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2024年米大統領選:共和党支持者のみが金と銀に投資をするのか?

民主党大統領誕生は米国の金貨販売を急増させました。
 

US gold coin sales and the 2024 election of Harris or Trump for the Whitehouse

米国人は、共和党支持者のみが、金や銀に投資するのでしょうか?

米個人退職積立金(Indivudual Retirement Account:IRA)投資枠での金投資のテレビやオンライン広告の政治的な内容を見るとそう思うかもしれません。そして、米国の金貨と銀貨の販売に関するデータによれば、それは正しいようです。

アメリカ合衆国造幣局は、民主党の大統領が誕生すると、イーグル金貨と銀貨の販売数を大幅に増やします。ブリオンボールトが2001年以降の月次データを分析したところ、それは実際に2倍以上となっていました。実質的な価値は、共和党が政権を握っていた時の289%でもありました。

しかし、金貨を販売する人々やリベラル・メディアが考えていることとは裏腹に、この一見政治的なパターンは、金地金や銀地金の「小売」需要にも見られていますが、保管されている地金や金を裏付けとするETF投資信託には見られていません。それはまた、変化しているかもしれません。なぜなら、右派の人々がカマラ・ハリス氏の急進的な左派の税制と支出計画に対して警告を発している一方で、ブリオンボールトの調査によると、今年11月の選挙を前に、民主党支持者の割合が高い州が、共和党支持者の割合が高いとされている州よりもGoogleで金関連用語を検索していることが判明しているからです。

今日の「金価格」検索を多くしている上位10州のうち8州が、2020年のバイデン氏に投票しました。そのうちのひとつを除いて、ネバダ州は現在重要な激戦区ですが、今年11月にも民主党に投票するようです。

なぜ、米国における金と銀の需要の党派的な特色が変化しているのでしょうか?

2024年の大統領選を目前とした州ごとの「金価格」検索数

 

各州の「金価格」検索量とその政治的傾向は、本レポート下部のインタラクティブな表でご覧ください。
 
現状では、バイデン政権が終わりに近づくにつれて、米国造幣局の金銀イーグルの需要は弱まっています。
 
米国の新しい貴金属コインの販売は、実際、過去6ヶ月間で減少しており、重量ベースでは共和党のドナルド・トランプ氏が大統領であった2017年から2021年のコロナ危機下でロックダウンの移動制限が始まった時期以来の低さとなっています。
 
このことは、共和党の有権者が、カマラ・ハリス氏がこの秋に前大統領を打ち負かすことを期待したり恐れたりしていないことを示唆しているのかもしれません。それは、過去6回の大統領選の際に見られたパターンと異なっているからです。
 

米国の人々が金貨や銀貨を購入するのは、大統領が民主党のときである

2001年以来、2人の共和党と2人の民主党の指導者の下での違いは顕著なものがありました。今日の貴金属マーケティングや投資ニュースにも、党派的な偏りが見られています。
 
  • ドナルド・トランプ氏は、2024年の大統領選挙に向けて金貨と銀貨を発売した。
  • フォックス・ニュースのキャスター、ローラ・イングラハムは、カマラ・ハリス氏が大統領になることから貯蓄を守るため、金貨をIRA口座に入れるよう勧めている。
  • 一方、リベラル系メディアは、米国のコインディーラーが「保守派活動家」をターゲットに、銃関連の催しで金貨や銀貨のプロモーションを行っていると報じている。
米国の地金硬貨需要と政治との関わりは、貴金属業界では公然の秘密となっています。
 
「この市場には、右派のメッセージに関心が高く反応する傾向があります」と、ある金貨・銀貨ディーラーは述べています。そして、こうしたメッセージは民主党政権下で最も効果的に作用するようです。

2024年の米造幣局で販売された金貨の評価額 (百万ドル). 出典元: BullionVault

先のチャートが示すように、米国造幣局の新たな金貨と銀貨の需要は、民主党と共和党の大統領によって明確な違いがあります。そこで、金と銀の小売業者は2024年の大統領選でハリス氏が勝利すべく、選挙活動のサポートをしていると思うかもしれません。
 

