金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2026年1月5日)トランプ政権がマドゥロ大統領を拘束、グリーンランド問題でNATOを動揺させ、金銀が反発

 

金と銀の価格は月曜日に急反発し、先週付けた史上最高値からそれぞれ2.5%、9.0%以内まで回復しました。この間、ドルと世界の株式市場も上昇しています。これは、米特殊部隊が石油資源に富むベネズエラを攻撃し、米国へのコカイン密輸の容疑で共産主義独裁者ニコラス・マドゥロを拘束した後の動きです。

ドナルド・トランプ米大統領は、違法薬物流入をめぐってメキシコとコロンビアに警告を発したほか、共産主義国キューバやイランのイスラム主義独裁政権に対しても警告しました。また、デンマーク領で資源が豊富な北極圏の島グリーンランドを併合するというトランプ氏の「空想」をやめるよう、グリーンランドとデンマークの首相がそろって呼びかけており、この発言は欧州のNATO加盟国からも相次いで支持されています。

スポット金価格はロンドン午前中にトロイオンスあたり4,433ドルと、最大2.3%上昇しました。一方、ロンドンの銀地金価格は最大4.7%上昇して76.30ドルまで急騰しましたが、その後、ロンドン時間の昼過ぎまでに上げ幅の半分を失っていました。

スイスの貴金属精錬・金融グループMKS Pampで金属戦略責任者を務めるニッキー・シールズ氏は、「市場は今や、ベネズエラ、ひいては新興国や中南米のリスクだけでなく、米国の予測不能性、軍事的影響力、そして政治的意思を再評価せざるを得なくなっている」と述べました。これは、トランプ氏が「国家安全保障上、我々にはグリーンランドが必要だ……極めて戦略的だ」と発言したことを受けたものだとしています。

また、米金融大手JPモルガン・プライベートバンクのグローバル市場ストラテジスト、唐玉軒(ユーシェン・タン)氏は、「週末のマドゥロ逮捕と本日のニューヨークでの罪状認否は大きな混乱を引き起こしていませんが、中南米における政治・地政学的不確実性の高まりは、安全資産への需要増加を促す可能性があります」と指摘しています。

一月のドル建て金価格チャート 出典元 ブリオンボールト

主要通貨に対するドルの価値を示すドル指数は0.3%上昇し、1か月ぶりの高水準に達していました。これを受け、金価格は月曜序盤の上昇分の約4分の1を失っていました。

トランプ氏は日曜夜、フロリダからワシントンへ戻る際に、「もし正しい行いをしなければ、第二の攻撃を行う」と発言しました。マドゥロの側近で、事実上のベネズエラ指導者となっているデルシー・ロドリゲス副大統領に対し、米大統領の意向通りに国を運営しなければ、「マドゥロよりもさらに悪い状況に直面するだろう」と警告していました。ベネズエラは、少なくとも7年間にわたり、残存する金準備をイングランド銀行で凍結されています。

原油価格は、世界最大の確認埋蔵量を持ちながら、米制裁と海上封鎖によって世界供給の1%未満しか生産できていないベネズエラ情勢を背景に、5年ぶりの安値近くまで下落した後、週明けの取引で下げ幅を縮小しました。ブレント原油は最大1.3%下落し、WTI原油は1.1%下落していました。

一方、トランプ氏が米大手石油会社がベネズエラに投資すると発言したことを受け、シェブロン、コノコフィリップス、エクソンモービルの株価は上昇していました。

欧州株式市場では、ユーロストックス600指数が最大0.6%上昇し、過去最高値に接近していました。また、防衛関連株はセクター全体で3.3%上昇し、3か月ぶりの高水準となっていました。

政府債務および多くの金融・商業融資コストの指標となる米10年国債利回りは、2026年の米連邦公開市場委員会の投票権を持つフィラデルフィア連銀のアンナ・ポールソン総裁が、「年後半に控えめな利下げが適切となる可能性がある」と述べた後、4か月ぶりの高水準からやや低下していました。

しかし、政府債務が増え続ける中で、米国では財政支配――すなわち、財務省が中央銀行の独立性を侵食し、借入コストを低く抑えようとするリスク――が高まっていると、元米財務長官で元FRB議長のジャネット・イエレン氏は週末に警告していました。

本日の上海黄金交易所における金価格は、ロンドン価格に対してトロイオンスあたり5ドルの小幅なプレミアムを維持しました。これは、金最大消費国である中国において、2か月間続いていた需要低迷のシグナルが途切れたことを意味します。人民元建て価格は、年始休暇明けに先週の史上最高値から下落していました。

需要の約3分の2を自動車用触媒を中心とする工業用途が占めるプラチナは、月曜日に2.7%上昇していました。前回取引では、米デリバティブ取引所CMEグループが、クリスマス期間の貴金属価格の激しい変動を受け、金・銀・プラチナ・パラジウム先物の証拠金要件を1週間で2度目となる引き上げを行ったことから、4.2%下落していました。

プラチナは昨年、121.8%上昇し、過去最高となる年間上昇率を記録していました。

金と銀はいずれも2025年に、それぞれ65.0%、149.1%上昇し、1979年以来となる最高の年間パフォーマンスを記録しています。

パラジウム価格も本日、トロイオンスあたり1,700ドルを再び上回っていました。これは、クリスマス直前に付けた約3年ぶりの高値水準であり、昨年は72.4%上昇していました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者であると共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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