、予想を下回る米雇用統計を受けて金曜日に5%超上昇し、トロイオンスあたり65.04ドルまで上昇しました。ロンドンのベンチマーク価格では、雇用統計発表前の時点で週間約11%高となり、米・イラン紛争が始まる前の2月末以来で最大の週間上昇率となりました。

プラチナとパラジウムも今週はともに約8%上昇し、プラチナは4月10日終了週以来、パラジウムは1月23日終了週以来、それぞれ最大の週間上昇となりました。

一方、原油価格は金曜日のロンドン昼時点では下落に転じ、北海ブレント原油は前日の3.8%上昇から0.3%安の1バレルあたり82ドル台前半で推移しました。当初は、イランが米国およびイスラエル船舶のホルムズ海峡通航を禁止し、敵対国には通航料を課す方針との報道や、イエメンのフーシ派がサウジアラビア支援部隊への大規模攻撃を実施したとの発表を受けて上昇しました。

しかしその後は、ホルムズ海峡の一時的な再開に向けた合意が進展しているとの報道や、弱い米雇用統計を受けた原油需要見通しの悪化が意識され、価格は下落に転じました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者であると共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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