直近の大統領であるブッシュ、オバマ、トランプ、バイデン下での米国金貨・銀貨の売上高

バラク・オバマが民主党の大統領として2期務めた間、米国造幣局のデータによると、新しく鋳造されたアメリカン・ゴールド・イーグルとバッファローコインの売上は、共和党の前任者ジョージ・W・ブッシュの8年間の在任期間と比較して、重量比で127%増加していました。
 
実質的には、インフレ調整後で370%増となっていました。
 
銀貨も同じパターンを示していました。オバマ大統領の任期中、新たな銀貨の販売量は、ブッシュ大統領の任期中の152%に比べ、重量で2倍以上に増加していました。実質ドルベースでは、需要は433%増と4倍以上に跳ね上がっていました。
 
しかし、2016年11月にドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン氏を打ち負かした後、金貨と銀貨の需要は低迷しました。米国造幣局によるイーグル金貨とバッファロー金貨の販売は、重量ベースでも金額ベースでも半減以上となっていました。イーグル銀貨の月間平均販売額は2017年から2021年にかけてオンスベースで46%減少し、インフレ調整後の米ドルベースでは61%減少していました。
 
その後、民主党のジョー・バイデン氏政権下でコインの需要は回復し、銀貨の月平均販売量は重量で20%、金額で42%増加していました。金貨の販売量は重量ベースで110%、評価額ベースで158%増加しています。
 
この政治的な違いは、新しい金貨や銀貨だけに影響を与えるわけではありません。鉱山業界のマーケティング団体のワールド・ゴールド・カウンシルとワシントンをベースとする銀業界のシルバー・インスティテュートが発表したデータによると、トランプ大統領の最初の任期中、米国の需要はオバマ政権下の4年間に比べ、重量でほぼ半減していました。
 
しかし、バイデン氏がトランプ氏に取って代わってからは、米国では、銀の小売需要が113%急増し、金の小売需要も3倍に増加していました。
 

保管されている金やETFには見られていないものの、コインや小口の金の需要が政治的なサイクルを追随している

繰り返しますが、この明らかに政治的なパターンは、貴金属専門コンサルタントのMetals Focusが収集し作成したデータで示されていますが、コインや小さな地金に対する米国の需要にのみ現れています。それは、金地金を保管する投資需要には見られず、金地金を裏付けとするETF信託においては全く逆のパターンを見せています。
 
例えば、ブリオンボールトは現在、世界中の10万人以上のユーザーが所有する50億ドル相当の金、銀、プラチナ、パラジウムを保管しています。この顧客が 特定保管で所有権を明確に保有して保管している貴金属はスイスのチューリッヒ、ロンドン、トロント、ニューヨーク、シンガポールの5つの国に設置された保管場所の中から顧客が選択した場所で安全に保険が掛けられて貯蔵されています。そして、このシンプルで低コストのサービスを選択した米国居住者は、民主党の大統領時代には、共和党の大統領時代よりも実質的に5%も金地金の購入額が少なかったのです。
 
さらに顕著であったのは、小売金商品と金に裏付けられた上場信託ファンドに対する米国の需要の対比でした。それは、金ETFへの資金の純流入は、共和党の大統領と民主党の大統領の下では、コインや小さな延べ棒の需要とは全く逆の動きをしているからです。
 
米国上場金ETFの過去5回の大統領任期中の規模推移(トン、左)。出典 ブリオンボールト
 
世界最大の 金ETFの銘柄であるSPDRゴールドシェア(GLD)に代表されるニューヨーク上場の金ETFは、民主党大統領の任期の間、共和党の大統領時代よりも増加していません。
 
実際、米国の金ETFの残高は、過去3回の民主党政権を合わせると縮小しており、オバマ大統領の2期と2021年1月以降のバイデン大統領の任期で、発行株数を支えるために必要な金地金は平均38トン少なくなっています。
 
対照的に、共和党のW.ブッシュ氏の2期目と2017年から2021年のトランプの任期では、米国上場の金ETFは平均で787トン増加していました。
 

金ETFはコインや小型延べ棒とは逆のパターンを示す

金地金を裏付けとする上場投資信託のこのパターンは、米国の地金コインや小口金の需要とは逆のものです。その代わりに、米国上場の金ETFへの資金のフローは、金価格の方向性をより忠実に表しています。
 
