金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2024年1月15日)金価格は中国で最高値をつけ、原油価格は紅海での地政学リスクの高まりにも関わらず下落

 
金価格は、世界最大の金消費国である中国において、過去最高値を更新し、ドル建てでは先週金曜日に記録した金曜日の世界指標ベースでほぼ過去最高値付近で推移していました。
 
この間原油価格は世界の重要な輸送ルートである紅海での紛争がさらに激化する中で下げていました。
 
中国中央銀行が主要貸出金利を据え置き、予想されていた新たな金融刺激策を行わなかったことで、中国株式市場が下落する中、上海黄金交易所(SGE)の午後のベンチマーク・オークションでは、gあたり482円を超える新記録をつけていました。
 
一方、台湾株式市場は、与党・民進党が国政選挙で3連勝し、独立派の頼清徳氏が総統に選出されたことで上昇していました。
 
イランの支援を受けた武装勢力であるフ―シ派が紅海の商業船を攻撃していることを阻止するために、米・英軍がイエメンのフーシ派の軍事拠点への攻撃し、ロンドンの金地金世界指標は金曜日にトロイオンスあたり2055ドルと 金曜日の価格としては史上3番目の高値をつけ、月曜日はその水準から3ドルほど低い水準を推移していました。
 
「中東の緊張が一段と高まったことで、原油も金もレンジ内の動きを超えて上昇しました」と、デリバティブ・プラットフォーム、サクソバンクの商品ストラテジスト、オーレ・ハンセン氏は述べていました。
 
「(しかし)金の "地政学的ハードル "は高い」とスイスの地金精錬・金融グループMKSパンプの金属戦略責任者ニッキー・シールズ氏は述べ、「さらなる紛争の激化が無い限り、この上昇が直線的に早く進むことはない」と続けていました。
 
原油価格は月曜日早朝の上げ幅を失い、ブレント原油先物取引は金曜日の2週間ぶりの高値から0.7%下落し、米国ウエスト・テキサス・インタミディエート(WTI)先物原油価格は、金曜日の上げ幅を失うほぼ1%安の1バレル72.11ドルまで下落していました。
 
原油価格は、主要生産国であるサウジアラビアが全地域への公式販売価格を引き下げたことで、世界的な需要減退への懸念が浮き彫りになり、先週は安値で始まっていました。
 
WTI原油先物価格と金価格の推移 出典元 ブリオンボールト
 
石油ブローカーPVMのタマス・ヴァルガ氏は、「(紅海紛争による)石油供給への悪影響がないことが分かったことで、 先週の強気派は利食いに走った。」と述べていました。
 
米国と英国が金曜日にフーシ派の軍事拠点への空爆を複数回行ったことに対し、ロシアとイラン、そして同じNATO加盟国のトルコから不必要な挑発行為だと非難されていましたが、米国は土曜日にものイエメンのフーシ派の拠点を攻撃し、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の支配地域から米海軍駆逐艦に向けて発射された巡航ミサイルを米戦闘機が撃墜していました。
 
いくつかのタンカーは現在紅海を避けており、複数の船舶が金曜日にコースを変更して南アフリカ周辺を航行し、アジアからヨーロッパへの航路の時間と費用を高めていました。
 
電気自動車メーカーのテスラのドイツ工場は、主要部品の入荷が遅れているため、少なくとも2月中旬まで生産を停止したことを明らかにしていました。
 
国際保険会社アリアンツ・トレードのマクロ経済調査部長アナ・ボアタは「現段階では世界経済への赤信号はついていない。しかし戦闘やフーシ派の攻撃が上半期以降も続けば、世界のサプライチェーンへの 影響はより深刻になる可能性がある」と述べていました。
 
インドのディワリに先駆け、世界最大の金購入の祭典である中国の旧正月休暇が4週間以内に始まる中、大手宝飾グループのチャウタイフク(HKG: 1929)は本日、2023年最後の3ヶ月間の売上高が 46.1%増加したと発表し、中国の家庭用金需要が旺盛であることを確認していました。
 
日本の日経平均株価は記録的な上昇を続け、36,000ドルの大台を超え、5営業日連続で34年ぶりの高値を更新していました。
 
それに対し、ドイツ連邦統計局が2023年の欧州最大の経済規模であるドイツ経済が2023年に0.3%縮小したと発表した後、欧州株の指標であるはストックス欧州600は0.3%下落していました。
 
金価格はユーロ建てで0.4%高のトロイオンスあたり1877ユーロをつけ、英国ポンド建てにおいては0.3%上昇し、1週間ぶりの高値となる1614ポンドを上回る水準で推移していました。
 
銀価格は、年間需要の60%近くが工業用であることからも経済低迷懸念からも、0.1%安の23.17ドルとなっていました。そこで、金と銀の相対価格を示す 金銀比価は、この10ヶ月で最高値(金に対して銀の割安)である89弱まで上昇していました。
 
米国の通貨価値を主要通貨に対して示す指標ドルインデックスは、米国の株式市場と債券市場がマーティン・ルーサー・キング・デーの祝日で休場で、出来高の少ない取引の中で上昇していました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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