金市場ニュース

スタンダードバンク四半期レポート2・シルバー

スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、先週の金相場予想解説に続き、今月発表されたスタンダードバンク四半期レポートの銀相場予想を解説しています。

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今週はシルバーの相場予想です。でもその前に先週付け忘れたゴールドの需給予想をつけておきます。

 
 
 
「シルバー」
 

シルバーは今年中に20ドルを割り込む場面があると考えます。需給構造を考えるとシルバーの在庫は豊富にあり、供給過多。2009年から目立った買い手 になっている中国の地上在庫は加工需要の18ヶ月分あると考えられます。2012年年初は16か月分、2009年には4か月分の在庫しかありませんでし た。

 
 

2010年から中国が輸入したシルバーの量をみてみると何故国内の在庫が増えているのかは一目瞭然です。2009年は中国はまだシルバーの輸出国でしたが、輸出時の税金還付の廃止、および需要の拡大で2010年には輸入国に転換しました。この年には毎月平均298トンを輸入、これに加えて鉱山生産とスク ラップ回収で288トンの供給があり、合計で月平均586トンのシルバーの供給があったことになります。これに対して中国の2010年の中国国内のシル バー加工用の需要は一月あたり330トンだけであり、毎月256トンもの供給過多であったと考えられます。そしてこの過剰部分に関しては、投資需要もしく は加工業者の在庫として蓄えられたと考えられます。中国のシルバー輸入は2010年の一月あたり298トンから2012年には166トンと減少しました が、中国の国内在庫の増加を止めるものではありませんでした。

 
 

中国国内でのこの情況は、今後シルバーが持続的な形で大きく上昇するするためには2つのシナリオが考えられます。1. 国内需要(加工および投資)が在庫を減らすために急速に増加する必要がある。もしくは2. 中国が再びシルバーの輸出国となる必要がある。ということです。中国の国内需要に関しては上向いてきていますが、実質的に相場の影響を及ぼすものとはまだ ほど遠いものです。また中国が再びシルバーの輸出国になったとしてもそれは場所が変っただけということになり、実際に消費されなければ、相場に対してはよ くても中立的です。それゆえに相場を大きく変えるとすればやはり1のシナリオが必要となります。しかし中国のシルバー在庫はそのペースこそ昨年よりも遅く なったとは言え、基本的に増え続けています。これはやはり相場の頭を押さえており、そのため今年一年の残りもシルバーの大きな上昇は難しい状態が続くで しょう。シルバーのゴールドに対するベータ値(感応度)は1.4もあり、もしゴールドがもっと下がるのであれば、シルバーはさらに苦しい立場になると思わ れます。

 
 
 

以上。

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池水雄一氏は、貴金属ディーリングの世界でも第一人者。上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。

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