金価格ディリーレポート(2023年12月11日)中国デフレの深刻化が明らかになる中で、金は2000ドル割れ、銀は先週のピークから13%下落 2023年12月11日 月曜日 17:28 月曜日金相場は、今週多くの中央銀行が政策金利を発表し、また重要経済指標も発表される前に、ロンドンで2000ドルを更に割り込み、先週月曜日につけた史上最高値をトロイオンスあたり160ドル以上も下回り、3週間ぶりの安値まで下落していました。 一方で中国の金価格は堅調に推移し、0.7%下落のグラムあたり471円となり、世界第二の経済大国である中国のデフレが悪化する中、上海のプレミアムはロンドンの相場を上回り、3週間ぶりの高値となるトロイオンスあたり42ドルをつけていました。 上海黄金交易所とロンドンの世界指標との差である金価格プレミアムは、貴金属の世界最大の消費国である中国への新たな金地金輸入のインセンティブとなるもので、金価格が1グラムあたり480円と史上最高値を更新した先週月曜日に、9ドルにまで下がっていました。 この奨励金は、人民銀行が中国経済の減速を反転させようと国内の金融政策を緩和する間、 金の輸入を制限していたため、9月に 120ドルという歴史的な高値まで上海黄金交易所の金のプレミアムは高騰していました。 国家統計局(NBS)が土曜日に発表した最新のデータによると、中国の11月の消費者物価指数は過去3年間で最も急速に低下し、前年同月比0.5%減となっていました。 エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの中国担当シニア・エコノミストであるシュー・ティエンチェン氏は、「デベロッパーや地方自治体がデレバレッジを続け、世界的な成長の鈍化が予想されるため、2024年も下押し圧力は高まり続けるだろう」と述べ、このデータは北京の 政策決定者にとって憂慮すべきものであると指摘した。 格付け会社のムーディーズは先週火曜日、中国のソブリン格付けの見通しをネガティブに引き下げていました。これは、中国の経済的に弱い地域への金融支援の可能性が高まっていることに加え、中期的な経済成長率の低下リスクが高まっていることを理由としていました。 一方、ドル建て金相場は、先週月曜日の急騰から8.5%下落し、前週金曜日の 米雇用統計が堅調なもので、FRBによる2024年早期の利下げ観測が後退することで、下げ幅を拡大した水準から、さらにトロイオンスあたり1982ドルと1.3%下落していました。 ユーロ建てと英国ポンド建ての金は、それぞれ前週終値から1.2%以上下落し、トロイオンスあたり1854ユーロと1587ポンドとなっていました。 「金曜の雇用統計が強かったことで、来年のFRBへの 期待が少し修正され、ドルや債券利回りが反発して、それが金には下押し圧力となった」とあるアナリストは述べていました。 ドル指数(主要通貨に対する米国の通貨価値を示す指標)は、先週金曜日に上昇した後、月曜日には小幅上昇していまし。また、政府および多くの金融・商業機関の借入コストの基準金利である10年物米国債利回りも小幅上昇し、4ヶ月ぶりの低水準から3営業日連続で上昇していました。 中国のCSI300種株価指数は月曜日序盤に1%以上下落した後、0.6%高で取引を終えていました。 米連邦準備制度理事会(FRB)の12月政策決定会合は水曜日に終了し、3会合連続で22年ぶりの高水準に金利を据え置くとの見方が大勢を占めています。そして、木曜日にはイングランド銀行と欧州中央銀行が金利を据え置くと予想され、スイス国立銀行、ノルウェー中銀、メキシコ中銀、そして金曜日にはロシア中銀も2023年末の政策決定を発表する予定となっています。 また、火曜日には米消費者物価指数が発表され、FRBは政策決定会合を前に最新のインフレ・データを入手することになります。 米国株式市場は、前週金曜日にS&P500指数が年初来高値を更新し、6週連続の上昇を記録した後、月曜日は米株価先物は横ばいで取引を開始していました。 一方、 金のETF信託ファンドは先週週間で拡大し、ETFの保有量が金価格と共に上下するという通常のパターンを止めていました。 SPDRゴールド・トラスト(NYSEA: GLD)とiシェアーズ・ゴールドETF(NYSEA: IAU)は、それぞれ0.5%と0.6%のネットの資金流入を記録していました。 IAUにおいては、20週間ほど前の7月に週間で増加をして以来のことで、GLDにおいては2週間前に、週間で増加していました。 銀ETFの最大銘柄のiShareシルバーETF(NYSEArca: SLV)も、11月に1.8%減少した後、先週は0.3%増加していました。 銀の価格は、月曜日には4.3%下落し、トロイオンスあたり22.77ドルとなり、先週の月曜日のピークから13.6%以上下落していました。