価格の上昇と共に金投資が進む
この現象はトランプ大統領が選出されて以来2度のみしか起こっていません。
欧米の金投資傾向が、金価格が数か月ぶりの高さへ上昇する中で昨年7月以来高まりました。ここで、ブリオンボールトのリサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュが解説しています。
これは、価格に繊細に下落時に買い上昇時に売却をするという傾向を崩すものでした。
先月1月は、金価格が上昇する中で個人投資家の金投資が増加しましたが、このような傾向は、2016年11月にトランプ大統領が選出されて以来2度しか起こっていません。
そして、個人投資家が実際に取引をしたデータを基に算出される金投資家インデックスが1月に上昇したのは、2011年以来でした。
それは、2000年以来1月に金価格が上昇したのは20回のうちで14回であるように、1月は通常金価格が上昇する傾向があるためです。
金投資家インデックスが上昇した1月に、金価格は9年ぶりの長期間上昇を続けていました。
金価格が米国ドル建て、ユーロ建て、英国ポンド建て全てにおいて、月末価格と月間平均価格で共に4か月連続で上昇したのは、2009年秋以来でした。
そして、米国ドル建て金価格が2018年春の水準まで上昇し、ユーロ建てと英国ポンド建てでは2年ぶりの高さへと上昇する中、ブリオンボールトで金を売却した個人投資家数は、前月比1.3%増え、過去1年間で最も高い水準となっていたものの、金を購入した投資家数は3か月以来の高さの13.0%増となっていました。
そのために、個人投資家の実際に金現物を売買したデータを基に算出される金投資家インデックスは、1月に52.6と6か月ぶりに増加し、先月の16か月ぶりの低さの51.8を上回っていました。
2019年に入り個人投資家の金への興味は高まっているものの、金投資家インデックスからも分かるように、金投資家の購入と売却はほぼバランスが取れています。
英国と米国の投資家による利益確定の売却は、それぞれ1000ポンドと1300ドルという心理的な高値の水準に慣れてきていることからも減ってきていますが、ユーロ建て価格は21か月ぶりの高さの1150ユーロに至ったことから、ユーロ圏の投資家の新たな利益確定が進んでいました。
そして別の側面を見てみると、新たな貴金属投資の興味の高まりは、新規顧客数が1月に2018年の平均値を25.9%上回っていたことからも現れていました。しかし、この数値は過去5年間の月間平均と比較すると2.8%増でもあり突出しているものではありません。
ただ、そのような中で先月特に目立ったのは、フランスと米国からの新規顧客が急増していたことでした。それは、それぞれ過去60か月の平均を73.4%と9.7%上回っており、先月フランスにおいてはマクロン大統領への抗議運動「黄色ベスト運動」が続き、米国においてはトランプ大統領と議会のメキシコとの国境の壁の予算を巡る対立で政府機関の一部が記録的長さで閉鎖されていましたた。
しかし、それに対して英国は、英国のEU離脱に関して英国議会内、そして英国とEU間でも政治的な袋小路に入っていたにもかかわらず、新規顧客数が過去60か月平均を10.2%下回っていました。
銀価格もまた米国ドル、ユーロ、英国ポンド建てで1月に上昇し、2018年夏の水準に至っていました。そのために、売却者数は前月比4.3%増となり、昨年1月以来の高さへとなっていました。
しかし、金同様に購入者数も3か月ぶりの高さの13.3%増となっていたことからも、銀投資家インデックスは12月の22か月ぶりの低さの50.1から上昇し50.5となっていました。
重量において銀は、新たに5.1トン増加させ、顧客全体で保有する量は史上最高の753.9トンとなっていました。この増加量は、2016年1月以来の大きな価格の下げを見せた昨年9月以来の高いものでした。
それに対し、顧客が保有する金の総量は2か月連続で減少し、3か月ぶりの低さで63キロ減の39トンとなっていました。