金市場ニュース

ニュースレター(2022年9月9日)FRB高官のタカ派的コメントでドル建て金は頭の重い動きが続く中、円建て金は2ヶ月ぶりの高さへ

私は本日午後から一週間休暇をいただいておりますので、本日昼過ぎまでの市場の動きをまとめたニュースレターをいち早くお届けします。

なお、来週のニュースレターは簡易版を金曜日にお届けすることとなることをご了承ください。

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後12時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1726ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.8%高と、3週ぶりの週間の上げの傾向となっています。この間銀価格は、本日12時のチャート上の価格は前週のLBMA価格(午後12時)から4.6%高のトロイオンスあたり18.74ドルで3週ぶりの上昇傾向となっています。プラチナは本日午後12時の弊社チャート上では前週金曜日のLBMAのPM価格から5.6%高のトロイオンスあたり887ドルとやはり3週ぶりの週間の上げで8月26日以来の高さとなっています。パラジウム価格は、前週のLBMAパラジウムPM価格と比較して、本日午後12時の弊社チャート上での価格は8.3%高のトロイオンスあたり2184ドルと2週ぶりの上昇で、やはり8月26日以来の高さとなっています。

今週の金・銀・プラチナ・パラジウム相場の動きの概要

今週貴金属相場は、引き続きFRBの高官のコメントや欧州のエネルギー問題、そして中国の経済関連ニュースで動くこととなりました。

金は、高インフレに対応するFRBによる速いペースの利上げ観測で米長期金利が2ヶ月ぶり、ドルが20年ぶりの高さへ上昇する中で、トロイオンスあたり1700ドルの底値を試す動きとなりました。

この間、ユーロはエネルギー危機、英国ポンドは首相交代関連ニュース、日本円は中央銀行の金融政策の違いによって、対ドルで異なる動きをする中で、ユーロ建てでは週間で0.1%高、ポンド建てでは0.2%高、日本円では2.1%高で2ヶ月ぶりの高さとなっていました。

そこで、今週は前週もお伝えしましたが、日本銀行と他の中央銀行の政策金利の違いのチャートでその差を見ていただくことにしましょう。

パンデミック以降、40年来の高インフレに対応すべく、FRB、欧州中央銀行、イングランド銀行が急激に金利を引き上げていることを見ていただけます。

主要中央銀行の政策金利の推移 出典元 BISデータからブリオンボールトが作成

なお、産業用途の需要の割合が高い、銀、プラチナ、パラジウムは、前週景気後退による需要減少観測で大きく下げていたものの、その下げの調整や供給逼迫懸念、また中国の需要が高まる観測で他のコモディティが上昇する中で、今週堅固な動きを見せています。

日々の金相場の動きと背景について

週明け月曜日は米国がレイバー・デーの祝日で休場となっている中で、欧州関連ニュースで市場は動くこととなりました。

主要なニュースはロシアが主要パイプラインを通じた欧州向け天然ガスの供給停止延長を前週金曜日に発表し、ユーロが対ドル20年ぶりの安値を更新し、英国の次期首相となる保守党党首がリズ・トラスト氏と発表される中で、英国ポンドが対ドル35年ぶり低値をつけるなど為替の動きで、ドル建て金価格が前週終値からほぼ横ばいでトロイオンスあたり1713ドルで終える中で、ユーロ建てとポンド建て金価格は為替市場の動きに反応し、ユーロ建ては上昇し、ポンド建ては前半の上げ幅を失ってほぼ横ばいで終えていました。

そのような中、既にウクライナ戦争以来供給懸念から400%増となっている欧州天然ガス価格は同日一時35%上げ、ユーロ圏は直近で9.1%のインフレと単一通貨発足以来の高さを記録している中で、欧州経済への懸念は広がり、欧州株価が大きく下げていました。

火曜日金相場は、米長期金利が2ヶ月ぶりの高さ、ドルインデックスも20年ぶりの高さへ上昇する中で、トロイオンスあたり1703ドルへと下げて終えていました。

同日ドルと長期金利が上昇したのは、発表されたISM非製造業景況指数が予想を上回り3ヶ月ぶりのペースの上昇幅であったことで、FRBによる早い利上げペース観測が広がったことからでした。

