金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2024年4月15日)原油価格が下げる中、金価格はイランのイスラエル攻撃前の史上最高値から80ドル下げて推移

 
世界の指導者が、週末のイランのイスラエルへの攻撃以降戦争阻止へ奔走する中で、金価格は先週の史上最高値を80ドル下回り、原油価格は6週間ぶりの高値から下落していました。
  
金曜の午後にロンドンの地金専門市場でトロイあたり2401ドル価格をつけ、その後100ドル下げる前に、取引時間中に30ドル高い史上最高値をつけたスポット金は、月曜のアジア取引開始時には1.2%反発し、その後ロンドン昼過ぎに2350ドル付近へと上昇分の半分を戻して推移していました。
 
また、英国ポンドとユーロ建ての現物市場の金地金も、金曜の終盤に史上最高値をつけた後に、それぞれ 金曜日午後の世界指標価格でも史上最高値のトロイオンスあたり1929ポンドと2257ユーロをつけた後に、本日ロンドン時間昼過ぎに1890ポンドと2214ユーロ前後で取引されていました。
 
原油価格は、先週金曜日に6ヶ月ぶりの高値をつけた後、月曜日取引開始時に上昇をしたものの、その上げ幅を失って下げ、月曜日昼過ぎにはブレント原油は0.7%下落、米国ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は0.8%近く下落していました。
 
INGのコモディティ戦略責任者であるウォーレン・パターソン氏は今朝の原油価格の下落について、「攻撃は、それに至るまでの数日間で、ほぼ価格に織り込み済みだった。」と述べ、「また、被害が限定的で、人命被害がなかったということは、イスラエルの対応がより慎重なものになることを意味する」と続けていました。
 
WTI原油先物価格とドル建て金価格のチャート 出典元 ブリオンボールト
 
イランの攻撃は、30年以上ぶりの外国によるイスラエルへの攻撃であり、 4月1日にイスラエルがシリアのイラン領事館を攻撃したことへの報復でした。
 
しかし、事前にテヘランから十分な警告を受けていたため、また同盟国であるアメリカ、イギリス、フランス、ヨルダンからの軍事支援のおかげで、イスラエル政府によると被害は限定的だったとのこと。
 
「中東情勢の緊迫化は(金曜の金価格急騰の)明らかな要因だが、イランのイスラエル空爆という週末の展開は、貴金属市場には限定的な影響しか与えなかった」と、ブローカーであるStoneXグループのローナ・オコネル氏は最新の貴金属レポートで述べていました。
 
「これは、貴金属がすでに買われすぎていたこと、地政学がこの動きを後押ししていたこと、そして激しい外交的駆け引きが事態を収束させるという希望を生んでいたことが一因だ。」と続けていました。
 
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、日曜日の国連安全保障理事会の緊急会合でイランの攻撃を非難したが、バイデン米大統領やイスラエルの同盟国である英仏とともに、イランへの報復で緊張をこれ以上エスカレートさせないよう呼びかけていました。
 
イランの攻撃を受けて、イランの国連代表部は「 この問題は終結したとみなすことができる」と述べていましたが、イスラエルやアメリカが報復すれば、より強力な攻撃で再び攻撃すると警告していました。
 
「アメリカはイスラエルの防衛を支援し続けるが、 戦争を望んでいるわけではない」と、ホワイトハウスの国家安全保障報道官であるジョン・カービー氏は日曜日に米テレビ局のインタビューに答えて述べていました。
 
ドルインデックス(主要通貨に対する米国の通貨価値を示す指標)は、2022年9月以来最大となる週間1.7%の上昇を記録した後、月曜日も5ヶ月ぶりの高値で安定してすいいしていました。
 
政府および多くの金融・商業機関の借入コストの指標となる米国債10年物利回りは、年率4.60%まで上昇し、昨年11月中旬以来の高水準となっていました。
 
欧州株式は上昇し、米国株式先物価格は金曜の下落から月曜日に反発することを示唆していました。
 
銀相場は、トロイオンスあたり29.79ドルと3年ぶりの高値を付けた後、金曜の終値から1.8%上昇して28.58ドルと上昇していました。
 
ロンドン金属取引所(LME)ではアルミニウムが9.4%上昇、ニッケルは2.7%上昇、銅は2年ぶりの高さへ上昇していました。これは、英米がウクライナへの侵攻と攻撃を続けるモスクワを巡り、ロシアの大手鉱山会社からの新規供給を事実上禁止する制裁措置を導入したことを受けてのことでした。
 
ちなみに、ロンドン貴金属市場協会はロシア産出、精錬の金と銀の延べ棒の新規鋳造を2022年3月に禁止し、翌月にはロンドン・プラチナ・パラジウム市場がロシア政府系精錬業者をグッド・デリバリーとスポンジの認定リストから削除し、実質ロシア産のプラチナおよびパラジウムの流通を禁止していました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

注意事項: ここで発信される全ての記事は、読者の投資判断に役立てるための情報です。しかし、実際の投資にあたっては、読者自身にてリスクを判断ください。ここで取り扱われる情報及びデータは、すでに他の諸事情により、過去のものとなっている場合があり、この情報を利用する際には、必ず他でも確証する必要があることを理解ください。Gold Newsの利用については、利用規約をご覧ください。

SNSで最新情報を入手

Facebook   TwitterYoutube

 

貴金属市場のファンダメンタルズ