金市場ニュース

ニュースレター(2022年4月29日)ドルインデックスが20年来の高さを付けて金は下落

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1913ドルと、前週木曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から1.5%安と2週連続の下げで3月29日以来の低さとなっています。この間銀価格は、本日12時のチャート上の価格は前週のLBMA価格(午後12時)から3.72%安でトロイオンスあたり23.44ドルとやはり2週連続の下げで2月11日以来の低さとなっています。プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では前週金曜日のLBMAのPM価格から0.78%安のトロイオンスあたり933ドルへと1月10日ぶりの低さへ下げています。パラジウム価格は、前週のLBMAパラジウムPM価格と比較して、本日午後2時の弊社チャート上での価格は4.6%安のトロイオンスあたり2294ドルと下げています。

今週の金・銀・プラチナ・パラジウム相場の動きの概要

今週貴金属は中国が上海に続き北京もCovid-19の感染拡大を防ぐために都市封鎖を行う方向であることが伝えられて、中国景気後退懸念で月曜日に株価とコモディティ価格が急落する中で、銀、プラチナ、パラジウムはコモディティの側面で大きく下げ、金は急激なリスクオフによる現金化が進み下げることとなりました。

その後、ロシアが天然ガスの供給を一部欧州の国々へ行わないことが伝えられてユーロが急落し、そして日銀による継続量的緩和の決定で日本円が20年来の低さへ下げることでドルインデックスが20年来の高さへ上昇し、ドル建てコモディティである貴金属は再び押し下げられる事となりました。

そこで、4月の月間の動きにおいてもドル建て貴金属価格はLBMA価格ベースで金が1.5%、銀が5.9%、プラチナが5.5%下げる傾向ですが、ロシアが世界の4割を産出するパラジウムは1.5%上げて終える傾向となっています。

しかし、ドルが強含んだことで、他の通貨建てにおいては金は月間ベースで上昇をしており、ポンド建てで2.9%、ユーロで3.7%、日本円では5.3%の上昇となっています。そこで、本日は日本円建て金相場の過去20年間の動きのチャートを下記に添付します。先週史上最高値のgあたり8174円を付けた後も今週堅固に8000円前後で終える傾向であることをご覧いただけます。

ブリオンボールト・リアルタイム日本円建て金価格

日々の金相場の動きと背景について

月曜日は中国が上海に続き首都北京でのロックダウンを行うというニュースで、すでに高インフレ対応のためのFRBの速いペースの利上げ懸念が広がっていた中で、中国の景気減速も懸念されて、世界株価とコモディティー価格が大きく下げたことでリスクオフの現金化も進み、金相場は心理的節目のトロイオンスあたり1900ドルを割って、終値ベースで1.7%安のトロイオンスあたり1899ドルで終えていました。

なお、同日金のETFの2大銘柄のSPDRゴールドシェアとiShareゴールドは、SPDRゴールドシェアのみが0.3%減少と小幅な動きの中、コメックスの金先物・オプションの取引高が3月15日以来の高さとなっていたことからも、派生商品市場の動きが背景と思われます。この動きの詳細は今週末発表のデータで明らかになります。

火曜日金相場はドルインデックスが2年ぶりの最高値をつける中でトロイオンスあたり1906ドルと前日終値から多少ながら上昇して終えていました。

これは、前日大幅な下げの調整もあり、長期金利も高止まりしていたことからも、ドル高の中で堅固な動きをしていました。

水曜日金相場は、ドルインデックスが5年ぶりの高さへ強含む中で、前日まで2営業日連続で下げていた米長期金利も上昇していたことから、トロイオンスあたり1873ドルと、2ヶ月ぶりの低さで終えていました。

このドルの強さは、すでにFRBのより速い利上げペースで上昇している中で、ロシアが欧州への天然ガスの供給をルーブルでの支払いを拒否した国々へ差し止めたことから、ユーロが下げたことで相対的にドルを強含めたと分析されていました。

また、中国のCovid-19の感染の拡大による景気後退により、人民元が2020年11月以来の低さへ下げていたこともドルを押し上げている要因とされていました。

木曜日金相場は、ドルインデックスが20年以来の高さへと上昇する中で、トロイオンスあたり1895ドルと上昇して終えるていました。

同日のドルの上昇は、日銀が金融政策決定会合で金融緩和を継続することが発表され、円が20年ぶりの低さへ下げたこと、FRBの積極的な引き締め姿勢、そしてボラティリティが高まる株式市場からのリスク回避姿勢が背景となっていた模様です。

そこで、金の上昇には、低値での買いもありますが、リスク回避による資金の流入も見られていました。

なお、同日円建て金相場は円が弱含んだことからも、gあたり7970円とほぼ8000円へまで上昇して終えていました。

本日金曜日金相場は、一時トロイオンスあたり1919ドルまで上昇して、ロンドン時間夕方に1908ドル前後を推移しています。

本日は市場注目の米国インフレデータの3月個人消費支出PCEデフレーターが発表され、6.6%とほぼ予想と同じ40年来の高さのもので、来週のFRBによる0.5%の利上げ観測が強まる中で米国2年物と10年物国債利回りは上昇しています。

しかし、前日の米第1四半期GDPが予想を下回る7四半期ぶりのマイナス成長であったことや本日のシカゴ購買部協会景気指数とミシガン大学消費者信頼感指数が共に予想を下回るなど、FRBによる急ペースの利上げを疑問視する声もあるようで、前日20年来の高さをつけたドルが高止まりしているものの前日比下げていることと高インフレ懸念は、金のサポートとなっているようです。

