金価格ディリーレポート(2026年9月7日)米利上げ懸念で金価格下落、中国のロシア産金輸入は急増
金・銀価格は月曜日、米連邦準備制度理事会(FRB)が来週の政策会合で利上げに踏み切るとの観測が強まる中で下落しました。一方、中国のデータからは、ウクライナ戦争を巡る制裁により2022年以降、西側市場から締め出されているロシアからの金地金輸入が急増していることが明らかになりました。
金現物価格は、強い米雇用統計を受けて9月利上げの市場予想確率が約60%に上昇したことで金曜日に1.2%下落したのに続き、月曜日のロンドン市場では一時1.0%安のトロイオンスあたり4385ドルまで下落しました。その後は反発し、一部のアナリストが「重要」とする4400ドルの水準を回復しました。
年間需要の約60%を工業用途が占める銀も、月曜日には一時1.2%下落し、トロイオンスあたり65.42ドルをつけた後に、下げ幅を削っていました。
「FRBが利下げではなく、利上げを公然と議論している中で、金が(年初に付けた過去最高値から)6%以内の水準にとどまっているという事実が、実際に何が買われているのかを物語っています」と、スイスの貴金属精錬・金融グループMKS Pampの金属戦略責任者ニッキー・シールズ氏は述べ、金にとって「弱材料」となる金利見通しと、「強材料」となる地政学的なニュースを対比しました。
戦争犯罪の疑いを持たれているロシアのプーチン大統領は先週、ウクライナ戦争を巡り、中国の習近平国家主席のほか、トランプ米大統領の娘婿で特使を務める人物とも会談しました。一方、香港のデータによると、同地域のロシア産金輸入量は2026年のわずか7カ月間で、すでに年間ベースの過去最高を更新しました。
ブリオンボールトが香港政府統計処(C&SD)の貿易統計を分析したところ、プーチン大統領によるウクライナへの全面侵攻と、それに伴う西側諸国の制裁が始まる前年の2021年には、香港のロシア産金輸入量はわずか3.3トンで、香港の非貨幣用金輸入総量の0.6%にすぎませんでした。
その後、ロシア産金の輸入量は2025年に過去最高の92.1トンへ増加し、今年1~7月には112.7トンに達しました。これは香港が報告した金輸入量全体の14.7%を占めています。
「西側諸国の制裁を受け、ロシア産金が香港へ大量流入」と、英紙Financial Timesは週末に報じました。同紙は英国のアドバイザリー会社Gatehouseの地政学コンサルタント、ヴィータ・スピヴァク氏の見解を引用し、これは「ロシアと中国の経済関係の結果」であり、ロシア政府が経済的支援と引き換えに中国へ資源を販売する構図だとしています。
ロシアの金鉱山生産量は一般に年間300~350トン程度とされていますが、アレクサンドル・コズロフ天然資源相が6月に明らかにしたところによると、昨年は500トン近くまで増加しました。
しかし、こうした金は現在、ロンドンの専門市場に流入することはできません。ロンドン貴金属市場協会(LBMA)は2022年3月7日、それまでグッド・デリバリー・リストに認定していたロシアの金・銀精錬業者6社すべての認定を停止しました。これにより、これらの精錬業者が新たに生産した地金は、世界の現物貴金属取引の中心であるロンドン市場から事実上締め出されました。
香港へのロシア産金輸送の急増は、同地域を経由する金地金フロー全体の拡大の一部でもあります。2026年1~7月の香港の非貨幣用金輸入量は約766トンに達し、このペースが続けば、2023年に記録した近年の年間最高水準である974トンを上回る可能性があります。
6月だけでも輸入量は150トンを超え、月間では10年以上ぶりの高水準となりました。新たな金決済システムが設立された香港を含めると、隣国シンガポールでも金決済システムが導入される中、世界最大の金生産国、輸入国、消費国であり、中央銀行による金購入でも最大規模を誇る中国への金流入量は、世界的な資産運用大手State Streetによると、1~7月に約1000トンに達しました。
中国人民銀行(PBoC)は月曜日、8月の金準備が20トン増加して2387トンとなり、22カ月連続で積み増したと発表しました。
上海黄金交易所(SGE)の金価格は月曜日、ロンドン価格に対してトロイオンスあたり5.87ドルのプレミアムとなり、金曜日のディスカウントからプラスに転じました。一方、人民元建て金価格は1.5%下落し、グラムあたり949.09元となりました。
そのような中原油価格は、ホルムズ海峡周辺で米国とイランの戦闘が再び激化し、中東情勢全般への懸念が高まったことを受けて1.7%上昇し、北海ブレント原油はバレルあたり97ドル近辺と約3カ月ぶりの高値を付けました。
主要通貨に対する米ドルの価値を示すドル指数は0.2%下落しました。日本円は対米ドルで1.3%上昇して1ドル=154円となり、2月以来の円高水準を付け、7月下旬の米日共同介入後に付けた水準を上回りました。
米国の金融市場はレイバーデーのため、米国債市場を含め休場となっており、外国為替市場は取引が続いているものの、市場の流動性は低下しています。
FRBは9月15~16日の連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、金融政策に関する発言を控える「ブラックアウト期間」に入りました。