インフレで2024年の価値に調整した金価格は、過去2回の共和党政権では4年間で平均67%増かしていましたが、オバマ氏とバイデン政権では平均19%のみの上昇にとどまっていました。
 
言い換えれば、ETF投資家は、金価格が上昇している時には金を買う傾向があるが、価格が横ばいか下落した時には、金を買い控えるか、あるいは売る傾向があるということです。一方、小売の地金コインや小さな地金を購入する米国市民は、民主党政権下で見られた金価格の低迷時に需要を増やし、共和党の指導者のもとでの強気相場では、その勢いを弱めていました。
 
この貴金属の相対的な割安感は、政治よりも需要の分裂をうまく説明できるのではないでしょうか?結局のところ、ジョー・バイデン氏が民主党大統領として最後の数ヶ月を過ごした間に、銀価格が跳ね上がり、 金価格が次々と最高値を記録したため、コインの新規販売は今年減少した。そこで、「ドルコスト平均法」として知られる、価格が安いときに金や銀の保有量を増やす戦略は、賢い方法でしょう。
 
しかし、小売りの金地金の価格は小売価格となります。そのため、コインや小さな地金を購入することは、 安全に保管された地金を取引したり、同様に低コストのETF商品を利用したりすることに比べ、投資コストを上昇させ、価格が上昇して売却することを選択した際の利益を減少させることになるのです。このことは、民主党大統領の下で米国コインが大量に買われているのは、実際にはコスト意識が高く、価格に敏感な投資家によるものであるという可能性と矛盾します。
 
さらに、民主党の任期中に金と銀がパフォーマンスを下げるかもしれないという考えは、今日、米国の小売地金の販売促進のメッセージには見られない。それでは、金や銀への投資を選択する米国の有権者は、どのようなメッセージに反応しているのでしょうか?
 

金と銀投資は政治によってどのように分かれるのか?

まず、経済です。ギャラップ社の調査によると、2024年の選挙に向けた米国の有権者の関心事の第1位は経済でした。
 
しかし、共和党および共和党寄りの成人の3人に2人が、経済は投票方法にとって「非常に重要」だと答えたのに対し、民主党および民主党寄りの無党派層では、かろうじて半数の人が同じように回答していました。
 
共和党と民主党の有権者の間でも、景気の良し悪しをめぐって意見が分かれていました。Bankrateの世論調査によれば、インフレ懸念がその要因となっているとのこと。というのも、共和党員の56%が生活費の上昇を経済上の最大の懸念事項として挙げたのに対し、民主党員で同様の回答をしたのは28%に過ぎなかったからです。
 
もちろん、インフレは米国の金貨・銀貨のプロモーターがターゲットとする重要なメッセージの一つです。そのため、民主党大統領の下で地金の小売売上高が増加するのも不思議ではないかもしれません。それは、大統領が民主党となると、インフレは本当に悪化する傾向があることからです。
 

米国経済: 年間データ

  インフレ 実質GDP成長率 失業率 (変化率) 賃金上昇率 消費者信頼感指数 (変化率)
ブッシュ1期目 2.4% 2.4% 0.4% 0.2% -0.3%
ブッシュ2期目 2.5% 1.3% 0.5% 0.2% -11.3%
オバマ1期目 2.3% 1.5% 0.2% -0.5% 5.0%
オバマ2期目 1.2% 2.5% -0.8% 1.2% 7.7%
トランプ 1.9% 1.9% 0.5% 1.9% -4.8%
バイデン 5.2% 3.2% -0.7% -0.6% -4.7%
           
共和党 2.3% 1.9% 0.5% 0.8% -5.5%
民主党 2.9% 2.4% -0.5% 0.0% 2.7%
 
このブリオンボールトが作成した表は、セントルイス連銀のデータを使用しています。2001年以降の年間インフレ率が、民主党政権下で、共和党政権下よりも平均して0.5%ポイント以上高いことを示しています。
 
