金市場ニュース

ニュースレター(2022年1月28日)FRBのよりタカ派的スタンスで金は月間の上げ幅を失う

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1840ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から2.8%安と、2週ぶりの下げで3週ぶりの低さの水準となっています。この間銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり22.51ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から7.4%安とやはり2週ぶりの下落で、ほぼ3週ぶりの低さとなります。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では1004ドルで4%安と2週ぶりの下げで1週間ぶりの低さとなっています。

今週の金・銀・プラチナ相場の動きの概要

今週貴金属市場はFOMC後に基調を下げに転換し、金と銀は今月の上昇分をほぼ失って大きく下げることとなりました。

この背景は、FOMC後のパウエル議長の記者会見で、より速いペースの利上げ観測が示唆され、3月利上げ、その後3回の利上げを織り込んでいた市場は、さらなる利上げの可能性という不確実性が再び懸念材料となったことからでした。

そのような中でプラチナは、パラジウム同様にウクライナ情勢による供給問題懸念から下げ渋っており、金とのディスカウントを780ドル台と2ヶ月ぶりの低さへ下げていますが、銀は金より大幅に下げていることからも、金銀比価は2週ぶりの高さの80をわずかに割る水準へと上昇しています。

しかし、前週に続き世界株価のボラティリティは高まっており、機関投資家による金と銀へのポートフォリオ分散は継続している模様で、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアは先週金曜日から今週木曜日までで、2020年3月末のコロナ危機最中に現物輸送が困難となり金先物価格と現物価格がトロイオンスあたり100ドルほど乖離した週以来の高い増加量の33トンを記録し、銀ETFの最大銘柄のiShareシルバートラストも、昨年1月末のレディットユーザーによる意図的な銀価格釣り上げ時(シルバースクイーズ)以来の高さの354トンほどの増加となっていました。

そこで、今週のチャートとして、SPDRゴールドシェアとiShareシルバートラストの残高が直近でスパイクしていることがご覧いただけるチャートをそれぞれ下記に添付します。

金価格とSPDRゴールドシェアの残高の推移 出典元 LBMAとGLDデータからブリオンボールトが作成

銀価格とiShareシルバートラストの残高の推移 出典元 LBMAとiShareデータからブリオンボールトが作成

日々の金相場の動きと背景について

月曜日金相場は、世界株価が前週急落後の下げ基調を受け継ぎ下げ、ビットコインが最高値から半値に暴落し、ウクライナ情勢が悪化する中で、前週終値を上回り、ほぼ2ヶ月ぶりの高値の水準のトロイオンスあたり1842ドルで終えていました。

火曜日金相場は、米国株価が継続下げる中で、長期金利が上げ渋っていたことからも、トロイオンスあたり1853ドルと11月19日以来の高さへと上昇し、1848ドルて終えていました。

米国株価は前日ナスダック総合株価指数が一時5%下げた後に下げ幅を取り戻して終えるなど、翌日終了するFOMCのよりタカ派的スタンスとウクライナ情勢への警戒感からもボラティリティを増し、市場のボラティリティを示すVix指数は前日15ヶ月ぶりの高さの39%へと上げていたことからも、金の安全資産の需要が高まっていました。

水曜日金相場は、FOMC後の金融政策声明と記者会見を待つ中で、トロイオンスあたり1830ドルと前日終値比1%安と下げて推移していました。

その後、発表されたFOMC声明を市場が消化する中で、パウエル議長の記者会見中に長期金利ががほぼ10bp上昇し、ドルも強含んだことで、株価と共に金価格もトロイオンスあたり30ドルほど急落して、前日比1.5%安の1820ドルで終えていました。

このタカ派的と取られたポイントは、金融政策はFFレートは0.25%と全会一致で据え置かれたものの、予想されている3月の利上げを準備が整っているとした上で、その後のより頻繁な利上げと一回あたり25bp以上の幅の利上げも否定されなかったことからでした。

木曜日金相場は、前日のFOMC後の声明及び記者会見後の下げ基調を受け継ぐ中で、発表された米経済指標が良好であったことで、FRBによるより速いペースの利上げと量的緩和縮小観測が広がり、トロイオンスあたり1793ドルと1月10日以来の低さへ一時下げて、1797ドルで終えていました。

同日発表された経済指標は、米第4四半期GDPで予想の5.5%を上回る6.9%と前四半期の2.3%も大きく上回り、37年ぶりとなっていました。

本日金曜日金相場は、長期金利とドルは、それぞれ今週の2年ぶり、1年半ぶりの高さから多少下げているものの高止まりをする中で、FOMC後以来の下げ基調を受け継いで、6週ぶりの低さのトロイオンスあたり1783ドル前後を推移しています。

本日も、発表されたFRBがインフレ指標として注目している米個人消費支出(PCE)が予想に沿って40年ぶりの高さとなっていたことも、FRBのよりタカ派的金融政策観測を広げて、金を押し下げている模様です。