ブリオンボールト・リアルタイム・ドル建て金価格

その他の市場のニュ―ス


  • ロシア大統領府は29日、プーチン大統領が通貨ルーブル相場を金やその他の商品にペッグ(連動)させることを検討していると明らかにしたこと。

  • 銀の最新の需要・供給レポートをSilver Instituteが発表し、需給バランスは2015年以来初めて供給不足となり、今年も同様に供給不足の予想。しかし、主要中央銀行の利上げからも、年間平均価格は5%安のトロイオンスあたり23.90ドルを予想。詳細は「銀は2年連続の供給不足の予想ながら、銀価格は2022年に5%安と予想」を参照。

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、先週19 日火曜日に、FRB高官のタカ派的コメントで長期金利とドルが強含む中で、プラチナを除く全ての貴金属が強気ポジションを減少させていたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、14%減の389トンと減少していたこと。この間金価格は前々週比0.16%高。建玉においては、前週比2.4%減。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週から3.6%価格が上げる中で、3.6%減と6,420トンと減少していたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションは、前週プラチナ価格が4.6%と上昇していた際に、ネットロングへとネットショートから転換し、そのポジションは1.06トンとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットポジションは4週連続でネットショートで、47%増で1.7トンと増加していたこと。この間価格は0.34%高と3週連続で上昇していたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までの週間で8.4トン(0.8%)減で1,096トンと4月13日以来の低さで、2週ぶりの週間の減少となっていること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までの週で1.8トン(0.3%)増で520トンと3週連続の増加で、2021年2月25日以来の高さ。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに178トン(0.98%)減の17,907トンと6週ぶりの週間の減少傾向で、6営業日ぶりの低さであること。

  • 金銀比価は、週初めに81台で始まり、80台前半へと下げたものの、81台後半へと上昇して終える傾向。2021年平均は71.83で、5年平均は80.35。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消)

  • プラチナの金とのディスカウント(金との差)は、今週961ドルから993ドルの間を推移し、引き続き2020年11月以来の高い水準。2021年平均は708.82ドルで5年平均は564.76ドル。

  • プラチナとパラジウムの差であるディスカウントは、今週木曜日までに、1246ドルと1378ドルとより広い幅で動いていたこと。過去の動きはウクライナ危機で3月初旬に2000ドルを超えた水準から下げていたものの、今年1月には1000ドルを割っていたこと。

  • 上海黄金交易所(SGE)の価格はロンドン価格に対して4営業日連続でプレミアムであったものの、本日ディスカウントへ転換し、週平均は1.7ドルのプレミアムで前週の1.6ドルのディスカウントからは上昇していること。(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)昨年平均は4.94ドル。コロナ禍で特殊な動きをした2020年を除く5年平均は9ドルのプレミアム。

  • コメックスの先物・オプションの取引量は、木曜日までの週平均で前週比金で23%、銀で2%、プラチナで20%、パラジウムで134%増加し、金とプラチナは3週ぶり、パラジウムは6週ぶりの高さへ増加していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週市場は中国のCovid-19感染拡大による景気後退懸念で金融市場は大きく動いていますが、来週も引き続き、中国、ウクライナ情勢に市場は注目することとなります。

そのような中、米国の金融政策を決定するFOMC後の金融政策発表が水曜日に行われ、0.5%の利上げが確実視されていますが、金曜日の米雇用統計とともに来週の重要イベントとなります。また、木曜日にはイングランド銀行の金融政策発表が行われ、この内容も注目することなります。

その他、主要経済指標の詳細は主要経済指標(2022年5月2日~6日)をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週英国では引き続きウクライナ情勢がニュースのトップを飾っていますが、その中でも英国籍のウクライナでチャリティーの活動に参加していた2人がロシアに拘束されたことなども伝えられています。

そのような中で、英国で最も人気のスポーツであるサッカーのプレミアリーグの名門チームであるチェルシーFCの所有権獲得関連のニュースがこのひと月ほど伝えられていますのでご紹介しましょう。

ロンドンの高級住宅地チェルシーを拠点とするこのチームは、2003年にロシアの新興財閥(オリガルヒ)の一人であるロマン・アブラモビッチがオーナーとなりましたが、ロシアのウクライナ侵攻に対する主要国の経済制裁で彼の資産が凍結されたことから、チェルシーFCは売却されることとなりました。

そこで、次のオーナーとして様々な人々やグループの名前が上がっていますが、今週は英国の資産家のJim Ratcliffe氏が42億5000万ポンド(約6930億円)で購入する希望を示したことが伝えられています。

Jim Radcliffe氏は実業家でIneosという化学製品企業の創業者及び会長で、イギリス最大の資本家ともいわれています。

スポーツへの関心は高く、彼自身も南アフリカでの90キロウルトラマラソンを参加するようですが、すでにスイスのスーパーリーグの強豪チームであるFC Lausanne-Sportのオーナで、セーリングチームのIneos Team UKへ1.1億ポンド(約160億円)を投資してパートナー提携もしているとのこと。

なお、チェルシーFC購入の意向を表示したのは、他に3つのグループがあるとのことで、それぞれ約25億ポンド(約4078億円)前後を提示しているとのことです。

先週は英国航空とリバプールの元会長の英国人実業家のマーティン・ブロートンが率いるコンソシアムが名を挙げていましたが、この投資者としてF1ドライバーのルイス・ハミルトンやテニスのセリーナ・ウィリアムズが連ねていると伝えられていました。

英国の名門サッカーチームは英国企業に買収してもらいたいというのがサポーター達の声のようですが、今後もこの争奪戦は更に熾烈なものとなりそうです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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