ニュースレター(2022年12月9日)利上げ減速観測にリセッション懸念も加わり金上昇
- 長年ロンドン貴金属決済を行うブリオンバンクの1行で、金と銀の値付けをしていたものの2014年に貴金属現物取引から撤退し、ロンドン貴金属協会(LBMA)から退会していたドイツ銀行が、顧客の需要からも再びLBMAへ復帰すべく会員申請を行ったことが本日伝えられています。
- 水曜日に中国の中央銀行が11月に3年以上ぶりに32トン金準備を増加させたことを発表していたこと。第3四半期に中央銀行が四半期としては最高の399トンの金準備を増加させていたことがワールドゴールドカウンシルによって発表されていたものの、多くの金準備はどの国であるかが公表されておらず、ロシアと中国という観測であったことから、この観測が中国においては正しくなかった模様。
- 先週末に発表された前週火曜日のコメックスの先物とオプションのポジションは、パウエルFRB議長のハト派的と捉えられた講演の前にドルインデックスが若干下げる中で、金とパラジウムででネットで強気ポジションが減少する中で、銀とプラチナムでは増加していたこと。
- コメックス金の先物・オプションのネットポジションは3週連続でネットロングであったものの、12%減の87トンと減少していたこと。この間LBMA PM金価格は前々週比0.6%高で1753ルと上げ、建玉は前週比2%減で、2016年2月以来の低さへ下げていたこと。
- コメックス銀の先物・オプションのネットポジションは、4週連続でネットロングで、16%増で2,285トンと増加していたこと。この間LBMA銀価格は0.5%高で21.37ドルと下落していたこと。
- コメックスのプラチナ先物・オプションは、17週のネットショート後に8週連続でネットロングで、そのポジションは5%増の31.9トンと減少していたこと。LBMA PMプラチナ価格は0.4%安で993ドル。
- コメックスのパラジウム先物・オプションのネットポジションは7週連続でネットショートで163%増の2.2トン。LBMA PMパラジウム価格は2.6%安で1831ドル。
- 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに2.6トン(0.3%)増で908トンと、週間の増加傾向。
- 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに0.7トン(0.1%)減で450トンと15週連続の週間の減少傾向。
- 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに0.01トン増と若干増の14,793トンで、2週連続の週間の減少傾向。
- 金銀比価は、週初めの半ばの79台をピークに本日は77台へと4月以来の低さへ下げて終える傾向。2021年平均は71.83で、5年平均は80.35。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消されたこととなる。)
- プラチナの金と差であるプラチナディスカウントは、週半ばに788へ上げたものの779で終える傾向。2021年平均は708.82ドルで5年平均は564.76ドル。
- プラチナとパラジウムの差であるプラチナディスカウントは、今週899で始まって852へ下げて終える傾向。ロシアが世界の4割を供給することからもロシアのウクライナ侵攻で2000ドルを超えてディスカウントが上昇。年初は1000ドルほど。
- 上海黄金交易所(SGE)のロンドン金価格との差は、今週も人民建て金価格が多少前週から下げる中で、プレミアムでその平均は13ドルと前週の11ドルから上昇していること。(ロンドン価格と上海価格の差:プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)昨年平均は4.94ドル。コロナ禍で特殊な動きをした2020年を除く5年平均は9ドル。
- コメックスの先物・オプションの週間の平均取引量は前週から金は27%減で15週ぶりの低さ、銀は24%減で5週ぶりの低さ、プラチナは29%減で2週ぶりの低さ、パラジウムは28%減で7週ぶりの低さと低い水準となっていたこと。
- 主要経済指標(2022年12月5日~9日)今週の結果をまとめています。
- 主要経済指標(2022年12月12日~16日)来週の予定をまとめています。
- 金価格ディリーレポート(2022年12月5日)中国のゼロコロナ政策緩和の中でコメックスのショートカバーが金と銀を数か月ぶりの高さへ押し上げる
- 【金・銀投資家インデックス】銀地金はショートカバーの価格急騰で利益確定売りに押される