ブリオンボールト・リアルタイム金価格チャート

その他の市場のニュ―ス


  • 本日ワールドゴールドカウンシルが発表した最新2021年金需給レポートで、金の需要は前年比10%増加したにもかかわらず、投資需要はETFからの資金流出で43%減となっていたこと。

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、先週18日火曜日までの週で、金とプラチナは強気ポジションを減少させ、銀とプラチナは強気ポジションを増加させていたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、3.8%減の263トンと3週連続で減少して4週ぶりの低さとなっていたこと。この間、金価格は前々週比0.6%高。建玉においては、前週に7週ぶりに増加した後に再び減少していたものの、前年平均を上回っていたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週銀価格が前々週比1.5%上昇していた際に、33%増で3,706トンと6週ぶりの高さとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションは、前週プラチナ価格が3.7%前々週比上昇していた際に、7週連続のネットショートであったものの、62%減で2トンと、6週ぶりの低さへ減少していたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットポジションは19週連続でネットショートで、13%増の8.8トンとなっていたこと。この間パラジウム価格は0.6%の下げを記録。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までの週間で5.8トン(0.6%)増で1,014トンと、2週間の増加傾向であること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までの週間で2.25トン(0.46%)減で490トンと、週間で4週ぶりの減少傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに354トン(2.17%)増で16,640トンと、4週ぶりの週間の増加傾向であること。そして、この週間の増加量は、昨年のレディットユーザーによるシルバースクイーズ(機関投資家のショートを巻き戻させるために大量の銀を購入して価格を上昇させる)以来の高さ。

  • 金銀比価は、76台で始まり79台まで上げて終える傾向。2021年平均は71.83で、5年平均は80.35。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消)

  • プラチナの金とのディスカウント(金との差)は、今週820強から始まり、780台で終える傾向。2021年平均は708.82で5年平均は564.76。

  • 上海黄金交易所(SGE)の価格はロンドン価格に対して今週プレミアムで、人民元が対ドル強含む中で、週間の平均が5.74と前週の5.99ドルから下げていたものの、来週の旧正月の一週間の休暇を前に6を割る水準で安定していること。(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)昨年平均は4.94ドル。コロナ禍で特殊な動きをした2020年を除く5年平均は9ドルのプレミアム。

  • コメックスの金、銀、プラチナの先物・オプションの取引量は、今週FOMC後に金価格が6週、銀が3週、プラチナが1週ぶりの低さへ下げる中で、週平均で金は前週の2ヶ月ぶりの高さをほぼ維持する中で、銀とプラチナはそれぞれ2ヶ月ぶり、4ヶ月ぶりの高さから16%と23%減少していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週は昨夜のFOMCの結果を市場が注目し、よりタカ派的との判断で大きく動いていますが、来週も主要中央銀行とその金融政策に影響を与える指標が重要となります。

そこで、来週木曜日のイングランド銀行と欧州中央銀行の金融政策発表、金曜日発表の米雇用統計へ市場は注目し、その他、火曜日の主要国製造業PMIと米ISM製造業景況指数、水曜日のユーロ圏の卸売及び消費者物価指数、米国のADP雇用統計、木曜日の主要国のサービス部門PMI、米新規失業保険申請件数とISM非製造業景況指数などとなります。

詳細は主要経済指標(2022年1月31日~2月4日)をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週も英国では、ここですでにお伝えしたロックダウン中に首相官邸を含む官庁で行われていたとされるパーティ問題が、内閣府主導の内部調査に加えて、警察の捜査対象となったこと、緊張が高まるウクライナ情勢、エリザベス女王の次男アンドリュー王子の性的虐待訴訟関連等が日々トップニュースで伝えられています。

そのような中、昨年の言葉にもなったNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)関連のニュースが伝えられていましたので、ご紹介しましょう。

NFTは、暗号資産を支える基盤技術のブロックチェーン上で記録される代替不可能なデータ単位で、オンラインデータの所有者を公的に証明できるものとされています。

昨年3月には、ツイッターの当時CEOのジャック・ドーシー氏が16年前に投稿した初ツィートをNFTとして競売にかけて、291万ドル(約3億円)相当で落札されていたことが伝えられていました。

今週話題となっていたのは、故ジョン・レノンの長男のジュリアン・レノン氏が、父親から送られたギターや「ヘイ・ジュード」の作曲時のメモなど、ビートルズゆかりの記念品をオークションにNFTとして出品したことでした。

つまり、現物はジュリアン・レノン氏が引き続き保有するものの、商品の画像をNFTで受け取るということとなります。

すでに今週25日時点で、先の「ヘイ・ジュード」ののメモへは5万ドル(約570万円)の入札が行われているとのこと。

NFTは複製や再配布が不可能なために絵画や彫刻と行った美術品と同じような希少性が生まれるとのことですが、先週から暗号資産の代表的な仮想通貨のビットコインは昨年11月の最高値から半値に急落するなど、ボラティリティの高さが再び際立っていました。

暗号資産やブロックチェーン技術は今後消えることはなく、どのような形で社会で生かされていくのかが重要と考えます。そこで、NFTが今後投資資産としてより一般的に認識されることになるのか等、興味をそそられるニュースとなりました。

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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