金市場ニュース

金価格ディリーニュース(2023年8月10日)予想を下回る米インフレデータを受けて債券利回りは下げ、金価格は上昇

米国の主要インフレデータがほぼ予想通りであったことを受け、米連邦準備制度理事会FRB)が9月に利上げを一時停止するとの見方が強まり、米ドルと米国債利回りが低下し、金価格が上昇しすることとなりました。  
 
木曜日、米労働統計局が発表した7月の米国消費者物価指数(CPI)は3.2%となっていました。予想の3.3%をわずかに下回るものであるものの、6月の3%から上昇し、2022年6月以来の加速となっていました。
 
コアCPI(変動の大きい食品とエネルギー部門を除いた指標)は4.7%で、6月の4.8%を下回っていました。
 
米国消費者物価指数とコア消費者物価指数のチャート 出典元 米国労働統計局
 
ドル建てで取引される金は、米国のインフレデータが発表された後、トロイオンスあたり10ドルほど急騰し、1924ドル前後に落ち着いていました。 金は今週3営業日連続で下落した後、木曜日の取引開始早々に1カ月ぶりの安値となる1914ドルをつけていました。 
 
米国債10年物利回りは、政府機関や多くの金融機関、商業機関の借り入れの基準金利であり、インフレデータを受けて5ベーシスポイント下げて4.0%を下回る水準で推移していました。
 
ドル指数(主要通貨に対する米国通貨の価値を示す指標)は、本日のデータを待つ中で今週ずっと狭いレンジで取引されていたものの、発表後に0.4%下落していました。
 
CMEデリバティブ取引所の FedWatchツールによると、米連邦準備制度理事会(FRB)が2023年9月に主要金利を据え置くとの見方は、米消費者物価指数(CPI)発表前の85%から90%に増加していました。
 
「最近のエネルギー価格の上昇を考慮すると、今夜のインフレ率が予想を上回った場合、市場は憂慮し、"良い "数字を見過ごす可能性が高まると思われる。」とアナリストは語っていました。
 
欧州の天然ガス価格は、オーストラリアで労働者がストライキを起こす可能性があり、世界の液化天然ガス供給が途絶える可能性があることから、前日1日の上げ幅としては2022年3月以来最大となり、本日もその水準の40ユーロ以上を維持していました。  
 
サウジアラビアによる減産延長に加え、黒海地域におけるロシアとウクライナの緊張がロシア産原油の出荷を脅かす可能性があるため、市場は供給逼迫懸念を重く見ていることから、原油価格は木曜日に数か月ぶりの高さに上昇していました。。
 
ロシア政府は7月に、ウクライナの食料貨物に黒海での安全な航路を与えていた協定を打ち切ったことから、ウクライナはこれに反発し、ノボロシースク海軍基地でロシアの石油タンカーと軍艦を海上ドローンで攻撃するなど、黒海の輸送のリスクが高まっていました。
 
ブレント原油は木曜日の取引開始時に2023年1月以来の高値をつけ、ウェスト・テキサス・インターミディエイト原油(WTI)は2022年11月に記録した水準まで上昇していました。
 
本日の重要なインフレデータの発表に先立ち、ニューヨーク連銀は24日、家計債務残高全体がほぼ横ばいであったにもかかわらず、米国人が前期にクレジットカードでこれまで以上に借り入れを行い、残高が初めて1兆ドルを超えたと発表していました。
 
ニューヨーク連銀の研究者は、このデータ発表に伴う ブログの中で、「金利上昇、パンデミック後のインフレ圧力、最近の銀行破綻など、アメリカの消費者がこの1年で直面した多くの逆風にもかかわらず、消費者が広範な経済的苦境に陥っていることを示す証拠はほとんどない」と述べている。
 
銀価格は、トロイオンスあたり22.79ドルで、木曜日に発表された米国の主要データの後、急騰し、その後下落するなど神経質な動きの後に、トロイオンスあたり22.79ドルで落ち着いていました。 銀は、今週発表された一連の予想を下回る中国の経済指標を受け、同国の需要減退が懸念となり、木曜日早朝に1ヶ月ぶりの安値をつけて、金銀比価を84台と7月初旬の高さへ銀割安傾向が進んでいました。 
 
中国の輸出はドルベースで前年比14.5%減と、2020年2月のコロナウィルスのパンデミック以降で最も急減していました。輸入は12.4%減と、2023年1月以来最大の落ち込みとなり、ここ数年で最悪の落ち込みを記録していました。
 
また、中国が水曜日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.3%下落し、2年以上ぶりの年間下落率となり、卸売物価指数は4.4%下げ、需要の低迷が経済の重荷となっていることが見られていました。
 
自動車触媒に代表される工業用途が需要の3分の2を占めるプラチナ相場は、前日に心理的節目の900ドルを割った後に、本日午後にトロイオンスあたり901ドルまで上昇していました。
 
ロシアが第1位の採掘量を誇るパラジウム価格も、1カ月ぶりの安値から1269ドルまで上昇していました。
 
木曜日の欧州株は上昇し、汎欧州ストックス600種指数は午後0.5%上昇し、S&P500種指数は0.6%上昇して、前日の下げ基調から反発する傾向を見せていました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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