金市場ニュース

ニュースレター(2013年10月18日)1316.50ドル 米財政協議の先送りで、量的緩和縮小延期観測が広がり、金価格を押し上げる

週間市場ウォッチ

今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1316.50ドルと前週同価格から3.9%上げています。

週明け月曜日は、前週金曜日の反発で価格は上昇したものの、米財政協議の与野党合意が近いという見方から、米国株が続伸し、金価格は押し下げられることとなりました。

翌火曜日は、前日のリード民主党上院院内総務とマコネル共和党上院院内総務の協議で「大きな前進」があったとの認識を示したことが報道され、市場に楽観的観測が広がる中、ドルが買われ、金価格はトロイオンスあたり1254ドルと過去3ヵ月の最低水準まで下げることとなりました。

しかし、同日米ホワイトハウスのカーニー報道官が米財政協議に関して、上院では問題決着に向け交渉が進展しているものの、合意には程遠いとの認識を示したことが伝えられ、金は買い戻されました。そのような中、格付け会社フィッチ・レーティングスは、米国の「AAA(トリプルA)」格付けをウォッチネガティブに指定し、財政協議がこう着していることを理由に最上級格付けを引き下げる可能性があると警告しました。

また、同日発表されたニューヨーク連銀製造業景況指数が予想を下回ったことも金価格を支えることとなりました。

水曜日、財政協議の行方を見守り狭いレンジで取引を行なっていた金価格ですが、米議会上院が、債務問題に関して暫定案で合意したことが地元メディアで伝えられる中、金価格がトロイオンスあたり1281ドルと上昇することとなりました。

この暫定案では、政府資金は来年1月15日まで手当てされ、連邦債務の上限は2月7日まで引き上げられるものの、年明け早々に再び政府機関閉鎖の危機に直面する可能性があるものです。また、同案には、長期的な財政赤字削減策をまとめる上下両院の超党派委員会を設置し、その削減策は議会本会議で承認されなければなりません。そのための作業を12月31日までに終える必要があるというものですが、これに関しても、一部議員は合意形成は難しいと見ている模様です。

そのため、先の案の合意はされたものの、今後再び協議が難航することが懸念され、金を押し上げる要因となった模様です。

木曜日は、ロンドン時間早朝に金価格は、トロイオンスあたり40ドルほど急騰することとなりました。これは、前日に米財政協議が決着したものの、あくまでも暫定案であること、それに加えこの協議が先伸ばされたことで、量的緩和縮小時期が先伸ばされる観測も広がったことも金を押し上げることとなりました。

また、ショートポジションが積み重なっていたことからも、まとまった買いが入ることで、ショートポジションの買戻しが入り、価格を急騰させた模様です。

金曜日は、特に大きなニュースがない中、前日の上げを保ち、トロイオンスあたり1314ドルと1324ドルの狭いレンジで推移しています。

なお、米政府機関が一部閉鎖したことにより、先延ばしされていた米雇用データは、来週火曜日に発表される予定です。市場の関心が、米債務上限引き上げ協議から、量的緩和縮小に移ったことからも、このデータは注目されることになります。

他の市場ニュース


  • インドにおける価格とロンドン受渡金価格の差であるプレミアムが、トロイオンスあたり100ドルと史上最高となったこと。

ブリオンボールトニュース

今週ブリオンボールトの米国市場開発責任者のミゲル・ペレスーサンタイアが、CNBCにゲスト出演し、金相場の行方について解説しています。ここでミゲルは、産出コストの関係で金がトロイオンスあたり1050ドルを下げることはないと明言しています。

また、今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

また、今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。

ロンドン便り

今週英国では、英郵便事業ロイヤル・メールの上場のニュースが大きく取り上げられていました。

英国では、サッチャー元首相時代にブリティッシュ・エアーやブリティッシュ・ガスなどの多くの国有企業が民営化されましたが、その後長く国有企業の民営化は行なわれていなかったために、今回の民営化是非の議論は活発に行なわれていました。

民営化の理由は、既に自由化されている郵便事業の中で、今後もロイヤル・メールが生き残るためには、更なる事業拡大、経営基盤の強化が必要になるために、それを行なうには、税金でまかなうのではなく、民間の資本で行なうべきという考えからでした。

しかし、ロイヤルメールの10万人の従業員を代表する労働組合のCWUは、民営化に反対しており、今回の民営化後にも抗議のストライキを行なうことが発表されています。また、一般の人々の意見は分かれており、反対する人々は、効率化が進むことによって、利益を生まない小さな郵便局が消え去る、もしくは料金値上げがされると懸念し、賛成する人々は、DHLやTNTなどの企業との競争に勝つためには必要なプロセスと考えています。

英国のロイヤル・メールは、日本の郵便局のように、地域の要である場合もあり、また、郵便配達人は配達地域の人々から親しまれ、クリスマスに小さなプレゼントを渡される対象であったりします。ここ英国でもコミュニケーションの手段はインターネットが一般的となる中、英国の人々は未だに誕生日カードやクリスマスカードは郵便を使う人々が多くいます。そのために、今回の民営化に対して人々は強い関心を持っているようです。

ちなみに、今回の株式上場では、新規株式公開(IPO)価格は330ペンスでしたが、10月11日の初日の取引では、株価は456ペンスまで上昇したことからも、その売却価格設定が安すぎたのではないかとの批判も起こっています。

民営化されたロイヤル・メールの前途は多難であるようですが、1516年から続く歴史のある庶民に親しまれてきたロイヤルメールが、コミュニティーの要として存続しながらも、変化に対応できる柔軟さを持って生まれ変わることを願ってやみません。

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ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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