金価格ディリーレポート(2024年8月19日)中国の需要減少と先物市場の投機的な強気ポジションが増加する中、金価格は史上最高値から下げる 月曜日, 8/19/2024 18:27 金相場は、投機筋がコメックス先物・オプションのネットの強気ポジションを4年ぶりの高さまで増やし、世界最大の金消費国中国の需要が3年ぶりの低水準に落ち込む中、史上最高値の2500ドル超えから月曜日に下げていました。、 スポット金は、金曜日に2509ドルと過去最高値を更新した後、本日ロンドンの正午までに0.6%下落し、トロイオンスあたり2493ドルへ下げていました。 あるアナリストはロイターに、「金は心理的な2500ドルレベルを数ヶ月間追いかけてきたが、到達した今、 自然な利益確定売りが出ている」と述べていました。 先週、金が史上最高値を更新する前のデータでは、コメックス金先物・オプションのヘッジファンドやその他のレバレッジ投機家は、金に対する強気ポジションを14%増やして、8月13日までの一週間で過去4年以上で最高水準に達していました。同時に、弱気ポジションを27%減らし、過去7週間で最低の水準となっていました。 この動きにより、資金運用業者のネット・ロング・ポジションは、COVID-19危機の第一波により地金価格が下落し、最終的に当時の史上最高値まで上昇した2020年3月以来の高水準に達していました。 ネットの強気ポジションは、5年間の平均を82%上回り、この期間には、2020年のCOVID-19危機、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻、2023年3月の米国のミニ銀行危機、2023年10月のハマス主導によるイスラエル攻撃後のイスラエル・ハマス戦争が含まれています。 「金の回復力は、米国の利下げのタイミングや程度だけでない要因に支えられた混乱に対するヘッジとしての魅力を浮き彫りにしている」と、デリバティブ・プラットフォームであるサクソバンクの商品ストラテジスト、オーレ・ハンセンは述べていました。 2024年末までの米フェデラルファンド金利の 市場予想は、月曜日の時点で4.4%となっており、23年ぶりの高水準である5.25%~5.50%から、今年3回の政策決定会合でさらに1%近く引き下げられたことを示していました。 ブローカーであるStoneXグループのロナ・オコネル氏は、「プロの投資家にとっては、追い風の方が逆風よりも依然として強いが、アジアの価格に敏感である市場は、まだ高い価格帯になじんでいないため、市場の輝きは失われるだろう」と述べていました。 上海金取引所の金価格は、本日ロンドンと比べてディスカウントに転じ、トロイオンスあたり9ドルと過去3年以上で最大のディスカウントを記録していました。これは、金地金の世界最大の消費市場における先週の週平均プレミアムの2ドルへ下落したことに続くものでした。 月曜日にロイターが報道したように、中国の中央銀行は、2ヶ月間の休止の後、 8月に新たな金の輸入割当を発行しているとのこと。中国人民銀行は、金価格が2023年に人民元建てで史上最高値を記録する中で、 金地金の輸入を抑制していました。 これにより、歴史的なプレミアムは8ドルから30ドル以上に上昇していました。さらに、民間の金需要は4月に急増し、世界第2位の経済大国である中国の国内総生産(GDP)のほぼ1%に達していました。これは、中国の不動産市場が下落を続け、株式市場が5年ぶりの低水準に達し、現金金利が歴史的な低水準で推移していることを背景となっていました。 一方、英国ポンドとユーロ建ての金は、金曜の最高値であるトロイオンスあたり1,937ポンドと2,274ユーロから0.8%下落し、先週の上昇幅をそれぞれ1.7%と2.1%縮小していました。 欧州株式は、汎欧州ストックス600指数が先週5月以来の高値を記録し、今月 5日の市場の急落から世界株式市場が回復したことを受けて上昇していました。これは、 米国の好調な経済データが、世界最大の経済大国の景気後退懸念を和らげたことも背景となっていました。 その様な中で、ドイツがウクライナへの新たな支援要請を認めないとの報道を受け、ラインメタルAGを含む同地域の防衛関連企業は月曜日に急落していました。 米連邦準備制度理事会(FRB)高官の週末のハト派的な発言を受けて、ドルインデックスは2営業日連続の下げで年初以来の低値をつけ、米債券利回りは低下していました。 2024年の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持たないメンバーであるオースタン・グールスビー・シカゴ連銀総裁は、GDPが堅調に伸びているにもかかわらず、 制限的な政策を必要以上に長引かせないよう日曜日にコメントしていました。一方、投票権を持つFOMCメンバーであるサンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁は、 インフレ抑制に自信を示し、ジャクソンホールでの中央銀行会合に先立ち、借入コストを現在の5.25%~5.5%の範囲から調整することを検討するよう示唆していました。 パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は金曜日、カンザスシティー連邦準備銀行主催のジャクソンホール経済シンポジウムで経済見通しについて講演する予定となっています。 工業用需要が全体の6割近くを占める銀の価格は、月曜日に0.6%下落のトロイオンスあたり28.89ドルとなり、先週の5.8%の上昇から反転していました。 原油価格は、投資家が中東での停戦協議の進展に注目する中で、月曜日に下落していました。そのような中、ブリンケン米国務長官は、ガザでの停戦を提唱し、紛争が地域内でさらに拡大することを防ぐことを目的として、「(これが)最後の機会(である可能性がある)」と述べて、イスラエル高官との重要な協議を開始していました。