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金価格の上昇で世界の金需要は2009年以来の低さへ

しかし、金ETFと中央銀行の金需要は増加していました。

先月末に発表された最新のデータによると2019年の金価格の上昇は金需要を10年ぶりの低さへ下げることとなりました。

それに対し、投資目的の大規模な地金は、中央銀行が1960年以来金準備を増加させ、金現物を裏付けとするETFへの投資が史上3番目の高さとなる中で、急増していました。

現物金地金価格は、ドル建てで2019年に18.8%上昇し、2013年以来の高い価格を記録していました。また、ユーロ建てとポンド建て、そして金産出国であるカナダとオーストラリアの通貨建て、そして金の主要消費国であるインドとトルコの通貨建てでも史上最高値を付けていました。

「2019年の金ETFへの資金の流入は、消費者の需要の減少と同等の水準でした。」と金業界のマーケティング団体のワールドゴールドカウンシルが、貴金属専門コンサルタント会社のMetals Focusがまとめたデータを発表した際に述べています。

大規模な地金の投資以外の需要である、何らかの製造が必要となる医療品や工業用や金貨や小規模な地金の需要は、このデータによると3,304トンへと減少していました。

これは、21世紀の年間平均需要と比較しても8.6%の減少で、世界金融危機で需要が激減していた2009年以来の低さとなっていました。この年は、世界銀行によると、過去60年間で唯一世界のドル建て実質GDPが減少していた年でもありました。

宝飾品の需要は、重量にして5.9%減少し、金貨の需要もまた7.9%減で、そして小規模な地金の需要は25.5%急落していました。

「中国とインドの消費者の需要は、大きく揺れることとなりました。」とワールドゴールドカウンシルは述べています。

それは、第4四半期を見ると、「この世界の最大と第2の金消費国の宝飾品と小規模な投資需要は前年比80%減となっていたのです。」と続けています。

もう一つの貴金属専門コンサルタント社であるRefinitiv GFMSがまとめた消費者による小規模な投資需要では先の結果ほどの大きな動きは見られず、小規模な地金については前年比11.4%減で、金かについては4.7%減となっていました。

しかし、他の需要についてみると、製造が必要となる需要については、前年比9.2%減となっているのに対し、金を裏付けとするETFと中央銀行を含む大規模な地金投資については、前年比58%増と全体の20%超の1000トンを超えて増加していました。

「金価格の急騰は投資家の興味の高さが要因となっていました。それは、コメックスや金のETFへの多くの資金流入からも、特に投資を専門とする人々でした。」とRefinitiv GFMSの貴金属リサーチのマネージャーのCameron Alexander氏は述べていました。

ワールドゴールドカウンシルのLuise Street氏はMetals Focusが発表した2019年のデータで、消費者の需要が重量で下げているのは、評価額では宝飾品需要は5年ぶりの高さの940億ドルと増加していることを隠していると述べています。

これは、FX市場でのドルの強さからですが、「それぞれの地域の通貨建てではその高さは顕著なものです」と続けています。金宝飾品需要の世界第2の消費国のインドでは、ルピー建てのでは史上最高の1.7兆ルピーとなっていることに言及しています。

そして、世界最大の金産出国、輸入国、そして消費国の中国では、中国黄金協会のデータをまとめたブリオンボールトの分析によると人民元建てでは史上最高値に達していたことが明らかとなっています。

自国に金鉱を持たないインドにおいては、新たな金の供給は金の輸入に全面的に頼らざるを得ません。そのために2019年は、金価格の上昇とルピーの下落、そしてインド政府が昨年2月の予算で金の輸入関税を12.5%に引き上げたことによる影響を大きく受けました。

「ディーワーリー(光のフェスティバル)のある10月の消費が高まる際に消費者心理の悪化は金需要を減少させました。」とワールドゴールドカウンシルは述べています。

そして、本来中国の春節の休暇は、金は幸福をもたらすという伝統と多くの中国の会社が休暇を前にボーナスを支給することからも、本来は金の需要が高まり、金の販売量が最も高まるイベントでもあります。

しかし、「2020年の春節は新型コロナウイルス感染に拡大で、記録的な需要の低さとなっています。」と、Refinitiv GFMSの香港のアナリストのSamson Li氏はロイターへのインタビューで述べています。

中国の新型ウイルスは、経済成長や個人消費へも悪影響を及ぼすことになると見られています。「ネズミ年は金にとっては引き続き良い年になることでしょう。」とサウスチャイナ・モーニング・ポストは、香港Gold and Silver Exchange SocietyのHaywood Cheung氏のコメントを取り上げています。 

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

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