金価格ディリーレポート(2020年8月17日)金利上昇で金ETFの利益確定が進む中、米中関係悪化で金は上昇
金相場は月曜日昼過ぎに、上昇に転じていました。
これは、米中閣僚級協議延期、トランプ大統領がTikTok米事業の90日以内売却を命じる中でのことです。
金現物価格は、先週4.5%下落した後、月曜日にトロイオンスあたり1956ドルまで上昇し、ドルインデックス(主要通貨に対する米国通貨の価値を測る指標)は4営業日連続で下落していました。
米国長期金利はまた、基準となる10年物国債の利回りが先週木曜日の8週間の高値である0.71%から0.70%を下回り、金利を生まない金の機会コストを削減していました。
この金利の上昇は、先週行われた新たな30年物国債の260億ドルの入札に対する投資家の需要が予想を大きく下回り、財務省が新規借入の年利をより多く支払うことを余儀なくされたことからでした。
米国債利回りの上昇が「金の上昇軌道を抑制する」働きをしているにもかかわらず、「金のファンダメンタルズは健全に見える」とナショナル・オーストラリア銀行のエコノミスト、ジョン・シャルマ氏のコメントが ロイターの記事で引用されていました。そして、先週の価格下落は既存の投資家が利益確定を行っていたことが背景と指摘していました。
ブルームバーグのデータによると、金を裏付けとしたETFのネット需要は6営業日連続でマイナスを記録し、この最大銘柄のSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)はその残高を1.1%縮小させて、1,248トンへと減少させ、20週連続の週間の増加を止める事となっていました。
ワールドゴールドカウンシルによると、金を裏付けとするETFへの今月の資金流入は、7トン未満ではあるが、まだポジティブな状態が続いています。
米規制当局の報告書によると、著名ヘッジファンドBridgewaterのが6月末までの3ヶ月間に GLDとIAUの両方の株式を購入した一方で、伝説的な投資家ウォーレン・バフェットのBerkshire Hathaway Inc(NYSE: BRK.A)が第2四半期にBarrick Gold Corp(NYSE:GOLD)の株式を購入したことが明らかとなりました。このニュースは、世界第2位の鉱山会社の株式を1ヶ月間の安値近くから上昇させることとなりました。
バフェット氏は過去に繰り返し金投資を嘲笑し、黄色の金属は農場や会社のような生産性がないと言ってきました。しかし、BarrickはBerkshire Hathaway Incの前四半期における唯一の新規購入であり、Berkshire Hathawayはこの間米国の主要銀行の保有株を削減させていました。
本日月曜日の米国株式市場が今年の最高値を再び更新しようとしている中、欧州株式市場は本日中国人民銀行が1000億ドルの流動性を市場へ注入したことで中国株が上昇した基調を受け継ぎ上昇していました。
銀価格は先週の下落幅を半減してトロイオンスあたり27.23ドルと3%近く上昇し、プラチナも1.7%上昇してオンスあたり961ドルとなり、金に対するディスカウントはトロイオンスあたり1000ドルを下回っていました。
原油価格は、今週の原油産出国の生産量割当量を議論を行う今週のOPEC+会合を前に横ばいで推移しています。