期間利益の最大化に賛成か反対か
初心者にも分りやすい金のブログとして、経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている「はじめての金読本」で、昨今発覚した日本の一流ホテルのメニュー偽装表示問題に触れ、金市場における欧米投機筋にも見られる短期的な利益追求傾向を解説した上で、その是非について問いかけています。
米国型資本主義が浸透しつつあるせいなのか、近頃とても気になる現象が続いています。一流ホテルのメニュー虚偽表示等はその典型。
大切な顧客の満足度やニーズの変化を見ず、経営陣は株価ばかり気にするようになり、管理職は上の顔色ばかり伺うようになり、将来の成長のための土作りや種蒔を怠り、期間利益ばかり追う傾向が強まっています。
将来の成長を犠牲にして期間利益に走り、それで昇進を果たしていく輩もみかけます。それでは、表向きの数字は良くなっても、肝心の中身は少しずつやせ細って行きます。現場のモラールも低下せざるを得ません。
地中に溜まった歪みのエネルギーが、臨界点を超えると地震を引き起こすように、やがて内部告発なるものが頻発します。
これがグローバル化の結果なのだとしたら、けして望ましいことではありません。もっとハッキリ言えば、品性に欠けます。
さて、2013年を振り返る時期になりました。金にとって2013年はどんな年だったのか。一言でまとめれば短期に上がりすぎた金価格に長く大きな調整が続いた年と言えそうです。付け加えるなら調整は来年も続きそうです。
米国では量的緩和をテコに株価が上昇、とにかく期間利益の最大化を至上命題とする欧米投機筋は、金先物や金ETFを売って、資金を株式市場へ移動させているわけです。結果として、今年の春先から、NYダウは、史上最高値をたびたび更新しています。
ですが、量的緩和から引締めへ至る道程には、マネー引き上げによる新興国経済への打撃、金利上昇による国内不動産市況の悪化、緩和マネー縮小による株式市況の悪化など、さまざまリスクシナリオが想定されています。
その一方、長期的に米国を復活させるに足る、好材料が揃いつつあることも見逃せません。シェールガスしかり、東海岸の油田開発しかり。すでに製造業の本国帰りも始まっています。
ドル不安でふたたび金に注目が集まるのか、ドル復活でさらに金は売られることになるのか。欧米投機筋の立場から見ると、後者でしょう。
しかし、歴史的・文化的に金現物志向の強い日本、アジア、中東諸国においては、ペーパーゴールドを好む欧米投機筋と異なり、金価格が下がるたびに買いに動きます。
短期では欧米が勝り、長期ではアジアが勝る。そんな対照的な景色が浮かんできます。最近は日本でも期間利益が流行りですから、どちらに傾くか、断言はできませんが、成行きを楽しむ余裕くらいは欲しいものです。
本日はここまで。
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