ニュースレター(2013年12月6日)1233ドル 量的緩和縮小観測で下落したもののショートカバーで価格を戻す
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1233ドルと前週同価格から1.6%下落しています。
週明け月曜日、金価格は過去5ヵ月で最も低い水準の1219ドルまで下落しました。これは、先週金曜日の反発で下げていたところ、米国主要経済指標のISM製造業景況指数が予想を上回る数値となったことから、次回FOMCでの量的緩和縮小開始の観測が広まったためです。
翌火曜日は、今週後半に控える雇用統計を待つ中、狭いレンジでの取引となりました。
水曜日、金価格は月曜日の下げを戻すこととなりました。これは、株式市場が下げる中ファンドの買いが入り、ショートカバーも重なり更に上昇することとなったためです。
同日は、今週金曜日に発表される米国雇用統計の先行指標として注目されるADP全国雇用者数が発表され、その数値が予想を上回り、前月数値も上方修正されたために、価格は一時的に下げたものの先の要因で戻すことになりました。
木曜日は、米国主要経済指標の11/29までの週の新規失業保険申請件数と第3四半期GDPが経済の回復を示唆するものであったために、金価格は前日の上げを失うことになりました。
本日金曜日、市場注目の米国雇用統計が発表されました。それは、11月非農業部門雇用者数が20.3万人と予想の18万人を上回り、金価格はトロイオンスあたり1217ドルと18ドルほど急落しましたが、その後すぐにこの下げを取り戻すこととなりました。これは、ADPデータ発表の時同様にショートカバーであるとのことです。ちなみに、前月非農業部門雇用者数は20万人に20.4万人から下方修正されています。また、11月米国失業率は7%と前回7.3%と予想の7.2%を下回ることとなりました。
ブリオンボールトニュース
今週発表されたブリオンボールトの金投資家インデックスがブルームバーグの「個人投資家の金投資傾向を示すブリオンボールトの指標が過去6ヵ月で最高値から下げる」で取り上げられました。この日本語のプレスリリースは、ゴールドの情報全てを網羅しているゴールドニュースサイトでも取り上げられています。また、この詳細は、「西欧の金購入傾向がアジアに近づく」でご覧いただけます。
また、米国主要経済サイトのThe Streetでは、弊社米国市場開発責任者のミゲル・ペレス-サンタイアのコメント「機関投資家がショートすることによるプレッシャーが市場に見られる。そして、現在利益を出している株式市場に資金は流出している。そのために、影響を受けている金現物市場を、個人投資家が継続して金現物を購入することで支えている。」というコメントが取り上げられています。
ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュがCNBCのインタビューで、金価格が下げ る中、個人投資家が金を購入していることを解説しています。ここでは、金価格に影響を与えているのは、ドルではなく、量的緩和縮小、政策金利引き上げなどを予想する 投資家のセンチメントであるとも分析しています。
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
- ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュの「西欧の金購入傾向がアジアに近づく」
- ブリオンボールトのリサーチ部門の「世界最大金鉱会社の次期会長が金ヘッジ復活の可能性を示唆」
- スタンダードバンク東京支店長池水雄一氏の「今年の相場の振り返り(ゴールド)」
- はじめての金読本の「期間利益の最大化に賛成か反対か」
また、今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
なお、昨年12月に行なわれた東京ゴールドフェスティバルが来年2月11日に行なわれます。この参加は無料ですが、定員になり次第締め切りとなりますので、ご希望であれば急ぎお申し込みください。
ここでは、「ゴールドについて学び、ゴールドを体感する”特別な"一日」として、金市場の第一人者、スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏、日経のマネーセクションにコラムをもたれている経済アナリストの豊島逸夫氏、政治学者の舛添要一氏など著名人の方々がパネリストとして参加されます。この詳細は下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
ここ英国では、昨夜のネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領の死去のニュースが大きく伝えられています。このニュースは英国午後10時過ぎに伝えられましたが、即座にキャメロン首相がコメントを発表し、本日首相官邸には、南アフリカの国旗と英国の国旗が半旗で掲げられています。
ロンドンでは昨夜、マンデラ元大統領の生涯を映画化した「Long Walk to Freedome(自由への長い道)」のプレミアが行なわれていました。そのため、ここに出席していたマンデラ元大統領の娘のZindziさんは、映画上映中にこのニュースを聞いたとのことです。そして、ウィリアム王子とキャサリン妃を含む、プレミアに出席していたゲストは映画上映後にこのニュースを聞いたとのこと。
そして、本日はトラファルガー広場の側にある南アフリカ・ハウス(南アフリカ大使館)で記帳が始まり、トラファルガー広場の中のマンデラ元大統領の銅像に人々が追悼の品々を届けていることが伝えられています。
アパルトヘイト撤廃運動を指導し、27年間の投獄生活後、南アフリカの融合に力を尽くし、ノーベル平和賞を受賞後、同国初の黒人大統領に就任し、その生き様から引退後も世界の人々に感動を与え続けてきたマンデラ元大統領の95年の一生とそのレガシーに思いを馳せます。
マンデラ元大統領が残した、数多くの名言の中から下記の言葉をここに添えさせていただきます。
「監獄で27年も過ごせば人生は無駄になったと人は言うかもしれない。だが政治家にとって最も重要なのは、自分の人生をかけた理念がまだ生きている かどうか、その理念が最後には勝利しそうかどうかだ。そして、これまで起きてきた全てのことが、我々の犠牲が無駄ではなかったことを示している」