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金価格ディリーレポート(2024年8月15日)強い米経済データで米連銀のより大きな利下げ観測が後退し金価格は下落

 
木曜日午後の金相場は、米小売売上高が予想を上回る強さで、週間失業保険申請件数が予想を下回ったことから、より大幅な米利下げ観測が後退し、同日序盤の上昇分を失っていました。
 
金現物価格は、ロンドン時間午前中に0.6%上昇した後、強い米経済指標の発表を受けて、米ドルと長期金利が急騰したため、上昇分をすべて失って、ロンドン時間昼過ぎにトロイオンスあたり2447ドルまで下落していました。これは、前日に米消費者物価指数(CPI)の発表を受けて1%下落した後のことでした。
 
日本貴金属マーケット協会の池水雄一代表理事は、「好調な小売売上高に加えて、新規失業保険申請件数も減少して経済好調を示す数字だったことでドル建てゴールドは高値から下落。 ドル建てゴールドは高値から下落。」と述べていました。
 
このデータを受けて、米国の通貨価値を主要通貨に対して示す指標であるドルインデックスは、予想を下回る米雇用統計の前の8月初め以来の高水準まで上昇していました。一方、10年物米国債利回りは、政府債や多くの金融・商業債の基準金利ですが、これも10ベーシスポイント上昇し3.94%と、ほぼ1週間ぶりの高水準となっていました。
 
市場の2024年末の米連邦準備制度理事会(FRB)金利予想は、本日のデータ発表後に、4.4%と上昇し、前場から0.1%高、8月5日の 日本株式市場の急落がきっかけとして起きた世界株価暴落時から0.2%上昇していました。
 
ドル建て金価格とFRBと市場の年末の政策金利予想 出典元 ブリオンボールト
 
9月17と18日に開催される米連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定会合で利下げが実施される確率は、 CMEデリバティブ取引所のFEDWatchツールによると、火曜日には50ベーシスポイントから25ベーシスポイントの間で均等に分かれていました。しかし、今日と昨日の米CPIデータを受けて、先物は25ベーシスポイントの利下げをやや支持し、その確率は前日の64%、1週間前の45%から76%に上昇していました。
 
国勢調査局のデータによると、2024年7月の小売売上高は1%増と、約1年半ぶりの大幅な伸びとなっていました。
 
また、労働省が木曜日に発表した8月10日に終わる週の州政府失業給付申請件数は、季節調整済みで7,000件減少し227,000件となり、エコノミストの予想の23.5万件を下回って、2週連続の減少となっていました。
 
そして、水曜日に発表された7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.9%と、6月の3.0%から低下し、2021年3月以来最も低い年間物価上昇率で、予測の3.0%も下回っていました。
 
月次ベースでは、6月の0.1%減を上回る0.2%増となっており、家賃を含むシェルターのインフレが6月に比べ7月は加速していたことがあきらかとなっていました。
 
あるアナリストはロイターに対し、7月の消費者物価指数(CPI)について、「 6月ほどディスインフレに有利な内容ではないが、あの報告は非常に高い基準を設定したものだ」と述べていました。
 
FOMCの投票権を持たないメンバーであるオースタン・グールスビー・シカゴ連銀総裁は水曜日、インフレよりも 労働市場への懸念を強めていると述べていました。
 
木曜日、 英国の金価格はポンド建てで0.3%下落し1904ポンドとなっていました。これは、英国経済が拡大基調を維持していることを示すデータが本日発表されたにもかかわらず、外国為替市場で英国通貨が米ドルに対して上昇を失ったためでした。
 
国家統計局(ONS)の統計によると、国内総生産(GDP)は昨年の不況から回復を続け、4月から6月にかけて0.6%の伸びを記録していました。この成長は予測に沿ったもので、2024年第1四半期の0.7%増に続くものとなっていました。
 
これは、英国の消費者物価指数(CPI)のヘッドラインが予想を下回ったことによる通貨安からの回復を支えていました。CPIは前年同期の2%から2.2%に上昇していたものの、予想の2.3%を下回っていました。また、イングランド銀行が注目しているサービス部門のインフレ率は、先月の5.7%から5.2%へとさらに低下していました。
 
ユーロ建てで取引される金は、欧州の主要株価指数が上昇して、木曜日昼過ぎまでに汎欧州のストックス欧州600指数が1.1%上昇する中で、0.5%上昇し2334ユーロを超えていました。
 
米国株は、S&P500とナスダック総合指数が前日に5日連続の上昇を記録した後、木曜日は堅調に始まっていました。
 
銀相場は、チリにある世界最大の鉱山でのストライキによる供給不安の中、銅相場の上昇が支えとなり、トロイオンスあたり28.01ドルと1.6%上昇した。
 
 
水曜日、ニュージーランド準備銀行(Reserve Bank of New Zealand)は25bp引き下げ、公定歩合(OCR)を5.25%とし、緩和サイクルを開始しました。このような利下げは、カナダ、スイス、欧州中央銀行、英国など先進国の中央銀行による同様の動きに続くものでした。
 
次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月17と18日に予定されており、その1週間前には8月のインフレ率が、18日には小売売上高が発表されこととなっています。

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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