ニュースレター(2013年9月20日)1349.25ドル 量的緩和継続が決定され、金価格が急騰
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1349.25ドルと前週同価格から2.2%上げています。
市場注目の今週水曜日の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が、量的緩和継続となり、下記のチャートでもご覧になれるように、トロイオンスあたり70ドルほど金価格は急騰することとなりました。
この決定の背景として、バーナンキFRB議長、FOMC後の記者会見で下記のような点を上げています。
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労働市場をめぐる現状は望む状態からは程遠いと判断したため。(労働参加率の減少など) -
この数ヶ月で金融状況が急速に引き締まったことが景気を減速させる影響を与えた可能性があることを懸念 -
財政問題の悪化が金融市場に打撃を与える可能性もある
この数ヶ月、量的緩和縮小開始を織り込んで下落してきた金価格は、FOMCの発表と共にショートポジションを持っていたファンドの買い戻しなどから上昇し、バーナンキFRB議長の記者会見の内容が量的緩和縮小に慎重な姿勢を示すものであったために、トロイオンスあたり70ドルほど急騰しました。
ちなみに、FRBは経済成長の見通しを、6月の予想(2013年2.3%~2.6%)から今回下方修正(2.0%~2.3%)しています。また、ゼロ金利維持の条件は、失業率6.5%を上回り、今後1-2年のインフレ率が2.5%以下に留まると予想される限り、政策金利 をゼロ近辺にとどめる方針を維持するとしています。
なお、先週末にFRB議長候補であったサマーズ氏が辞退したことが伝えられましたが、FOMCの結果が発表された水曜日には、現イエレン FRB副議長が最有力候補となったことをホワイトハウス当局者が明らかにしたことが伝えられています。イエレンFRB副議長は、ハト派として知られており、現バーナンキ議長の方針を受け継ぐことが予想されています。このニュースもまた、金価格を支えるものとなったようです。
今週は、この価格の急騰を受けて、昨日は狭いレンジで価格は推移し、本日は利益確定の売りも出ているようで、価格の上げを多少切り崩す形で下げています。
他の市場ニュース
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インド政府がインドの金の宝飾品への輸入関税を10%から15%に引き上げたこと。この詳細は「インド政府が金宝飾品の輸入関税を15%へ引き上げる」をご覧ください。
ブリオンボールトニュース
今週ブリオンボールトでは、今年4月に国際取引部門で受賞した英国女王賞の授与が女王陛下の代理のレフテナントSandy Cahill氏によって弊社オフィスで行なわれました。2009年には革新部門で受賞した賞ですが、国際取引部門は日本も含む国際部門の取引量が過去3年間に140%増となった実績が認められた結果ですので嬉しい限りです。下記は、その際の弊社社長ポール・タスティンとSandy Cahill氏の写真です。
また、今週は、連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和縮小が見送られたことから、急騰した金価格に関する、弊社リサーチ主任のエィドリアン・アッシュのコメントが、ウォールストリートジャーナルの経済サイトMarketWatchの「金が2009年以来の上げ幅を記録」の記事で取り上げられました。ここで、エィドリアンは、「連邦準備制度理事会の量的緩和継続に金融市場は驚く中、貴金属市場に火をつけ、ショートポジションを持っていた弱気市場狙いの人々は、傷を負うことになりました。」と述べています。
そして、米国市場開発責任者のミゲル・ペレス-サンタイアは、米国著名経済サイトHard Asset Investorでインタビューを受け、「金価格下落時に購入すべき。この価格は1600ドルへ行く可能性がある」とのコメントが見出しで使われています。
今週市場分析ページには、下記の記事が掲載されました。
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ブリオンボールトリサーチ部門の「インド政府が金宝飾品の輸入関税を15%へ引き上げる 」 -
スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏の「GMFSのゴールド相場見通し」 -
はじめての金読本の「バブル化したら売り」
また、今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週、英国の著名な物理学者であるスティーブン・ホーキング博士が、近々リリースされる博士の人生のドキュメンタリー映画に関して、BBCのインタビューに答える中で、尊厳死について触れたことが、英国では大きく報道されています。
ホーキング博士は、筋萎縮性側索硬化症を50年前に発症し、意思伝達のために重度障害者用意思伝達装置を使い、会話はコンピュータープログラムによる合成音声を利用するなど、「車椅子の物理学者」としても知られています。
その博士が、インタビューの中で尊厳死について意見を求められ、「動物には苦しませないように命を絶つことを許しているのに、なぜ人間はだめなのか」と問題提起した上で、尊厳死が乱用されないような法的な制度を整えた上で、障害を持つために自殺できない場合などに、その家族が自殺幇助を行なった際に、罪に問われないようにすべきだと答えています。
近年、英国では事故で重度の障害を持った男性と治癒不可能な病気の男性が尊厳死を望み、その権利を裁判で求めるケースがあり、裁判では認められなかったものの広く議論がされています。実際に、英国で自殺幇助による尊厳死は認められていないものの、スイスなどでは認められているために、国外の施設へその目的で向かう人々もいるのが現実です。
重度の障害を持つ博士が、障害者であるために死を強いられることがないように制度を整える必要性は十分に説いた上で、障害を持っているために自殺ができない人々の立場に立って語る言葉には重いものがありました。
このインタビューでは、ホーキング博士のユーモア好きな側面にも触れており、米国の「ザ・シンプソンズ」などの数々のコメディー番組にゲスト出演したのは良い思い出だと語っています。
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