金価格ディリーニュース(2025年7月7日)トランプ大統領の反BRICS関税警告で、貴金属と株価が下落
米国ドルが数年来の安値から反発する中、金価格は月曜日に世界の株式市場とともに下落しました。これは、ドナルド・トランプ米大統領が「BRICSの反米政策」に同調するいかなる国に対しても追加で10%の貿易関税を課すと警告したことによるものです。
工業用貴金属である銀・プラチナ・パラジウムも下落しました。これは、4月初めにトランプ大統領が発表した「解放の日(Liberation Day)」関税を再発動する期限である水曜日を前にした動きです。
ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカを指すBRICS諸国は週末にサミットを開催しましたが、11カ国中6カ国の首脳がリオデジャネイロでの会合を欠席しました。欠席者には、世界最大の金生産・消費国である中国の習近平国家主席、第3位の金生産国ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も含まれていました。
リオ・サミットは、「貿易を歪め、世界貿易機関(WTO)の規則と整合しない一方的な関税および非関税措置の増加」に対して深刻な懸念を表明する」というBRICS共同声明を出して終了しました。
アジアの株式市場が月曜日に下落し、ニューヨークのテック株主体のナスダック総合指数がトランプ大統領の反BRICS発言を受けて0.4%安で取引を開始した中、MSCI世界株指数(MSCI ACWI)は0.2%下落。一方で欧州の株式市場は上昇し、木曜日に記録した史上最高値からわずか0.3%安で推移していました。
金の現物価格は本日、一時1.2%下落してトロイオンスあたり3296ドルとなりましたが、これは先週月曜日の5週間ぶり安値よりもまだ50ドル高い水準です。米ドルの主要通貨に対する価値を示すドルインデックスは最大0.4%上昇し、これは過去3週間で最大の上昇率となりました。
「反米的なBRICSの政策に同調するいかなる国に対しても、追加で10%の関税を課す」とトランプ大統領はTruth Socialに投稿し、「この方針に例外はない」と付け加えました。
「もし『解放の日』が地震だったとすれば、今回の関税通知は余震のようなものだ」と、ロイターに取材されたあるポートフォリオマネージャーは述べています。
「たとえ(関税率が)以前の10%より高くても、今回の措置が市場に与える影響はそれほど大きくはないだろう」とも語りました。
トランプ大統領による4月2日の「解放の日」関税は金には適用されなかったものの、株式をはじめとするリスク資産を大きく押し下げ、金価格はその後1週間で最大3.4%下落しました。しかし、その後は反発し、2025年年初からの上昇率は27.6%に達しており、金は米ドル建てで再び史上最高値を更新しました。
工業用金属である銀・プラチナ・パラジウムは、それぞれ4月9日までに10.9%、6.1%、8.4%下落しましたが、その後回復し、現在では年初来でそれぞれ27.6%、50.8%、23.4%の上昇となっています。
MSCI世界株価指数も「解放の日」の下落から回復し、それを上回って、年初から本日までに10.1%上昇しています。
アメリカのスコット・ベッセント財務長官は日曜日、「今後72時間は非常に忙しくなるだろう」と述べました。これはトランプ政権が設定した関税再発動の期限が迫っていることを受けた発言で、関税は早ければ来月初めに発効する可能性があルトのことです。
「このプロセスを進めなければ、8月1日には再び4月2日と同様の関税水準に逆戻りすることになる」と彼は警告しました。
これまでのところ、トランプ政権はイギリス、中国、ベトナムと貿易協定を発表しています。イギリスは「解放の日」に課された10%の対米輸出関税を維持しており、中国はほとんどの品目で関税を145%から30%に一時的に引き下げ、ベトナムは通常品目に最低20%、中国を経由する品目にはさらに20%の関税を課されています。
本日、ユーロ建ての金価格は0.7%下落して、1週間ぶりの安値であるトロイオンスあたり2814ユーロ前後を推移していました。英国ポンド建ての金価格も0.8%下落してトロイオンスあたり2424ポンドとなりましたが、これらの通貨建て価格は、為替市場でユーロとポンドがドルに対して下落したため、ある程度下支えされていました。