金市場ニュース

ニュースレター(7月10日)1159.30ドル ギリシャ破綻懸念と中国バブル崩壊懸念が後退する中、金相場は下落

大変恐縮ですが、私は明日から日本の家族の健康状態が悪化したために日本に戻るために、しばらく事務所を留守にします。そのために、ニュースレターは市場分析ページに掲載されますが、メールでの配信ができない可能性があることをご了承ください。

週間市場ウォッチ

先週金曜日のLBMA金価格のPM価格は、トロイオンスあたり1159.30ドルと、前週同価格から0.7%下げています。

週明けのドル建て金相場は、前日のギリシャ国民投票の結果が財政緊縮策の受け入れ反対の勝利となり、今後のギリシャ情勢に懸念が広がったために、まず上昇して始まったものの、その後リスクオフから下げた後に、ロンドン時間午後から上昇することとなりました。

ギリシャ情勢では、まずロンドン早朝にバルファキス財務相が辞任を表明し、国内銀行の銀行休業と資本規制は8日まで行われることが伝えられました。

同日欧米株価は軟調な動きとなりました。

翌日火曜日の銀価格は2009年8月以来の水準まで大きく下げることとなりました。また、金価格は、今年3月以来の低さとなりました。これは、ギリシャ情勢への懸念で、ユーロ首脳会議を控え、株価、原油、他のコモディティも下げるなど、リスクオフが進んだことからです。

水曜日の金相場は、前日の下げの反発もあり上昇することとなりました。まず、中国株式市場は同日も下げ幅を広げ、市場全体の71%の銘柄が売買停止もしくはストップ安となったことが伝えられていました。

ギリシャ情勢は、ギリシャ政府は、欧州安定メカニズム(ESM)に 新たな金融支援を正式要請し、支援の前提となる構造改革案を翌日9日までに提出することが求められ、銀行の一時閉鎖措置と資本規制が10日まで延長されたことも伝えられていました。

同日ロンドン時間19時に発表されたFOMCの議事録では、「利上げ開始を正当化する状況になお近づいている」とする一方、「多くの当局者が時期尚早の利上げをしないよう警告」とも記されており、ギリシャ情勢悪化と中国株式市場の急落前に、既に両国の情勢が世界経済や米国経済に与える影響を懸念していたことからも、若干ハト派的なものと解釈された模様で、大きく市場を動かすものではありませんでした。

木曜日は、上海株式市場の急反発をうけて、欧米株価が戻す中、狭いレンジでの取引となりました。また、同日が期限とされていた、救済融資を確保するためのギリシャ政府による年金削減と増税を含む改革案が提出されました。

本日金曜日は、中国株価が前日に続き上昇し、昨夜提出されたギリシャの改革案がギリシャ議会でを通過し、今週末に予定されている11日のユーロ圏財務相会合と12日のEU首脳会合で合意に至るという楽観的ムードが広がり、欧米株価が上昇する中、ドル建て金相場は、過去5年間で3番目に低い、週の終値となり、ユーロ建て金相場は、過去6週間留まっていた20ユーロのレンジを抜けて下げることとなりました。

 

その他の市場のニュース


  • 先週末発表されたコメックス銀先物・オプションのショートポジションが、史上最高の水準に達したこと。

  • 今週水曜日の上海黄金交易所(SGE)での取引量が、過去5ヶ月で最高の水準へと急騰したこと。

  • 中国株は8日も株価の下げは止まらず、市場全体の71%の銘柄が売買停止もしくはストップ安となったこと。

  • 8日に技術的問題で、NYSEがすべての銘柄の取引を一時停止したこと。

ブリオンボールトニュース

ギリシャ危機の中、金への注目は薄れ、2006年以来の低水準の強気ポジションであることを伝えるブルームバーグの記事で、ブリオンボールトにおいては金保有量の増加率が2012年以来の高水準であることが取り上げられました。

この日本語のプレスリリース「ECB量的緩和とギリシャ債務問題などから、金投資が2012以来の高い水準で進む」は、日本語で金関連情報を網羅しているゴールドニュースサイトでご覧いただけます。

また、ファイナンシャル・タイムズの「安全資産としての輝く例」として、米国の金利引き上げが金にどのような影響を与えるのかを分析している記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。

ここでエィドリアンは「市場は、量的緩和終了を価格に事前に織り込んでいたように、金利引き上げは織り込み済みであるため、更なる引き上げ遅延は、金をサ ポートするだろう。長期的に見ると、金利引き上げがインフレ率を上回った際にのみ、金にネガティブな影響を与えるだろう。」と述べています。

米経済サイトのMarketWatchの「過去4ヶ月で最低水準へ価格が下げる中、投資家が金へと資金を逃避させる」という記事でも、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。

ここでエィドリアンは、昨日のNYSEの技術的問題で、すべての銘柄の取引を一時停止したことにも触れ「(NYSEの件)が、(既に緊張している)市場の 緊張感を高めた。そのため、これ以前に回復しつつあった金相場を助ける事はあっても、悪影響はもたらさなかっただろう。市場全体には特に影響を与えなかっ たようだ。現在の中国とギリシャ情勢(が既に市場に与えている影響)を考慮すると、これ以上の影響をあたえることができるとは思えない。」とコメントして います。

今週火曜日に発表された金投資家インデックスの解説記事「金投資が急増し、金売却が30%減が、市場分析ページに掲載されました。

今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。

ロンドン便り

今週ロンドン便りでは、英国王室のウィリアム王子とキャサリン妃の第2子のシャーロット王女の洗礼式の写真が公式写真公表されたことからも、この洗礼式に関してお届けしましょう。

洗礼式は先週日曜日の7月5日に、ノーフォークのエリザベス女王のお気に入りの邸宅であるサンドリンガム宮殿近くの教会のメアリー・マグダレン教会で行われました。

この洗礼式に向かう際に、キャサリン妃がシャーロット王女の乳母車を押して、ウィリアム王子は第1子のジョージ王子の手をつないで、徒歩で移動した様子が、ニュースでも伝えられていました。

この乳母車は、実は50年前にエリザベス女王が、アンドリュー王子やエドワード王子を産んだ時に使ったものであるとのこと。そして、ジョージ王子の装いは、ウィリアム王子が、弟のヘンリー王子が生まれた時にお見舞いに出かけた時の服装にほぼそっくりなものでもありました。

伝統を尊重し、家族の歴史を大切に思うウィリアム王子とキャサリン妃らしい心遣いです。

なお、洗礼式の後に行われたアフタヌーンティーでは、4年前のウィリアム王子とキャサリン妃のウェディングケーキの一部が出されたとのこと。これも、英国の伝統で、通常何段にも重なっているウェディングケーキの一番上の部分は、子供の洗礼式の時に使うために、冷凍庫などに保存されます。英国の伝統的なウェディングケーキは、お酒に浸けられたドライフルーツフルーツやお砂糖がふんだんに使われているケーキなので、長期間保存がきくようになっているためにある伝統でもあるのでしょう。

英国王室の伝統を守りながらも、現代の若者らしい感覚も兼ね備えているウィリアム王子とキャサリン妃の生き方は、英国中(もしくは世界の方々も)注目しているようです。

なお、洗礼式の写真は、英国主要紙テレグラフのサイトでもご覧いただけます。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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