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金価格ディリーレポート(2022年9月5日)ロシアが欧州向け天然ガス供給停止でユーロが最安値を更新しユーロ建て金価格は上昇

ロシアが主要パイプラインを閉鎖したことにより、欧州のエネルギー危機が深まる中で、ユーロが20年ぶりの安値となり、ドル建て金価格は安定する中で、ユーロ建て金価格は上昇していました。
 
ドル建て金現物相場は、先週 金曜日発表の米雇用統計がまちまちで、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを緩める可能性を示唆したことで、20ドル以上上昇した後、本日ロンドン時間昼過ぎにトロイオンスあたり1711ドルと前週終値から横ばいで取引されていました。
 
ロシアの国営ガス会社ガスプロムPJSCが金曜日に西ヨーロッパへの主要パイプラインからの供給を無期限で停止すると発表したため、ユーロが米ドルに対して弱含み、ユーロ建て金価格は月曜日の朝にトロイオンスあたり1734ユーロまで一時上昇していました。
 
コペンハーゲンのダンスク銀行のチーフストラテジスト、ピート・フィリップ・クリスチャンセン氏は、「ガス供給停止は 欧州経済の見通しに対する新たな打撃であり、ガバナンス関連のリスクにより短期的にユーロは弱含みのままだ」と述べていました。
 
この発表は、世界の先進7カ国からなる非公式なグループであるG7が、ロシアの石油に価格上限を設けると発表したわずか数時間後に行わました。
 
ドルインデックス(主要通貨に対する米国の通貨価値の指標)は、月曜日の朝、2002年半ば以来の高水準に跳ね上がっていました。 
 
エネルギー市場では、欧州のベンチマークであるオランダのTTFガス先物も月曜日の朝に急騰し、ベンチマーク先物は一時35%も跳ね上がっていました。
 
2月のウクライナ侵攻に先立ち、またそれに続いてロシアからのガス流量が減少したことで、すでに欧州の価格は過去1年間で400%近くも上昇し、欧州の電気料金も高騰しています。
 
欧州天然ガスの価格の推移 出典元 セントルイス連銀
 
先週、ユーロ建てのスポット金は1.4%下落していましたが、年初来では7%上昇しています。これは、FX市場でユーロが米ドルに対して今年12%以上下落し、先月、2002年以来初めて対ドルでパリティになったためです。 
 
そのような中、米ドル建ての金価格は、年初来で5.5%下落しています。
 
一方、英国ポンド建て金価格は、前週終値から若干上昇してトロイオンスあたり約1489ポンドとなっていました。これは、月曜日市場が保守党の新党首の発表を待つ中でポンドが対米ドルで37年ぶりの安値まで下落したことからでした。 
 
ロンドン時間昼過ぎに保守党党首選の結果が発表され、有効投票の57%を獲得したリズ・トラス氏が勝利し、明日女王から次期首相として正式に任命された後に英国の新首相になることが決まりました。
 
ポンド建ての金現物価格は、英国ポンドが米ドルに対して今年15%下落してここ数十年来の低い水準となっているために、今年年初より11%上昇しています。 
 
スイスクオート銀行のシニアアナリスト、イペック・オズカルデスカヤ氏は、「ドルが容赦なく上昇し続ける中、ポンドは対米ドルでのパリティへの道を歩み続けると予想される」と指摘し、トラス氏はイングランド銀行の任務である、2022年7月に40年来の高さの10.1%まで急上昇したインフレ抑制から変更させ、成長に焦点を当てさせる可能性があるためとその理由として述べています。
 
欧州中央銀行は木曜日に予定されている会合で、8月に9.1%の新記録を達成したインフレの急上昇を防ぐために75ベーシスポイント金利を上げると予想されている。 
 
EU諸国のエネルギー相は金曜日に会合を開き、ガスと電力の価格高騰に対応するためのEU圏全体での緊急対策について協議する予定です。この対策としては、輸入ガスの価格上限設定、発電用ガスの価格上限設定、またガス発電所を現行のEUの電気料金設定システムから一時的に除外することなどが考えられています。
 
ドイツを中心とするヨーロッパ諸国は、週末に生活費の危機とエネルギー価格の高騰に対処するための施策を発表していました。ドイツは日曜日に緊急救済措置として650億ユーロのパッケージを発表し、フィンランドは100億ユーロのプログラムで電力市場を安定させると発表しました。そして、 スウェーデンは土曜日に、電力会社のために230億ユーロの緊急支援策を発表していました。
 
英国の資産管理会社ブリューイン・ドルフィンの市場分析責任者ジャネット・ムイ氏は、「米国市場では多くの悪いニュースがすでに織り込まれているが、欧州ではおそらく まだ織り込まれていない」と述べています。
 
欧州の株式は急落し、欧州全体のSTOXX600指数は取引開始1時間で1.7%下落し、ドイツのDax指数は3.1%下落し、1日の下落率がこの2ヶ月で最大となる傾向となっています。そして、英国のFTSE100は1.1%下落しましたが、保守党党首の発表後に下げ幅を縮小していました。
 
米国株式市場は、本日レーバーデー(労働者の日)の祝日のために休場となっています。
 
OPECとロシアを中心とするその同盟国は月曜日、10月の生産量を日量10万バレル(世界需要のわずか0.1%に相当)削減することを決定したと発表し、原油価格は1バレル3ドル以上跳ね上がっていました。
 
ブレント原油は3.84%上昇し96.59ドル、米国のウエスト・テキサス・インターミディエイトも3.59%上昇し89.99ドルと発表を受けてロンドン時間昼過ぎに動いていました。
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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