金投資家はゴードン・ブラウン英元財務大臣とは異なる金の売買を行う
2019年の春に金価格が下げる中で金投資傾向は強くなっていました。
もし金相場が下げ傾向であれば、金を購入するべきでしょうか、売却するべきでしょうか?ここで、ブリオンボールトのリサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュが問いかけています。
1999年5月に英国政府は金準備を売却しました。この際に金は長く続く弱気市場であったのです。
2019年春に一般投資家は全く違う投資傾向を見せています。
「金投資は価格が下げた際に増加させる」のは、通常正しい方法と多くの投資雑誌でも読まれることでしょう。また、多くのディーラーの方達は、顧客が価格の上昇時に利益を確定させると話すことでしょう。
しかし、この投資傾向はトランプ大統領が2016年に選出されて以来、長く欧米の金投資家によって見られているものです。
2019年の初頭は金価格が大きく上昇しました。そして、一般投資家の金購入は減少していました。
それに対して3月から4月にかけては、価格が数か月ぶりの高さから下げる中で、一般投資家からの需要は高まり、購入が進むなどと反対の動きが見られていました。
金価格が2か月連続で下げる中で、ブリオンボールトのユーザーが実際に行った取引から算出する金投資家インデックスは、4月に54.5と前月の同様の水準に安定していたことが明らかとなりました。
ブリオンボールトのオンライン市場は175か国の75,000人の顧客によって利用されており、その9割が北アメリカもしくは西欧に居住し、米国ドル、英国ポンド、ユーロ、日本円で金の売買を行っています。
なお、重量においては、ブリオンボールトの顧客は4月に昨年11月以来初めて、購入量が売却量を上回っていたことから、顧客が保管する金総量は76キロ(0.2%)増量し38.9トンとなっていました。
この金投資家インデックスが発表された今月5月7日には、英国財務大臣であったゴードン・ブラウン氏が英国の金準備半数以上を、20年来の低価格で1999年から2002年までに売却をすることを決めて20年目を迎えていました。
そのため、世界株価が史上最高値前後を推移し、再び政府や企業や個人の膨大な債務が見出しを飾りつつある際に、一般投資家が価格の下げで金を売却するのではなく購入していることは、過去のこのような例からも学ばれていることが分かります。
おそらく、現代において最悪な投資判断であったと言えるブラウン氏の金準備売却は、ITバブルがピークを打ち、多くの西欧の中央銀行がその金準備を売却していた時期でもありました。
それ以来、世界金融危機がなぜ一般投資家が金融システムの保険として金を保有するメリットを明確に示し、ロシアや中国などの新興国の国々が金準備を急激に増加させています。
4月はユーロ圏の投資家が昨年8月以来の高い割合で金の購入が売却を上回っていました。ちなみに、今年1月から3月までは英国の投資家がこの割合においては他の国の投資家を上回っていました。
そして全体の金購入者数は、4月は3月から6.4%減少していましたが、売却者数もその2倍以上の14.0%減少し、昨年9月以来の低さとなっていました。
直近でこのように少ない人々が金を売却していた際に金価格は平均してトロイオンスあたり1200ドルとなっていました。これは、4月の平均価格を90ドル下回っています。そのようなことからも、一般投資家は金価格がさらなる高さへと上昇することを予想し、根本的な傾向は上昇であると見ていることを示していると考えます。
銀投資は、銀も昨年12月以来の低さへと月間平均価格が下げたにもかかわらず、金と比べて強いものではありませんでした。
ブリオンボールトにおける銀の購入者数は、4月に前月から16.5%減少し、売却者数は5.0%減少していました。
しかし、銀投資家インデックスは先月の6か月ぶりの高さからは多少の下げにとどまり、3月の52.9から4月は52.1へと下げていました。
そしてユーロ圏の投資家は、銀に関しては購入者数が売却者数を3か月連続で大きく上回り、この割合は米国や英国や他の地域を勝っていました。
また重量においては、金同様に購入量が売却量を上回り、0.4%増の史上最高値756.9トンとなっていました。
先をまとめると、正しいか間違っているかは別としても、一般投資家は貴金属の値が下げているこの時期に、20年前のブラウン元財務大臣とは異なり、購入を進めていたこととなります。