中国の金購入量は減少していたものの、金購入額では記録的高さへ増加
中国黄金協会(CGA)のデータで金購入総量は減少したものの、購入額は史上最高値を記録。
2019年に中国の消費者による金需要は重量では減少していたものの、その購入額においてはほぼ記録的に高い水準に達していたことが、今週発表されたデータとブリオンボールトの分析で明らかとなりました。
今週中国の昨年一年間のデータを発表した中国黄金協会によると、金購入量は重量において13.7%減少し902トンと2012年以来の低さとなっていました。
また2013年に金消費量においてインドを超えて世界一となった中国において、昨年の金の需要が過去10年間の平均を50トン下回る水準であったことが、金業界のマーケティング団体のワールド・ゴールド・カウンシルのために貴金属専門コンサルタント会社のMetals Focusがまとめたデータによって明らかになっています。
しかし、それぞれの四半期の人民元建て価格から算出した評価額においては、中国の消費者は2019年にその購入額を4.4%増加させて、人民元建てにおいては、金価格が史上最高値から暴落し需要が急増した2013年を除き史上最高値となっていていました。
今週発表された中国黄金協会(CGA)のデータによると、第4四半期の金購入量は2016年以来の低いものとなっていました。通常第4四半期は中国の春節を前に需要が最も高まる四半期でもあります。
しかし、中国の第4四半期の金の購入額は急激に増加しており、人民元建てにおいては、金価格が急落し需要が急増していた2013年以来の高いものとなっていました。
「経済のさらなる減速などの様々な要因に影響されている。国内の金消費傾向は、2019年特に後半期に価格が上昇していた際に弱まっていました。」と中国黄金協会(CGA)はプレスリリースでコメントしています。
「金消費量を見てみると、宝飾品において顕著に減少していました。金価格の上昇は金投資をも慎重にさせたのです。そのために、金地金投資も急減していました。」と中国黄金協会(CGA)は続けています。
金需要の先行きについては、直近でルピー建て金相場が史上最高値を付け、中国人民元建てでは7年ぶりの高さとなったことを指摘し、「金価格の上昇から金購入を思いとどまらせ、インドと中国の金地金需要が抑えられていること」が2020年のドル建てや他の欧州の主要通貨建ての金価格上昇を妨げるかもしれないと、カナダのブリオンバンクのスコシアバンクが顧客向けレポートで述べています。
そして、昨年の価格の上昇は、既存の金の宝飾品や地金を保有する人々による利益確定を進め「伝統的に金現物を好むこれらの国において金の売却が進んだことで」世界の金供給量にこれらが追加されることになるかもしれないとスコシアバンクは続けています。
2019年の世界的な金価格の強さは、中国黄金協会(CGA)は、ロシアや中国に率いられた中央銀行が「世界の経済や貿易摩擦、主要国経済のさらなる低迷、中央銀行の終わりのない金融緩和、地政学リスクの高まりで金準備を継続積み増していること」が背景と述べています。
「それと同時に、上海黄金交易所の取引額が2019年に15.7%増加し、上海先物取引所における金関連商品の取引額が238.9%急増しているなど金市場が投資機関によって魅力的なものとなっていること」についても中国黄金協会(CGA)は追記しています。