2013年に日本の金購入量が売却量を上回る
欧米のファンドマネジャーが金の売却を行い、円建て価格が世界の価格同様に下落したことから、日本の金購入は売却を上回り、2013年に2008年以来初めてネット購入国となった。
財務省が30日発表した貿易統計によると、2013年の金輸入量は前年の約2.5倍の27.7トンに膨らんだ。2008年(35.2トン)以来5年ぶりの高水準。12月の輸入量は、前年同月の約11倍と大幅に伸びていることを、時事通信社が伝えている。
これは、4月の消費税率引き上げを前に、駆け込み需要を見越して大手地金取扱業者が輸入量を増やしているとみられる。
トムソン・ロイターGFMSもまた、日本の個人投資家が、2013年後半に、2014年4月からの5%から8%への消費税値上げを見越し、金購入を行った可能性があるとコメントしている。
徳力本店の新井部長によると、足元では金地金の売り買いは活発ではないというが、4月1日からの消費税引き上げを控えて「駆け込み需要がど れだけ出てくるかが今後の 大きな動きの一つ」とのこと。金地金の売買は消費税込みで行われるため、消費税の導入時や1997年に3%から5%に引き上げられた際には直前に駆け込み 需要が生じている。
日本の宝飾品の需要は、2012年から8%増加した。それに対し、現金化を目的とした、個人保有の金の売却や、廃棄される電化製品から取り出される金などのリサイクルの金は、8分の1へと減少している。
また、先週日本最大の地金商、田中貴金属における顧客への販売量が、2013年に前年比6割強増の37トンとなったことを発表した。同社の顧客からの買い取り量は23%増の35トンと、9年ぶりに金販売量が金買取り量を上回った。
田中貴金属は、「近年の金を売却する傾向から保有する傾向に変化していることが伺える」と分析している。
なお、日本における地金商で第2位の徳力本店と第3位の石福金属興業でも昨年の金地金の販売量は、それぞれ2.2倍と20%増と伸びている。「価格が下落した局面で購入していく顧客が多かった」と徳力本店・地金部の新井昌広部長はブルームバーグに語っている。
東京商品取引所(TOCOM)の金取引量もまた昨年増加し、長期の傾向であった取引量の減少から反転している。TOCOMの金取引量は、円建て価格が数十年の低迷から上昇直後の2003年に重量においてピークとなった。
円建て価格はその後下落し、30年ぶりの高値に2012年から2013年になっている。
日本の消費者物価指数は、20年間下落もしくは横這いを続けた後、昨年末までに1.2%上昇している。
エコノミストは、安部首相のアベノミクスがその要因とし、それと共に日銀による異次元の量的緩和を要因としている。この金融政策は、日本のマネータリーベースを2015年までに、2倍とするものであり、デフレから脱却し、インフレ率を年間2%へと引き上げることを目標としている。
「投資家はアベノミクスが円安を導くものと懸念している」とフジトミのアナリストである斉藤和彦氏がブルームバーグに田中貴金属のデータに関連してコメントしている。