ニュースレター(2014年1月31日)1251ドル 新興国通貨危機で金が急騰、しかしFOMCの量的緩和縮小継続で下落
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1251ドルと前週同価格から1.3%の下げとなっています。
週明け月曜日は、金価格は下げることとなりました。これは、前週後半の新興国通貨の急落を受けて、リスクオフが進んでいた市場ですが、トルコ中銀が臨時の金融政策決定会合を開催することを発表するなど、対応策が講じられるという期待が広がったことなどから、上昇していた金の利益確定売りが進んだ模様です。
また、水曜日開催されるFOMCにおいて、さらなる量的緩和縮小が予想されていたことも、金を押し下げる要因となった模様です。
火曜日は、翌日のFOMCの発表を待つ中、1250ドル台で狭いレンジの取引となりました。これは、新興国通貨の急落に発端した市場の混乱は、トルコ中銀の利上げが発表され沈静化すると見られたからです。ちなみに、この利上げ幅は市場予想の2.25%をはるかに上回る4.25%となり、トルコ政府の通貨安打開の姿勢を強く印象付けるものとなりました。
また、先同様に市場の懸念を高めていた中国の高利回り信託商品のデフォルト懸念もまた、中国工商銀行が、元本返済を受けるための権利を不特定の買い手に売却することができたと伝え、沈静化することになりました。中国工商銀行は、これまで救済をすることを否定していたことからも、この救済は中央政府の意向と見られています。
水曜日、市場注目のFOMCでは、予想通り債券購入額を100億ドル縮小することを2会合連続で全会一致で決定しました。これを受けて、金価格は一時下落したものの、その後回復し1270ドル近くへと急騰しました。これは、FOMCの声明で、新興国の通貨安に関わる混乱に言及がなかった事などから、量的緩和縮小継続で新興国から引き上げが進んでいる資金による更なる通貨安への懸念が広がったことから、株安となり金が買われた模様です。
また、前日沈静化したトルコのリラが再び下げ、南アフリカのランドと、ロシアのルーブル、ブラジルのレアルなども急落したいることも、懸念を深めたようです。
木曜日は前日の上げの反発と、米国第4四半期GDPが予想に沿った好調なものであったことなどから、金価格は大きく下げることとなりました。これは、前日のFOMCで量的緩和が継続縮小されることが発表され、GDPの結果で今後もその路線が続くという観測が広がったためです。
また、中国が金曜日が旧正月で長期の休暇に入ることもあり、この国からの需要の伸びが抑えられることも、多少要因となったようです。
金曜日は、前日と比べて比較的狭いレンジの取引となりました。
他の市場のニュース
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香港から中国への金の輸出が前月比24%増となり、2013年のネットの中国の金輸入量が1158トンとなったこと。 -
日本が2013年にネットで金の購入国となったことが伝えられたこと。この詳細は、「2013年に日本の金購入量が売却量を上回る」をご覧ください。 -
また、純金積立の規模では第三位の住友金属鉱山が個人向けの金販売事業から撤退すると発表したこと。この純金積立事業は11月1日付で田中貴金属工業に事業移管されます。
ブリオンボールトニュース
弊社サイトに今週から中国語が加わりました。まずは、中国本土外に居住の中国人の方々へサービスを提供すべくマーケティングを開始いたします。中国語サイトは下記のリンクでご覧いただけます。
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
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ブリオンボールト・リサーチ主任エィドリアン・アッシュの「なぜ中国の急増する金の需要が金価格をまだ動かさないのか」、「量的緩和縮小が金の世界第4位の消費国を打ちのめす」 -
ブリオンボールト・リサーチ部門の「2013年に日本の金購入量が売却量を上回る」 -
はじめての金読本の「年金と金の深い関係」
今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週からロンドンオフィスに戻ってきています。まずは、先週もお届けした英国の天候を簡単にご紹介します。英国は記録的な雨量で、昨日までの段階で今年1月の雨量は1910年来の記録であるとのこと。本日も雨模様ですので、おそらく観測史上最大の雨量となるとのことです。
さて、今週の英国からのニュースは、心温まる話を一つお届けします。
今週、多くの主要メディアは、ソーシャルメディアのツィッターを利用して、命の恩人を探したJonny Benjamin氏のニュースを取り上げていました。Benjamin氏は、6年前にロンドンの中心にあるウォータールー橋で自殺することを考え、その端に立っていました。そこを通りがかりのNeil Laybourn氏が見つけ、30分ほどBenjamin氏と話すことで、自殺を思いとどまらせたとのこと。
しかし、その後2人は再び会うこともなく、Benjamin氏は彼の命の恩人を探すことを決心し、ツィッターを使った#findmike(マイク[命の恩人の仮の名前]を探せ)という運動を1月13日に開始したのでした。
この46,000を超えるツィートは英国全土はもちろんのこと、米国、アルゼンチン、ドイツ、オーストラリアやタイを含む世界に飛び、それに関するフェイスブックの投稿をLaybourn氏の婚約者が2日後に見つけて、今週火曜日に晴れて二人の再開がかないました。
Benjamin氏は、自殺を試みた当時、精神分裂病と診断され、この病とともに生きることに望みを持てなかったとのこと。現在は精神の健康のためのキャンペーンを行う運動家として、人々の精神病への正しい理解を深めることに携わっているとのことです。
自殺を試みている人を、特別な訓練を受けていない人が思いとどまらせることを試みることは、奨励はされていません。しかし、Laybourn氏によると多くの人々が関心を向けることなく歩き去る中、何かをしなければならないと考えたとのこと。そして、Benjamin氏は、彼が立ち止まり、時間をかけて心を落ち着かせてくれたことを心から感謝しています。
6年前に彼らが出会うことがなければ、今現在Benjamin氏が他の精神疾患患者を助ける側に立つこともなかったことでしょう。
彼らの再会時の様子は、ここでYouTubeでご覧いただけます。