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2026年初頭、金価格が1オンス5000ドルを超える過去最高値へ急騰する中、投資以外の金需要が急減

 

現在、世界の3分の2の国々で、金は宝飾品として購入するよりも投資対象として購入されています。

新たなデータによると、2026年初頭、金価格がトロイオンス5000ドルを超える過去最高値へ急騰する中、投資以外の金需要が急減し、とりわけ宝飾品需要がコロナ危機以来の低水準へ落ち込んだことが明らかとなりました。

一方で、金投資需要は重量ベースでは堅調を維持し、純額ベースでは過去最高を更新しました。これは、2024年以降、中国やインドといった主要消費国で見られていた「装飾品としての金」から「投資対象としての金」へのシフトがさらに進んでいることを示しています。

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BullionVault の分析によると、新たに発表されたデータでは、世界の宝飾品需要と工業用途需要を合計した純需要(スクラップ売却・リサイクル控除後)は、2026年1~3月期にわずか50トン程度にとどまりました。これは、2020年の世界的パンデミックによるロックダウン期を除けば、現在の統計開始以来で最低の四半期水準となります。

これに対し、金貨・地金需要に加え、金ETFへの流入、さらに中央銀行の金準備増加推計を合わせた投資需要は、鉱業業界団体である World Gold Council の2026年第1四半期データによれば、約780トンに達しました。

これは重量ベースで前年の四半期平均とほぼ同水準であり、2020年代平均を約40%上回っています。

四半期ごとの金需要の投資需要と投資以外の需要の推移 出典元 WGCのデータからブリオンボールトが作成

消費者による売却を考慮する前の段階で、「宝飾品需要はコロナ禍以来で最低の四半期となった」と、専門調査会社 Metals Focus が収集・分析したデータを掲載したWGCレポートは述べています。

しかし金額ベースでは、世界の宝飾品需要は「前年比31%増の470億ドルとなり、第1四半期として過去最高の支出額を記録した」とされています。

ただし、リサイクル供給額はその宝飾品購入額を100億ドル上回り、2010年第1四半期以降の統計で過去最高を更新するとともに、重量ベースでも2020年第3四半期以来最大のスクラップ供給となりました。

一方、工業用途需要は金額ベースで130億ドル近くと過去最高を記録したものの、重量ベースでは過去10年間の四半期平均とほぼ変わりませんでした。

「高価格に加え、観光や娯楽への消費支出との競争、可処分所得の低下、軽量製品への嗜好が販売減少を招いた」と、Metals Focusは世界最大の金消費国である中国の宝飾市場について指摘しています。また、小売ブランドが積極的な販売目標を設定しなかったことも要因とされています。

その一方で、中国では「金投資が急増した」とMetals Focusは述べています。2024年にはすでに「準投資型ジュエリーから金地金購入へのシフト」が始まっており、2025年には小口金投資需要が史上初めて宝飾品需要を上回りました。

WGCの現行データシリーズで追跡されている32カ国のうち、2010年時点では金貨・小型地金需要が宝飾品需要を上回っていた国はわずか6カ国でした。

その数は2013年の金価格急落時に8カ国へ増加し、さらに2019年の世界的な消費低迷や2020年のコロナ禍では、タイ、ベトナム、トルコ、ドイツ、スイス、オーストリアに加え、台湾や韓国も含まれるようになりました。

そして2020年代に入って以降、その数は2025年には32カ国中16カ国へ増加し、2026年第1四半期には22カ国へ急増しました。その中には、中国、イラン、トルコ、米国に加え、オーストラリア、日本、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ロシア、エジプト、英国、カナダなどが含まれています。

WGCアジア太平洋(インド除く)調査責任者の Ray Jia 氏は、中国における第1四半期の「金地金・金貨販売は急増した」と述べています。背景には、世界および地域の地政学リスク、金価格の力強い上昇トレンド、そして投資目的の宝飾品購入者が、上海黄金交易所経由の購入に対するVAT負担増を受けて地金へ移行したことがあると説明しています。

一方、世界の宝飾品需要についてWGCは、「1月の過去最高値への価格上昇が需要を締め付けた」と述べ、「その後価格調整があった後も、金価格は過去の歴史的水準を大きく上回っていた」としています。

2026年第一四半期における世界の金価格平均は、トロイオンスあたり約4873ドルとなり、前年同期比70.4%上昇しました。これは1980年第3四半期以来、最速の年間上昇率となります。

今後について、世界第2位の金消費国インドに関し、WGCインド調査責任者の Kavita Chacko 氏は、「宝飾品需要は経済およびインフレ圧力によって引き続き抑制される一方で、投資需要がインドの金市場を支える可能性が高い」と述べています。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチダイレクターとして、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。



弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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