量的緩和縮小が金の世界第4位の消費国を打ちのめす
トルコの金の輸入は、2013年にすでに倍増していました。このように、通貨安が引き起こる前に購入していたことは賢明であったと、今となっては言えるかもしれません。
8%から12%へと大幅な利上げを火曜日の夜に行ったトルコの中央銀行は、リラの下落を止めることができませんでした。
米連邦準備制度理事会の量的緩和縮小継続のニュースが伝わった後、トルコ中央銀行(CBRT)は、「為替管理を行う準備をしていない。また、そのような計画もない。」と今朝ロイター通信にコメントしたということです。
多くのアナリストは、金価格の6%の上げを、連邦準備制度理事会の量的緩和縮小による新興国市場の通貨安と関連付けています。それでは、このトルコ当局の「Reassurance(為替管理を行わないという確約)」は、国内の貴金属需要にどのような影響を及ぼすのでしょうか。ドルが感情的には安全であると見えたとしても、金と銀は、通貨危機の懸念が高まる中では、貯蓄者にとって選択肢として際立つことでしょう。そして、すでに昨年、トルコの金と銀の輸入は急増しているのです。そして、イスタンブール金取引所によると、世界第4位の金消費国の金の輸入量は倍増し、1995年以来の高い水準となったのです。銀の輸入も60%増の1999年以来の高水準となりました。
それでは、タクシム広場の反政府運動とそれに対する政府の行き過ぎた対応は、貴金属の需要の急増にどれだけの影響を与えたのでしょうか。これについては、アナリストはコメントしていません。世界の最大の金貨鋳造国であるトルコは、2013年にその金貨鋳造量を倍増させました。その内の多くは、金輸入の増加がイランへの金の輸出を急増させたように、国外の需要もまた満たしたことでしょう。しかし、トルコの国内の需要の増加は、4%以上の経済成長率の倍増によるものなのか、それとも、将来の国内情勢への懸念によるものなのかは明らかではありません。
もし、後者である場合、これは現実となりつつあるようです。トルコのリラ建ての金価格は、2014年に11%上げています。しかし、金を購入して自宅で保管するだけでは十分ではないかもしれません。
為替管理とは、政府が国外に資本が流出するのを防ぐことであり、自国通貨を守るために、自国通貨を売り他の通貨や資本(特に国外の資本)に変えることを防ぐというものです。
このような管理体制は、アジアの新興国においては未だに行われていることです。インドにおいては、インド準備銀行の承認なしには、資金を国外に出すことができません。そして、しばしば、通貨から逃れるために利用される金への管理も行われるのです。それは、インドにおける金の輸入規制のように。そして、西欧と北米における金の自由化は30年前に始まったばかりであり、イタリア中央銀行は、1999年まで投資目的の金の独占を続けていたのです。
金を国外で保有することは、このような問題を解決します。ブリオンボールトのユーザーの90%は米国、英国、ユーロ圏に居住し、スイスもしくはシンガポールでの金の保管を多く行っています。
2014年は、新興国の金の需要が増加もしくは減少と、どちらかへ大きく動くリスクがあります。高い金利と低い経済成長は、宝飾品需要を減少させることでしょう。それと同時に、さらなる通貨及び株価の急落は、中流階級の人々が資産保護のために金地金および金貨を購入することを進めることとなるでしょう。
ベン・バーナンキ氏が行った量的緩和とその縮小過程におこりうる問題は、世界の金と銀の需要にプラス、もしくはマイナスのどちらかの影響を与える可能性があります。これは、米連邦準備制度理事会が保有している2兆5千億ドル相当の国債が満期となり、市場に使用可能な資金として溢れる出る前の段階ですら存在するリスクなのです。