金市場ニュース

ニュースレター(2019年8月9日)貿易戦争激化の懸念と中央銀行のサプライズ利下げで金は1500ドルを超える

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1497.58ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から3.9%上げ、金曜日のLBMA価格のPM価格としては、今年一番の高さで、6年4か月ぶりの高さとなっています。それに対し銀価格においては、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり17.01ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から5%の上げで、今年一番のLBMA金曜日価格となっています。なお、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上では864.05ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から2.7%上げています。

今週も米中貿易戦争の激化懸念、そして中央銀行の予想されていない利下げなどで、金は心理的に重要なトロイオンスあたり1500ドルを超え、再び6年4か月ぶりの高値を更新することとなりました。それでは、今週の価格の動きを日々追ってみましょう。

月曜日金相場は、ポンド建て、豪ドル建て、加ドル建て、ルピー建て、人民元建てでも史上最高値を記録しました。

この背景は、同日中国中銀が人民元を2008年の金融危機以来の低さの1ドル=7元台に下げることを容認したことで、市場はトランプ大統領の中国への追加関税に対する中国の報復と理解し、米中貿易戦争の激化観測が広がり、安全資産の需要が高まったことからでした。

また、同日は香港では抗議デモがゼネストへと拡大し、公共交通網がシャットダウンし、香港政府トップが「極めて危険な状況」と述べたことも香港株を3%押し下げるなど懸念を高めていました。

また、インド政府がジャム・カシミールの自治権をはく奪することを発表し、インドルピーが2013年来の大幅な下げを見せ、イランも週末に新たに外国の石油タンカーを拿捕したと報じ、地政学リスクの高まりの要因の一つとなっていました。

そこで、主要国債も安全資産として買われ、米国、ドイツ、英国などの国債利回りが、それぞれ1.75%、-0.52%、0.5%(史上最低値)と大きく下げていました。

翌火曜日金相場は、米株価が6日連続の下げから反発しドルも多少ながら上昇する等市場が落ち着きを取り戻す中で、トロイオンスあたり1476ドルと前日の6年3か月ぶりの高さから上昇していました。

同日は前夜米財務省が中国を「為替操作国」に指定したものの、中国当局が元安進行を抑制する姿勢を示したことで、米中貿易摩擦の激化への警戒感が和らぐこととなりました。

また、米国家経済会議のクドロー委員長が米中協議は9月に行われると述べたこと等も市場を落ち着かせるものとなりました。

水曜日金相場はドルインデックスが下げ、米株価が2か月ぶりの水準へ急落する中で、トロイオンスあたり1500ドルを超え2013年3月以来の高値の1509ドルへと上昇しています。

これは、同日発表されたニュージーランド、インド、タイの中央銀行が予想を上回る利下げ、もしくは予想外の利下げを行ったことで、経済先行きへの懸念が広がり、安全資産への需要が高まり、金同様に主要国国債が買われ利回りが大きく下げていることが懸念をさらに高めることとなりました。

同日は日本円建てでも40年ぶりの高さのグラム当たり5125円を付けていましたが、史上最高値は、第2次オイルショックでアフガニスタンへの侵攻が行われた際の1980年1月につけた6,495円となります。

木曜日金相場は、人民元の基準値が1ドル=7元と初めて7元台で設定されたものの、予想を下回っていたこと、また中国の貿易データが予想を上回っていたことも市場を落ち着かせ、株価と債券利回りも反発することとなりました。

金相場はロンドン時間トロイオンスあたり1495ドルまで一時下げたものの、底堅い動きで1505ドルで終えることとなりました。

これは、トランプ大統領の「大統領であれば強いドルを望むと思うだろうが私は違う」というツィートがサポートした模様です。

本日金相場は再び米中貿易戦争の長期化が警戒されてトロイオンスあたり1500ドルを超えて上昇しています。

これは、米政府が米企業と中国のファーウェイの取引再開への許可を先送りしたことが昨夜伝わり、トランプ大統領も来月の米中貿易協議を取り消す可能性に触れたことが要因の模様です。

また、イタリアの連立政権の一角の極右「同盟」がコンテ内閣の不信任案を上院議会に提出したと発表し、欧州株が下落していることも金をサポートしている模様です。

その他の市場のニュ―ス


  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに9.1トン増加し、840トンと昨年5月30日以来の高さとなっていること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までで1.9%増加し、再び史上最高値を記録していること。

  • 金銀比価は今週火曜日に89台まで上昇したものの、銀も金同様上昇をしていることから、昨日は87台へと下げていたこと。

  • 中国中銀が7月も金準備を10トン近く積み増していたことが伝えられています。このために直近の7か月間に毎月連続で金準備を84トンほど増加させていること。

  • 先週末に発表されたコメックスデータによると、貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、先週火曜日にトランプ大統領が中国を米中貿易協議が開催されている際に非難したことから、全ての貴金属で強気ポジションが増加していたこと。

