金市場ニュース

ニュースレター(2020年8月21日)ドルと長期金利が下げて上昇したもののFOMC議事録の内容が期待以下で金は下落

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1926.61ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.93% 下げ、8月7日の史上最高値後2週連続の下げとなりました。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり26.92ドルと前週のLBMA価格(午後12時)から0.81%下げ、やはり2週連続の下げとなっています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では910.94ドルと前週金曜日のLBMA価格から4.31%と他の貴金属より大幅に下げ、やはり2週連続の下げとなっています。

今週金相場は週初めドルが多少弱含み米長期金利が下げる中でトロイオンスあたり2000ドルを超えて上昇したものの、利益確定の売却とFOMC議事録の内容に反応する中で下落し、先週の終値を多少下回る1940ドルを割る水準で終えることとなりそうです。

なお、この間米国主要株価指標は上昇を続けており、S&P500種は4週連続の上昇と今年最長の上昇を続けています。

まず今週金をサポートしていた要因としては下記のようなものとなります。


  • 前週末行われる予定だった米中貿易協議が延期されたこと。

  • 先週金曜日にトランプ大統領が中国IT企業「バイトダンス」に対し、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の米事業を90日以内に売却するように正式な命令を出していたこと。

  • 米国の追加経済対策は与野党協議が物別れで夏休みに入ったこと。

そして、週半ばから金を押し下げた要因は次のようになります。


  • アップル社が時価総額で2兆ドルを超えるなど、テクノロジー株が上昇していること。

  • 米追加経済対策を巡る与野党協議の進展があるとの見方が広がっていたこと。

  • FOMCの内容が期待に沿わなかったこと。それは、イールドカーブ・コントロールに否定的であったこと。そして、長期金利は十分に低い水準であるという認識を示し、金利の付かない金が押し下げられたこと。

  • 米中貿易協議に関して、中国サイドが先週末行われる予定だった協議を両国政府は近日中に開くことで合意した」と木曜日明らかにしていたこと。

しかし、昨日発表の米新規失業保険申請件数は予想の92.3万件を上回り110.6万件となったこと、またフィラデルフィア連銀製造業景気指数も予想を下回ったことで、ドルが弱含み長期金利も下げたことからも、金を支えることとなりました。

ところが、本日発表の中古住宅販売件数が史上最高の上昇率を見せたことが明らかとなり、また米国製造業とサービス部門のPMIも予想を上回ったことで、リスクオン基調となる中で、ドルは上昇しており、金は一時1911ドルまで下げて、その下げ幅を取り戻してロンドン夕方に1940ドルを割る水準で推移しています。

ブリオンボールト・リアルタイム金価格チャート

その他の市場のニュ―ス


  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週11日に前日の高値から金価格が9%下げた際に、金と銀で減少し、プラチナとパラジウムで増加していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは前週比13.46%減の467トンと3週連続で下げて8週ぶりの低さとなっていたこと。そして建玉は6週連続で100万枚を超えていたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比27.2%減の3,569トンと3週連続で下げて12週ぶりの低さとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比16.21%増で23.97トンとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比1.33%増の10.63トンとなっていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で4.1トン(0.3%)増で1252トンと先週の20週ぶりの週間の減少後、再び週間の増加の傾向であること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週は週間で1.28トン(0.25%)増で503.29トンと過去最大を更新し、22週間連続の週間の増加傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週115.84トン(0.65%)減で17,817トンと、15週連続の週間で増加後、週間としては減少傾向であること。

  • 金銀比価は今週70~72台を推移し、銀割安傾向は3年ぶりの水準まで解消していること。

  • 今週上海黄金交易所(SGE)のディスカウント(ロコ・ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)は、今週の平均が75.17と再び過去最大を更新していたこと。

  • コメックスの金取引量は今週金価格がトロイオンスあたり2000ドルを再び超えたものの維持できず下げる中で、週平均量で前週比3%減少し、引き続き3月のロックダウンで先物価格と現物価格の差が広がる前の水準となっていること。

来週の主要イベント及び主要経済指標

来週は木曜日と金曜日にジャクソンホールでテレビ会議方式で経済シンポジウムが行われ、ここでパウエルFRB議長が講演をするために、今後の金融政策の示唆があるのかが注目されます。

また、今週もドルと米長期金利の動きに金は反応していたことからも、これらを動かす可能性のある経済指標やニュースへ市場は注目します。

経済指標としては、火曜日に米国ケースシラー住宅指数と新築住宅販売件数やリッチモンド連銀製造業指数、水曜日の米耐久財受注、木曜日の米第2四半期GDPと個人消費とコアPCE、新規失業保険申請件数、金曜日は米国個人所得と個人消費支出とシカゴ購買部協会景気指数とミシガン大学消費態度指数などとなります。

そして、米中貿易協議、米国の追加経済対策の与野党協議、新型コロナウィルスのワクチンや感染率に関するニュースなども重要となります。

なお、来週の主要経済指標の詳細は主要経済指標(2020年8月24日~28日) をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。

ロンドン便り

今週ロンドンでは、先週こちらでお伝えした、大学入学レベルであることを示す一般教育終了上級レベル(通称Aレベル)の結果について、英国政府がUターンを行い、標準化モデルを取りやめて担当教師が出した結果とするとしたこと、それによる影響などが大きく伝えられています。そこで、この事後談を簡単にお伝えして、その関連の心の温まるエピソードもご紹介しましょう。

政府がUターンをせざるを得なくなったのは、既にスコットランドがその決断をしていたことに加え、ウェールズも同様の措置をとっていたこと。そして、標準化モデルが近年の結果に沿ったものとするために成績の幅が大きい公立校が不当に下げられていたこと、それに対し1クラスの人数が少ない私立高校は標準化モデルの対象外となり、担当教師の評価がそのまま採用されているなど、不公平感が高まっていたことからでした。

しかし、先週お伝えしたように、この標準化モデルによって40%の成績が少なくとも一段階下げられていたことからも、全体の成績は近年の平均よりも高く付けられていたのですが、この調整がされないことによって、大学の募集人員よりも多くの生徒が入学可能な成績水準へと引き上げられたために、定員を上回る生徒を受け入れる大学側は、コロナ禍の感染対策の社会的距離の確保が困難となり頭の痛いものとなっています。

そのような中、心温まるニュースとは、このAレベルの結果を受けて希望の大学に入学できることが決まった女子学生が学費調達に苦戦してオンラインで寄付を募っていたところ、米人気歌手のティラー・スウィフトさんが彼女の目標としていた額にするために2万3000ポンド(約320万円)を寄付したとのことです。

この女子大学生ヴィクトリア・マリオさんで、ポルトガルから4年前に移住したことから、英国の学生が受けられる「メインテナンス・ローン」(学生が生活費に充てる奨学金)や助成金を受ける資格がないとのこと。

英国の学生は大学の学費は親に頼ることは少なく、将来の給与から払う「スチューデントローン」を受け、生活費は先のローンを受けて、それに加えてアルバイトなどをしながら大学での勉強と両立をしています。

英国に移住するまでは英語も話せなかったというマリオさんは見事にAレベルで好成績を得て、英国の中でも評価の高いウォリック大学の入学資格を得たとのこと。

マリオさんは、「お金のことや自分がやらなきゃいけないこと、それに仕事を探さなきゃいけないと、かなり心配していました。彼女(スウィフトさん)は私の夢を叶えてくれました」と述べたと伝えられています。

しかし、彼女のこれまでの頑張りがなければ、このような幸運を引き当てることもなかったろうとも思います。そのようなことからも、この嬉しいニュースをお伝えさせていただきます。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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