実際、ワシントン・ポスト紙の分析によれば、公式消費者物価指数の上昇率は、1960年代半ばのリンドン・ジョンソン以降のどの大統領よりも、ドナルド・トランプ政権下の方が低かったとされています。これとは対照的に、バイデン政権下のインフレ率は、同じ民主党のジミー・カーター氏以外のどの大統領時代よりも悪化していました。1970年代後半、金と銀の価格はそれぞれ8倍と11倍に跳ね上がり、米国市民にとって史上最高値を記録していました。
 
今世紀に入ってからの民主党のインフレは、実質賃金の伸びにも打撃を与えていました。W.ブッシュ氏とトランプ氏の時代には、アメリカの労働者は平均して年間0.8%の実質賃上げを享受していました。
 
しかし、民主党政権下ではインフレ率が高まったにもかかわらず、民主党の大統領になると米国経済は平均して実質的に好調になっていました。ブリオンボールトがミシガン連銀の調査を分析したところ、失業率は低下し、消費者心理はGDP成長率と同様に強くなっていました。
 
民主党の成長とインフレの原動力は何だったのでしょうか?民主党の大増税と財政赤字支出なのでしょうか?
 

米国連邦政府 実質ベースの年間推移

  税収 公的債務 国外の投資家や国への債務 国防費 負債金利コスト
ブッシュ1期目 3.5% 3.1% 8.6% 3.0% 1.2%
ブッシュ2期目 -3.5% 4.1% 8.0% 3.4% -1.8%
オバマ1期目 2.3% 2.7% 4.7% -2.0% -0.5%
オバマ2期目 0.0% 1.7% -1.4% -0.5% 1.1%
トランプ 2.4% 5.2% 1.5% 1.4% -3.6%
バイデン -3.6% 1.6% 1.8% 1.7% 8.4%
           
共和党 0.8% 4.1% 6.0% 2.6% -1.4%
民主党 -0.4% 2.0% 1.7% -0.3% 3.0%
 
今日、多くの人々が感じていることとは裏腹に、21世紀に入ってからの民主党政権下では、連邦政府の総税収は実質的に減少しています。
 
アメリカの国家債務の増加率も、共和党政権下よりも低くなっていました。最も顕著なのは、セントルイス連銀のデータを用いていますが、米国政府が外国の投資家や政府に対して負っている借金の額も、実質ベースでより緩やかに増加していることです。
 
その一因は、2001年以降の2人の民主党大統領が、いずれも国防費を実質ベースで削減したことにあります。11月にハリス氏が勝利することを期待している(あるいは恐れている)人々にとってもっと心配なのは、民主党が米国の債務残高の急増を繰り返し指揮してきたことです。
 
国債や短期国債の実質的な利払い費は、オバマ氏とバイデン氏の下で年平均3%ポイントも跳ね上がっていました。これは、教育、医療、防衛、福祉、その他の権利プログラムに使えなかった額となります。
 

ハリス氏が勝ったら心配をしろ、そして「金を買え」と述べる共和党の選挙運動家の人々

経済や政府の政策がどうであれ、金と銀は時の試練に耐えてきた資産です」と、トランプ支持者で右派のソーシャルメディア「アジテーター」であるローラ・ルーマーは述べています。
 
「株式市場やバイデン政権の気まぐれによって安全でも安心も得られません。」と続けています。
 
「ハリス氏が当選したら、私はとても心配です。」とヘッジファンドで成功したトランプ陣営の資金調達担当者であるジョン・ポールソン氏は同意し、「彼女が明言している税制計画やその他の経済計画」、特に最も裕福な投資家の含み益に対して25%の課税を行うという脅しに対して警告を発しています。
 
「株、債券、住宅、美術品。株式、債券、住宅、美術品とすべてを対象としている。」とポールソン氏は述べ、「だから、もしカマラ・ハリス氏が今年11月にトランプを打ち負かし、2025年に急進左派の経済政策を実施し始めたら、彼は株を売り、代わりに現金と金に切り替えるだろう。」と続けています。
 
