金市場ニュース

ニュースレター(2021年7月30日)FOMC後に利上げ観測が後退し、金は2週ぶりの高さへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1825ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から1.4%高と上昇し、2週ぶりの高さとなっています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり25.51ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から1.4%高で、やはりほぼ2週ぶりの高さとなっています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では1042ドルと、前週LBMA価格から3.0%安でほぼ一月ぶりの低さへと下げています。

今週の金・銀・プラチナ相場の動きの概要

今週市場は水曜日のFOMC終了後の発表とパウエルFRB議長の記者会見を待つ中で、狭いレンジで推移していましたが、発表後近い将来の金利引き上げは無いという観測が広がり、ドルが5月以来の週間の下げ幅を記録し、実質金利が史上最低値を付け得る中で、貴金属は全般上昇することとなりました。

参考までに、金価格と実質金利のチャートを下記に添付します。ここで、ほぼこの2つが逆相関であることがご覧いただけます。

金価格と実質金利のチャート 出典元 セントルイス連銀

このため、金は6月の7.2%という5年ぶりの大きな下げのほぼ半分を取り戻していますが、銀は前月の7.9%の下げに加えて今月未だ2.5%下げ、プラチナは前月の8.9%の下げ幅を今月3.4%下げと広げています。

これは、今月に入りデルタ変異種の感染拡大で経済の早期回復への懸念が広がり、また中国の規制強化も工業用途の需要が6割ほどと高い銀とプラチナのセンチメントを悪化させているもようです。

それに加えて、プラチナは自動車の排ガス触媒の需要の高さからも、半導体チップ不足の自動車生産減少、南アフリカの暴動によるランド安も影響している模様です。

日々の金相場の動きと背景について

週明け月曜日、今週はFOMCが火曜日と水曜日に控えていた中で、本日も先週に引き続きトロイオンスあたり1800ドルを挟むレンジ内での取引となっていました。

この背景として、先月のタカ派的FOMC以来1750ドルから1850ドルレンジを抜けていないこと、そのために新たなきっかけが必要であると分析されていました。

またコメックスの金先物・オプションのネットロングポジションが5年平均を割る低い水準で、金のETFもこの4週ほどは主要銘柄で資金流入が見られていないことからも、機関投資家の金センチメントも弱気なものとなっているようでした。

火曜日金相場は、中国の規制強化への懸念から香港株と上海株が連日で大幅安となり、センチメントの悪化で世界の主要株価が下げル中で、ドルは前日比弱含み、長期金利も下げていることから、直近のレンジ内ではあるもののトロイオンスあたり1800ドル前後を堅固に推移していました。

なお、前日実質金利はマイナス1.12%を超えて史上最低値を記録し、金のサポートとなっていました。

水曜日金相場はロンドン時間夕方のFOMCを待つ中でほぼトロイオンスあたり1800ドルを挟む直近のレンジ内となっていました。

そして、FOMC後は10ドルほど下げて15ドル上昇して1809ドルで終えていました。

FOMCとその後の記者会見では、金利及び量的緩和は現状維持で、インフレは引き続き「一時的」とし、量的緩和縮小の開始は「今後複数の会合で経済情勢の進歩を確認する」というもので、想定内という判断となっていました。

木曜日金相場は、実質金利がマイナス1.17%と過去最低へと下げ、ドルが弱含む中で、一時トロイオンスあたり1832ドルへと1.3%ほど大きく上昇し、1830ドルで終えていました。

これは、前日のFOMCの結果とパウエルFRB議長の記者会見の内容が消化される中で、金利引き上げは近くないと市場が判断したことが背景となっていました。

また、同日発表された米GDPが予想を下回り、新規失業保険申請件数も予想を上回ったことも、先の観測を広げていました。

金曜日金相場は、前日1.3%ほど大きく上昇したことからも、高値の売りもでている模様で、その上げ幅を多少戻しながら、トロイオンスあたり1825ドルまで下げて推移しています。

また、本日発表の米国個人所得、個人消費支出、シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者態度指数が予想を上回っていたことからも、FRB金融緩和縮小観測を多少広げ、ドルが多少強含んだことが背景となっているようです。

