金価格ディリーレポート(2024年3月18日)コメックスの金の強気ポジションとSPDRゴールドシェア金ETFの急騰の中、金価格は直近の過去最高値を下回る水準で推移 2024年3月18日 月曜日 15:52 今週日銀、米連邦準備制度理事会(FRB)、英イングランド銀行を筆頭に主要中央銀行の会合や発表を前に、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は5か月ぶりの一日あたりの増加を記録し、コメックス金先物・オプションの投機筋は、強気ポジションを2年ぶりの高さまで上昇させる中、金価格は月曜日に上昇していました。 スポット金価格は、月曜日の早朝にトロイオンスあたり2146ドルという1週間ぶりの安値まで0.5%下落した後、上昇に転じていました。 これは、米連邦準備制度理事会(FRB)が、2024年に期待されるほど早く、また大幅な金利を引き下げることはないだろうという予想が強まる中、 金価格が史上最高値を月曜日につけた後に先週0.4%下落した後のことでした。 先週の金価格の下落にもかかわらず、金ETF信託ファンドは金曜日に全体として拡大し、SPDRゴールドシェア(NYSEA:GLD)が新たな資金流入を記録した一方で、iShareゴールド(NYSEA:IAU)は、残高減少を止め、金ETFの規模が価格と連動して動くというこれまでの長期的な相関関係を覆し続けていました。 金曜日に、GLDは、イスラエルとハマス間の紛争が激化した10月中旬以降で最大の増加となる一日あたり15トン増加させていました。 この1日の増加量は、今月これまでに見られたGLDの資金流出を全て帳消しにして月間増加へと転換させていたものの、GLDとIAUを合わせた保有量は、金価格が現在の水準より17%低い水準で取引されていた2020年9月のピークをいまだ1/3下回っていました。 世界最大の2つの 金ETF銘柄は、共に、新柄コロナウィルスのパンデミックの間に作られた増加分を全て消し去り、ロシア・ウクライナ戦争、米国の地銀危機、イスラエルとハマスの紛争で作られた新たな史上最高値の金価格にもかかわらず縮小し、2019年7月以来の最も低い水準まで残高を減少させていました。 「金曜日の金ETFの大幅な上昇は注目に値する。」と東京の金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は、物理的に裏付けされた世界中の金ETFからの資金流出が、2月までに9ヶ月連続で続いたことを指摘していました。 「米FRBの利下げ観測が後退する中、金ETFが拡大を続けるかどうかが、金市場の注目点となるだろう。」と続けていました。 また、最新のデータによると、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機筋は、先週火曜日までの1週間で、そのグループとして金に対する強気のポジションをさらに増やし、そのネットロングポジションは22%増加し、 2022年2月のウクライナ侵攻後に西側諸国がロシアに厳しい金融制裁を課して以来最大となっていました。 また、米国商品先物取引委員会(CFTC)の最新データでは、投機筋の銀価格に対するネットの強気ポジションも先週10ヶ月ぶりの高水準まで増加していました。 銀価格は、先週金価格が下落したにもかかわらずほぼ3%上昇し、金との相関関係を弱めた後に、本日トロイオンスあたり25.26ドルと0.3%上昇していました。 日本銀行は、火曜日に政策金利を2007年2月以来初めて引き上げてマイナス金利を解除することが 日経新聞によって伝えられ、予想されています。 そして、3月の米連邦準備制度理事会(FRB)は水曜日に、その金融政策会合後に政策金利と今後の金利予想を政策決定メンバーが予想する「ドット・プロット」を発表し、イングランド銀行もまた、政策金利を据え置くと予想していますが、木曜日に発表を行います。 英国ポンド建て金相場はトロイオンスあたり1693ポンドと前週終値とほぼ同水準で安定して推移し、欧州投資家向けの卸売金地金価格は0.1%高のトロイオンスあたり1981ユーロ前後をロンドン時間昼過ぎに推移していました。 今週は、中国、オーストラリア、スイス、インドネシア、ノルウェー、トルコ、台湾、ロシア、ブラジル、メキシコの金融政策及び政策金利もまた発表される予定です。