金市場ニュース

ディリーレポート(2019年8月5日)金価格がポンド、人民元、ルピー建てで史上最高値を記録

金価格が月曜日午前中に、米中貿易戦争が激化する中で、中国が人民元を1ドル7元台に下げることを容認したことで、主要通貨で数年ぶりの高さへと急騰しました。

そのような中で、香港においてはデモが過激化し香港行政長官が「極めて危険な状況」と述べるなど、緊張を高めています。

金現物価格はほ本日ポンドと加ドルと豪ドル建てで史上最高値を記録し、ユーロ建てにおいては6年7か月ぶり、ドル建てにおいては6年3か月ぶりの高値を付けていました。そして、円高が1月以来の水準となっていた円建てにおいても4年半ぶりの高さを付けていました。

 

ドルインデックスは0.4%下げる中で、金価格はロンドン昼過ぎに1.7%上げのトロイオンスあたり1465ドルを付け、2013年4月15日以来の高さとなっていました。

そしてポンド建て金相場は、ボリス・ジョンソン新首相が早期の総選挙に踏み切るのではないかとの観測が広がる中でポンドが31か月ぶりの低さへと急落する中で、やはり1.7%上昇しトロイオンスあたり1204ポンドと、2011年8月の高値1194ポンドを更新していました。ユーロ建ては1%上げのトロイオンスあたり1309ユーロを付けていました。

中国の人民元は本日2015年8月に人民元レートを切り下げて以来の急落を見せていました。人民銀行は、通貨を一定の水準で安定させることはできるが、1ドル7元へと下落したのは、保護主義によるものだと述べていました。人民元が7元台へと下げたのは、世界金融危機の2008年以来です。

「中国は過去に控えていた(通貨引き下げ)を今回は明らかに報復として行ったと思う。」とバンクオブアメリカ・メリルリンチのグローバルリサーチのFXストラテジストの責任者のClaudio Piron氏は月曜日述べています。

中国政府はそれに加え、金曜日にトランプ大統領の中国製品3000億ドル相当に対する10%の追加関税に対して対抗措置を用意していると述べたように、中国国有企業に対して米国産の農産物の輸入を停止するよう要請したことも伝えられていました。

また、香港においては、香港政府トップを務める林鄭月娥行政長官は2週間ぶりに会見し、5日ゼネストが呼びかけられ、香港国際空港を発着する240便以上が欠航になったほか、地下鉄やバスなど公共交通機関にも影響が広がったことからも、抗議デモが香港を「極めて危険な状況」の瀬戸際に追い込んでいると改めて指摘していました。ちなみに、ハンセン指数は景気への悪影響を懸念して一時3%超下げていました。

世界株価も本日も6営業日連続で下げており、MSCI Asia Pacific Index は10月以来の下げ幅を見せ、欧州株は2か月ぶりの下げで、pan-European STOXX 600 indexは金曜日の2.5%の下げに加えてロンドン昼過ぎまでで2%下げと今年一番の下げ幅となっていました。

金の世界第2の消費国のインドは、本日ジャム・カシミールの自治権はく奪する大統領令に署名し、インドルピーが2013年以来の最大の下げを記録し、ルピー建て金相場は史上最高値を付けていました。また、世界最大の金消費国の中国の上海黄金交易所の金指標もまた3.25%上げのグラム当たり332人民元を付けて最高値を更新していました。

安全資産の需要は金にのみならず主要国債にも及び、米国10年物国債の利回りは7営業日連続の下げで1.75%、ドイツ10年物国債は-0.52%へと下げ、英国10年物国債は0.5%を下回り史上最低値を更新していました。

イランもまた、週末に「外国の石油タンカーを拿捕」したことを報じ、地政学リスクの高まりの要因の一つとなっていました。これにより原油価格は4年ぶりの下げ幅の先週の8%に加え、本日1%下げを見せています。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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