そこで、FEDWatchツールの9月の0.75%の利上げ予想は、前週のまちまちであった米雇用統計後の58%から再び76%へと上昇していました。

水曜日は、2ヶ月半ぶりの最高値であった米長期金利が低下したことで、金相場はトロイオンスあたり1716ドルと前日の下げ幅を取り戻して前週金曜日の水準へと上昇していました。

これは、同日発表された米地区連銀経済報告で、将来の成長見通しが総じて弱く、インフレも鈍化したとされていたことで、長期に渡る高い金利観測が若干後退し、米国債の売りが多少一段落して長期金利が下げたことが要因のとなりました。

また、原油価格も同日大きく下げてウクライナ戦争以前の水準となったことで、インフレの一因が多少鈍化したことも要因となっていた模様です。

この間、日本円は対ドルで24年ぶりの低さの144円をつけ、円建て金相場は、グラムあたり7953円と2ヶ月ぶりの高さへ上昇していました。

木曜日金相場は、長期金利とドルが再び上昇に転じたことで、トロイオンスあたり1706ドルへと一時下げた後、1710ドルで終えていました。

これは、同日パウエル議長がスピーチの中で「インフレ抑制の任務が完了するまで金融当局が尻込みすることはない」と言明するなど、市場がより長期にわたる高い金利観測を広げていることが背景となりました。

同日は市場注目のECBの政策金利発表も行われて、0.75%の引き上げと単一通貨が導入されて初の大幅な上げ幅となっていましたが、米国が比較的堅固な経済状態である中で、欧州はエネルギー危機などによる景気後退懸念が広がっており、ユーロは対ドル下げていることもドルを相対的に引き上げる結果となった模様です。

本日金曜日金相場は、ロンドン昼過ぎにドルインデックスが一月ぶりの下げ幅をつける中で、トロイオンスあたり1726ドルへと上昇しています。

ドルインデックスが下げているのは、市場がFRBと欧州中央銀行による金利引き上げが織り込まれたと見ているとも分析されています。

また、本日は世界株価が、中国の需要の伸び期待と欧州諸国がエネルギー問題について本日会合を開いており何らかの施策への期待からも3週ぶりに全般上昇しており、安全資産としてのドルの買いを抑えている模様です。

なお、日本円は本日日銀の黒田総裁と岸田首相と会談したことを受けて、急激な円安・ドル高水準をめぐり協議したことが伝えられて、142円半ばへ円安が多少解消されたことで、日本円建て金相場も多少下げげgあたり7899円前後を推移しています。

ブリオンボールトのリアルタイムドル建て金価格チャート

その他の市場のニュ―ス


  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、先週30日火曜日に週後半の米雇用統計を待つ中で、パラジウムを除くすべての貴金属で強気ポジションが減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションのネットポジションは前週に引き続き5週連続でネットロングであったものの、32%減の64トンと3週連続で4週ぶりの低さへの減少していたこと。この間LBMA PM金価格は前々週比1.2%安で4週ぶりの低さで、建玉は前週比2.9%減で2017年1月末の低さへ下げていたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットポジションは、9週連続でネットショートで35%増の3,298トンと、2019年5月末の大きさとなっていたこと。この間LBMA銀価格は1.5%安と3週連続の下げで2020年7月以来の低さ。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションは、12週連続のネットショートで、そのポジションは79%増の26トンと5週ぶりの高さ。LBMA PMプラチナ価格は2.2%安と6週ぶりの低さ。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットポジションは3月29日の週以来ネットショートをネットロングへ転換して0.75トンとなっていたこと。この間LBMA PM価格は5.7%安。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに4.9トン(0.5%)減で968トンと2020年3月31日以来の低さで、6週連続の週間の減少の傾向であること。週間の増加は6月17日の週以来無し。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに1.2トン(0.24%)減で494トンと、2週連続の減少傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに30トン(0.21%)増の14,543トンと、4週ぶりの増加傾向となっていること。

  • 金銀比価は、前週2年ぶりの高さへと上昇後に今週93台後半で始まり、本日91台後半へと下げていること。2021年平均は71.83で、5年平均は80.35。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消されたこととなる。)

