ディリーレポート(2019年8月8日)予想より高く設置された人民元等で国債利回りが落ち着きを取り戻す中で、金相場は1500ドル前後を推移
金相場は心理的に重要な水準のトロイオンスあたり1500ドルに昨日達しました。
本日は人民元の対ドルレートが予想より低めに設置されたこと、昨日利回りを大きく下げていた国債市場に落ち着きが取り戻される中で、金相場はその2013年4月以来の高い水準から多少下げて推移しています。
昨日3つの中央銀行が予想以上、また予想されていない利下げを行い、経済先行き懸念が広がり国債利回りが急落する中で、現物金地金価格は2.2%上昇し、トロイオンスあたり1509ドルを付けていました。本日金相場は1495ドル前後を推移しています。
人民銀行は、本日取引の目安となる基準値を2008年4月2日以来の元安水準の7.0039と1ドル=7元台に設置しました。
スイスの精錬会社MKS Pampのレポートでは「1ドル=7元台を超えたのは2008年以来初めてだが、市場はより高い値を予想していたようだ、それはその後USD/CNHレートが7.10から7.06へ急落し、株価が上昇し、国債利回りが上げ、金価格が約12.5ドル急落したことからも見ることができる。」と解説し、「その後中国の輸出入データが予想を上回ったことで金相場は1500ドルへと戻しつつある」と続けています。
本日フィリピン中央銀行は、経済成長とインフレーションが停滞していることからも、その政策金利を25ベーシスポイント引き下げ金融緩和を始めました。
昨日はニュージーランドとインドが予想以上の金利引き下げを行い、タイも予想されていなかった25ベーシスポイントの利下げを行いました。
また昨晩はシカゴ連銀総裁のチャールズ・エバン氏が「インフレの実を上げても先月のようなより緩和的金融政策を導入するとも見ることができる」と更なる利下げを示唆していました。
そのようなことからも、市場のFRBによる利下げ予想は、9月のFOMCで25ベーシスポイントの引き下げは100%予想されており、50ベーシスポイントは前週の15.4%から23.5%まで上昇していました。
なお、市場は年末までに3回以上の利下げを行うと予想しています。
本日ロンドン時間昼過ぎに米国債3か月物と10年物の利回りの差は29.8ベーシスポイントへと下げていますが、昨日は41.23ベーシスポイントと2007年3月以来の広い幅となっていました。このように長短国債利回りの逆転、そしてその幅の拡大は景気後退が近いことを意味します。
また、ドイツ国債10年物の利回りも昨日までの2015年以来の長期の下げてある9日連続の下げから一転し、2.5ベーシスポイント上げて-0.56%となっていました。また、昨日は他のよりリスクが高いと思われているユーロ圏のポルトガルやスペインの国債利回りも限りなく0に近づいていたのでした。なお、ドイツ国債は全ての利回りがマイナスとなっています。
金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、昨日1%増の845トンと14か月ぶりの高さとなっていました。
ゴールドマンサックスグループのアナリストは、すでに6年ぶりの高さの金価格がさらに上昇してトロイオンスあたり1600ドルへと今後6か月で達すると予想しています。
「経済成長への懸念が継続し、それは貿易戦争が激化したためであれば、金はより高くなる。それは、金の比率が未だ少ないポートフォリオマネージャーが金のETFへのアロケーションを増加させることからだ。」と水曜日のレポートで述べ、「金のETFは2016年の勢いを持ちつつある。そして、この短期間はこの勢いが継続すると信じている。」と続けています。
中国人民銀行のウェブサイトに掲載された最新のデータによると、中国中央銀行は金準備を直近で90トンを超えて増加させていることが明らかになっています。
これによると、6月までの7か月で計84トン増加させた後に先月金準備を10トンほど増加させています。
ワールド・ゴールド・カウンシルが最近中央銀行に行ったアンケートによると、54%の中央銀行がこれからの12か月で金準備を増加させることを予想しています。
なお、銀価格も昨日は4.4%と3年ぶりの急騰をして、トロイオンスあたり17.21ドルと1年ぶりの高さへと上昇していましたが、本日ロンドン時間昼過ぎには0.5%ほど戻していました。また、プラチナは0.7%下げてトロイオンスあたり861ドルを付けていました。