  • コメックスの金先物・オプションの資金運用業者の建玉は、先週火曜日は100万枚は越えなかったものの、引き続き過去の平均の47%増の高い水準であったこと。

  • コメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週6.37%増加し720トンと4週間ぶりの高さとなっていたこと。

  • コメックスの銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に7週連続でネットロングで、20.6%増の10,159トンと、2017年11月14日以来の高さとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、2週連続でネットロングで、10.4%増の16.2トンとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションの資金運用者のネットロングポジションは1.72%増の44.6トンとなっていたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

来週重要指標は、FRBが金融政策上で注目する火曜日に発表される米国の消費者物価指数ですが、米中貿易協議関連ニュース、またFOMCメンバーの金利関係コメント等も重要となります。

その他経済指標では、火曜日のドイツ消費者物価指数、英国の失業率、水曜日の中国の小売売上高、鉱工業生産、ドイツとユーロ圏の第2四半期GDP、木曜日の米国の小売管理、ニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、鉱工業生産、金曜日の米国住宅着工件数とロイターミシガン大消費者信頼感指数などとなります。

ブリオンボールトニュース   

今週は弊社が毎月まとめている金投資家インデックスが発表されたことから、また金相場が大きく上昇したために、弊社のデータが多くの主要メディアで取り上げられています。


日経Quickニュースサイト: ゴールどこ?金相場みな強気⤴ 証券「3ヵ月で9%」個人「年末まで2割」

ドル建て金相場が6年半ぶりの高値を付け、日本の小売価格が40年ぶりの高値であることを伝える日経Quick社の記事で、ブリオンボールとの新規顧客が急増していること、また顧客が金価格が年末までに2割上昇していると予想しているデータが取り上げられています。

日本語で金の情報を網羅するゴールドニュースサイト: 【金投資家インデックス】金価格が主要通貨建てで数年ぶりの高値を記録する中で新規顧客が急増

弊社金投資家インデックスの最新数値のプレスリリースが取り上げられています。

英国主要日刊紙のDaily Express: ポンド建て金相場がトロイオンスあたり1226ポンドと史上最高値を付ける

この記事で、弊社リサーチダィレクターのエィドリアン・アッシュのコメント「米中貿易戦争、主要中央銀行の金融緩和政策は金を魅力のあるものとしている」が取り上げ、過去にこの水準に至ったのは、欧州債務危機の最中で英国では全国的な暴動が起きていた2011年の夏だったと述べ、中央銀行が今年記録的なペースで金準備を増加させていることも触れています。

欧州の主要経済サイトInvestmentEurope.net:ブリオンボールトによると欧州の人々は金へと向かった

この記事では、弊社が毎月発表している金投資家インデックスの7月数値が取り上げられ、先月は6年ぶりの水準へ主要通貨建てで金相場が上昇する中で、金需要が伸びていたこと、特にドイツが牽引して新規顧客数が大きく伸びていたことについても紹介しています。

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

また、今年に入り定期的に弊社リサーチダィレクターのエィドリアン・アッシュに代わり、弊社ディリーレポート(英文)をまとめていますので、今週からその翻訳版を下記のように市場分析ページに掲載しています。

ロンドン便り

今年英国は7月に北アフリカからの熱波で史上最高気温を記録しましたが、8月に入り一部地域では豪雨に見舞われているために、天候関連のニュースが日々伝えられていました。

今回多く伝えられていたのは、決壊の恐れのあるダムの状況でした。このダムは英国中部のダービシャー州にあるトッドブルック貯水池のダムですが、豪雨でダムの一部が崩れ、決壊の恐れが発生していたのでした。

そこで、近隣住民約1500人が緊急避難をし、この崩れたダムを英空軍のヘリコプターで土嚢を積み上げて崩壊箇所を強化する様子がニュースで幾度も伝えられていました。

幸いなことに、昨日この緊急避難は解除されて住民は自宅に戻られたようですが、今週末も天候は不安定であるようなので、引き続き警戒は続いているようです。

インタビューを受けた自宅に戻る人々の中には、当初取るものも取らずに滞在したホテルの所有者から宿泊代を無料にすることを告げられたこと、そしてその場にいた地域の方でこれから休暇に出る人に、その自宅に無償で滞在をすることを提案され滞在していたと話す方もいて、このような突然の災害の中でも助け合いの精神が生きていることを知り、心温まる思いでした。

残念ながら、今週末行われる多くの野外コンサートやイベントは強風と豪雨が予想されているために中止となったところが多いようですが、まずは人々の安全が第一という対応は理解できます。

日本も今年は7月の梅雨寒から8月は猛暑到来とのことですが、この週末からお盆休みで休暇を取られている方々も多いかとも思います。どうかくれぐれも熱中症にはお気を付けの上で、楽しい休暇をお過ごしください。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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