ブリオンボールト・リアルタイム金価格チャート

その他の市場のニュ―ス

  • 第2四半期の世界の金需給レポートがワールドゴールドカウンシルによって今週発表され、需要が955.1トンと前年同期比-1%とほぼ同レベルであったものの、上半期は第1四半期の金のETFからの資金流出からも10%下げていたこと。
  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週20日に、前日の株価の急落が落ち着き、長期金利と米ドルが多少下げる中で、金を除く貴金属は減少していたこと。
  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、5.7%増の338トンと、3週連続で4週ぶりの高さに増加していたこと。また、建玉は2週ぶりに減少していたこと。
  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比24.3%減の4,082トンと2週連続で減少し、4月6日以来の低さとなっていたこと。
  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比1.1%減で13.2トンと3週連続で減少し、2020年11月17日以来の低さへ減少していたこと。
  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比29%減で7.9トンと3週ぶりに減少していたこと。
  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、木曜日に6月28日以来初めて増加し、週間で4.1トン(0.4%)増加し、5週ぶりに週間の増加となっていたこと。
  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高も、木曜日に6月22日以来の増加で、週間でも0.83トン(0.17%)増と4週ぶりの増加となっていたこと。
  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までで週間で98トン(0.57%)減少し17,178トンと、昨年12月16日以来の低さで、前週6週ぶりの週間の増加後、再び減少の傾向となっていること。
  • 金銀比価は、今週水曜日に中国の規制強化への懸念でアジア株が下げて金融市場が下げた際に72と6ヶ月ぶりの銀割安傾向となった後で週後半に71へと下げて推移していること。
  • 上海黄金交易所(SGE)の価格は、ロンドン価格に対し、プレミアム(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)で、週間平均は2.86ドルと前週の2.12ドルから増加していたこと。
  • コメックスの金、銀、プラチナの先物の取引量は、プラチナ以外は週間で増加し、金は9週ぶり、銀は3週ぶりの高さで、プラチナは15週ぶりの低さへ下げていたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週はFOMCの結果で市場センチメントが多少変わったようです。そこで、来週も中央銀行の政策に影響を与える指標とイベントが注目され、重要と見られるのは、金曜日の米雇用統計とその先行指標の水曜日のADP全国雇用者数、そして木曜日のイングランド銀行政策金利発表となります。

その他指標では、月曜日の中国のCaixin製造業PMI、ドイツ、ユーロ圏、英国の製造業PMIと米国のISM製造業景況指数、火曜日の中国のサービス部門PMI、ドイツと英国と米国のサービス部門PMIと米国ISM非製造業景況指数、木曜日の新規失業保険申請件数等となります。

詳細は主要経済指標(2021年8月2日~6日)でご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週英国では、19日に新型コロナウィルスの規制が全て解除されたにもかかわらず、27日までで7日連続感染者数が減少し、昨日は増加に転じたようですが4万人から2万人ほど減少していたことが伝えられていました。

そのような中で、日々東京オリンピックの英国選手の活躍ぶりが大きく伝えられています。

本日も6つのメダルが獲得され、金が6個、銀が9個、銅が9個と総計24個のメダルで、中国、日本、米国、ロシア(ROC)、オーストラリアに次ぐ数となっています。

これは、オリンピック開始7日間で得たメダル数としては、リオとロンドンオリンピックも超えるもので、1908年以来の数であるようです。

本日はBMXという2008年北京オリンピックから正式種目として採用された自転車競技の女子決勝でBeth Shrieverが金メダルを、Kye Whyteが男子決勝で銀メダル、水泳の男子200メートルメドレーで銀、平泳ぎ男子200メートルで銅、トランポリンで銅、ボートの8人乗り(エイト)でも銅を獲得しています。

ちなみに、本来ボート競技は英国のお家芸とも言えるもので、1984年のオリンピック以来リオオリンピックまで常に金メダルを獲得し、歴代米国とドイツに次ぐ270個のメダル数となっていたのですが、今回のオリンピックでは金メダルは取れず、銀と銅が一つずつとかなりの不振と言われています。

それに対して、マウンテンバイク種目では初めてクロスカントリーで金メダルを取るなど、新たなスポーツでの強さも見せています。

期待されたメダルを取れなかったことで落胆する選手、そしてメダル候補と見られていない中で最高の結果を残し素晴らしい笑顔を見せる選手等、このオリンピックも様々なドラマを見せて、私を含めて多くの人々を魅了しているようです。

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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