金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2026年4月27日)イラン戦争下でも株式が過去最高値を更新する中、金価格は苦戦

 

金および銀価格は月曜日、序盤の下落の大半を取り戻したものの、その後再び下落に転じました。これは、ホルムズ海峡の封鎖が続く中で、原油価格と長期金利が上昇するにもかかわらず、世界の株式市場が過去最高値に迫ったことを背景としています。

米国とイランの停戦はますます不安定な様相を呈しており、スポット金価格はアジア時間に最大0.7%下落しました。その後一時的に反発したものの、再び下落し、トロイオンスあたり4,700ドルを割り込みました。これは「安全資産」とされる金が3週間ぶりに週間ベースで下落した後の動きです。

一方、東京市場の日経225は初めて60,000ポイントを突破し、終値で過去最高値を更新しました。これを受けて欧州市場も上昇し、汎欧州株指数であるStoxx 600は0.3%上昇しました。

米国株の主要指数であるS&P500種の先物は、週初は横ばいでのスタートが見込まれています。同指数は3月末の安値から13.0%上昇し、2月末のイラン戦争開始以降では4.2%の上昇となっています。

S&P500は今年に入ってすでに7回の過去最高値を記録しており、そのうち4回は紛争開始後に達成されています。

ドル建て金価格とS&P 500種のチャート 出典元 ブリオンボールト

スイスの貴金属精錬・金融グループMKS Pampのメタル戦略責任者ニッキー・シールズ氏は、「金の回復は株式に大きく遅れており、S&P500との乖離は不快な水準に達しています」と述べています。

さらに同氏は、「金はリスク資産としては魅力に乏しく、株式や企業収益が好調である限り、通貨価値の希薄化に対する投資先としては株式が選好され続けるでしょう。ただし、米国の財政や債務の見通しに関する決定的な材料が出てくれば別です」と指摘しています。

週末にはイランが米国対し、米国によるイラン港湾封鎖の解除と引き換えにホルムズ海峡の再開を提案しました。イランは核開発問題の協議に入る前に敵対行為の終結を求めています。

しかし、ドナルド・トランプ大統領は、土曜日に単独犯による暗殺未遂の標的となった中、前週末に予定されていた和平協議のための米国担当者のイスラマバード訪問を中止しました。一方イランは、交渉が進展しない原因は「米国の過剰な要求」にあると非難しており、中東戦争は2か月目に入ろうとしています。

原油価格は上昇し、北海ブレント原油は一時2.8%高のバレルあたり108ドルまで上昇しました。これは紛争開始以降で44.1%の上昇となります。

債券市場でも金利は再び上昇し、米10年国債利回りは年率4.30%を再び上回りました。ドイツ国債利回りは3.00%を超え、英国の国債利回りは4.93%に達し、2008年の金融危機以来の高水準に迫っています。

銀価格は本日、最大1.3%下落しましたが、ロンドン時間の昼頃にはその下げ幅の大半を回復し、トロイオンスあたり75.50ドルとなりました。銀は工業用途が需要の約60%を占める金属です。

イラン紛争開始以降、銀価格は16.8%下落しており、ドル建て金価格も11.3%下落しています。

今週は、MicrosoftAlphabetAmazonMetaといったAI関連の米主要企業が最新の四半期決算を発表する予定です。

フィラデルフィア半導体指数は先週金曜日まで18営業日連続で上昇し、中東紛争開始以降の上昇率は28.3%に達しました。

英国の中央銀行であるイングランド銀行の金融安定担当副総裁サラ・ブリーデン氏は先週、「多くのリスクが存在するにもかかわらず、資産価格は過去最高水準にあります」と警告しました。イラン戦争による原油価格のショックやマクロ経済への影響、さらにプライベートクレジットへの信頼低下やAIなど高リスク株の再評価の可能性を指摘しています。

同氏は「いずれ何らかの調整が起きると考えています」と述べています。

今週は、木曜日にイングランド銀行欧州中央銀行が金融政策を発表します。また、火曜日には日本銀行、水曜日にはカナダ銀行、続いて連邦準備制度理事会がそれぞれ政策決定を行います。

これら主要5中銀はいずれも政策金利を据え置くとの見方が一般的です。

中国の銀行でありロンドンの金市場清算メンバーでもあるICBCは直近のレポートで、「マクロ経済および地政学的な不確実性の中で、貴金属投資家は慎重姿勢を維持しています」と指摘しています。

また、日本貴金属マーケット協会の池水雄一氏も、「多くの市場参加者が様子見姿勢を取っているようです」と述べ、年末から年始にかけての金価格の急騰局面と比較して、現在は値動きのレンジが狭まり、取引量も減少している点を指摘しました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者であると共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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