  • プラチナの金とのディスカウント(金との差)は、今週860台で始まり、本日830台と4週ぶりの低さへ下げていること。2021年平均は708.82ドルで5年平均は564.76ドル。

  • プラチナとパラジウムの差であるディスカウントは、今週1200ドルを割って始まったものの、本日1200台前半で終える傾向。ロシアが世界の4割を供給することからもロシアのウクライナ侵攻で2000ドルを超えてディスカウントが上昇。年初は1000ドルほど。

  • 上海黄金交易所(SGE)の週平均は、前週の21.12ドルから更に上昇して25.01ドルと2016年以来の高さ。これは、今週人民元価格が2週ぶりの高さへ上昇し、人民元が対ドル2020年8月以来の低さへ下げている中で堅固な動き。(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)昨年平均は4.94ドル。コロナ禍で特殊な動きをした2020年を除く5年平均は9ドル。

  • コメックスの先物・オプションの週間の平均取引量は前週から金は6%増加で5週ぶりの高さ、銀は9%減、プラチナは18%増で11週ぶりの高さ、パラジウムは10%増。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週も主要中央銀行の金融政策やそれに影響を与える指標が市場を動かしていますが、来週は米消費者物価指数が火曜日、イングランド銀行の政策金利発表が木曜日、ユーロ圏消費者物価指数が金曜日に発表され、市場は注目することとなります。

その他詳細については主要経済指標(2022年9月12日~16日)をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

ブリオンボールトは5月20日から大英図書館で行われている「金(Gold)」のエキジビションのスポンサーをさせていただいています。ご興味があれば下記のリンクでご覧ください。

http://bl.uk/events/gold

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週英国では、月曜日に発表された新保守党党首で火曜日に正式に就任したリズ・トラス首相とその内閣、またエネルギー問題に対応する政策についてが大きく報道されていましたが、昨日エリザベス女王が死去されたことが伝えられ、全てのメディアでは昨夜から本日はほぼそのニュースのみが伝えられています。

昨日英国時間昼過ぎに女王陛下の健康が懸念される状態と発表され、チャールズ皇太子を含む全ての子ども達と孫のケンブリッジ公とサセックス公もエリザベス女王の滞在先のスコットランドのバルモラル城へ駆けつけていることが伝えられていましたが、数時間後に悲報が届きました。

ご高齢であったものの、火曜日にトラス新首相と笑顔で握手している写真も伝えられていたことから、英国の人々の驚きと悲しみは深いものがあります。

王室のプロトコルによると、葬儀は死去から10日後とのことですが、本日葬儀後7日間喪に服すことも伝えられていますので、英国王室関係者が喪に服す期間は計17日間となるようです。

なお、昨日悲報が伝えられて、同日行われる予定だったオペラ等の多くのライブエンターティメントは急遽延期されており、本日サッカーや競馬やゴルフ等のスポーツも一定期間延期されること、そして来週のイングランド銀行の金融政策会合も9月末に延期されたことが伝えられています。

そして、先程チャールズ3世が国王となって初めてバッキンガム宮殿に入ったことが伝えられていましたが、今晩英国時間午後6時にはチャールズ3世が国王として初めて国民に向けてテレビでお言葉を述べるとのこと。

在位70年と、英国の人々の多くはエリザベス女王以外の君主を知らず、女王陛下をそれぞれがご自身の母、祖母のように敬愛をしていたことからも、昨夜から献花する人々の波は、バッキンガム宮殿やウィンザー城に絶えることがないようです。

国歌の「ゴッド・セーブ・ザ・クィーン」から、「ゴッド・セーブ・ザ・キング」へも変わり、紙幣や硬貨や切手もチャールズ3世の肖像のものが新たに発行される予定とのことですが、人々がこの変化に慣れるには時間がかかることでしょう。

近年はご家族の中の様々な困難にも面しながらも、お亡くなりになる直前までご自身の責務を全うされてきた女王陛下への尊敬の念は英国国民は当然のことながら、コモンウェルスの国々の人々、そして世界の国々の人々の中でも深いものがあるようです。

エリザベス女王陛下のご冥福を心からお祈りしています。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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