しかし、民主党がホワイトハウスで共和党に取って代われば、金や銀地金は常に良い投資対象になるのでしょうか?今世紀これまでのを振り返ってもそうとは限らないようです。
 

米国の投資資産の実質年間変化

  銀行貯蓄 株 (配当を含む) 不動産
ブッシュ1期目 -0.4% -2.8% 5.8% 9.7% 7.9%
ブッシュ2期目 1.3% -7.5% -1.4% 16.0% 9.5%
オバマ1期目 -2.1% 12.0% -5.2% 14.9% 26.2%
オバマ2期目 -1.0% 13.0% 5.0% -9.9% -15.2%
トランプ -0.6% 13.8% 4.6% 11.2% 10.9%
バイデン -2.3% 7.4% 3.2% 0.9% -2.1%
           
共和党 0.1% 1.2% 3.0% 12.3% 9.4%
民主党 -1.8% 10.8% 1.0% 2.0% 3.0%
 
ブリオンボールトの最後の3つ目の表は、皆様を驚かせるかもしれません。なぜなら、この分析は、セントルイス連銀、S&P、Zillow、そしてLBMAのデータを用いて作成されたもので、共和党の大統領が誕生した時に株式市場が最も好調であったという考えや、民主党の大統領した際に金と銀が急騰したという考えを覆すものだからです。
 
その代わりに、インフレを考慮した投資リターンを測定すると、金と銀は通常、共和党が大統領であった時にはるかに良いパフォーマンスを見せ、一方、株式は民主党が政権を握っていた時に最も良くなっっていました。
 
一方、銀行にある現金は、過去6回の大統領選のうち5回で購買力を減少させ、民主党政権下で最も下落していました。住宅用不動産価格はまちまちでしたが、ここでも、この家計の中核資産の平均パフォーマンスは、共和党政権時代の方が全体的に実質的に高かったのです。
 

では、ハリス氏がトランプ氏に勝ったら、金を売って株を買うべきなのか?

ここで提供する分析はどれも、2024年のアメリカ選挙の結果を予測するものではありません。ましてや、その後の経済、政府、投資資産がどう動くかを予測することはできませんし、それを行おうとしているものではありません。
 
連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利から世界経済の状況、地政学的緊張まで、政治以外にも多くの要因が金融市場に影響を与えます。そして、2001年以降、歴史的に金の上昇率は共和党より民主党の方が低かったものの、オバマ氏とバイデンの両政権下で貴金属は過去最高値を更新しています。この秋の史上最高値更新は、1986年以来の、金の年初来上げ幅を更新するものであり、2025年に大統領が民主党もしくは共和党であっても、 米国の財政赤字と債務が急増し続けることへの懸念が高まる中、これまでに28%以上上昇しています。
 
結論を言うと、どの政党が政権を獲得するかに基づいて投資することは、あなたの資産を守り成長させるための最良の戦略ではないでしょう。2024年の選挙で誰が勝とうとも、金融の変動と地政学的緊張は、悪化はしないまでも続くことは確実です。民主党支持の州に住む人々が、共和党支持の州に住む人々よりもGoogleで金関連の用語を調べているのは、そのためかもしれません。
 

金と銀はハリス氏が大統領となった際に投資資産を守るのでしょうか?

金関連の検索行動におけるこの傾向は、本レポートの上部にある米国のインタラクティブマップと、以下のデータ表に示されています。また、フランスのル・モンド紙が言うように、「民主党と共和党の文化戦争を象徴する」と見られる別の分野での変化とも呼応しています。
 
それは、銃の販売量です。
 
金貨や銀貨と同様に、米国でも大統領が共和党ではなく民主党になると、銃器の需要が高まる傾向があります。ブリオンボールトが分析したFBIのデータによると、2000年以降、民主党の大統領の下では、銃器所持許可のための身元調査が平均37%増加しています。また、大統領選挙の年には、その結果にかかわらず、身元調査は全体の平均よりも5%高くなっています。
 
しかしここでもまた、民主党の有権者が共和党の有権者と同じような行動をとることが増えています。NBCニュースとウォール・ストリート・ジャーナル紙の最新の世論調査によると、自分もしくは同居者が銃を保有しているかという問いに対し、2023年後半に「はい」と答えた民主党有権者は41%で、5年前の33%から急上昇した。共和党有権者では、その割合は64%から66%に上昇していました。
 
この選挙が近づくにつれ、米国では「自分の身は自分で守りたい」という思いが超党派の争点になりつつあります。
 

州ごとの「金価格」検索数

 
 
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エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチダイレクターとして、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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