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金価格ディリーレポート(2021年7月26日)FOMCを前に、コメックスのネットロングは5年平均を下回り、金はレンジ内で動意薄

金価格が先月のFOMC以来レンジ内で推移しています。
 
今週火曜日と水曜日に開催される米連邦準備制度理事会(FRB)を前に、コメックスの投機家のポジションが過去5年平均値を下回り、金のETFが資金流出を続けていることからも、金価格は月曜日ロンドン時間昼過ぎに、先週のトロイオンスあたり1800ドルを中心とした狭いレンジ内にとどまっていました。
 
米ドルも3.5ヶ月ぶりの高値圏で推移し、ほとんど変化がありませんでした。
 
一方、米国債は上昇し、10年債利回りは1.25%と下げ、先週月曜日につけた5ヶ月ぶりの低水準で推移していました。この先週の動きは、 デルタ変異種の感染拡大が世界経済の成長見通しに対する不確実性を高めていたことからでした。
 
金のスポット価格は0.1%上昇して1804ドルとなっていました。しかし、金価格は先月のFOMCの タカ派的内容による急落以来とどまっている1750ドルと1850ドルのレンジ内の動きとなっていました。
 
スイスの精製・金融グループであるMKSパンプのトレーディングノートによると、「金は依然としてNo-man's land(不明確な領域)にいる」とのこと。
 
「新たなきっかけが現れない限り、価格が動意づくことはないだろう。」と続けていました。
 
スタンダード・チャータードのアナリスト、スキ・クーパー氏は、「金価格は下降局面で 現物市場からの堅固なサポートを得ているが、投機的なポジショニングが依然として薄いため、勢いを増すのに苦労している」と語っていました。
 
最新のデータによると、ヘッジファンドをはじめとするレバレッジの効いた投機家のコメックス金先物・オプションのポジションは、7月20日までの週に強気ポジションは変わらなかったものの、弱気ポジションは3週連続で減少していました。
 
この結果、資金運用業者のネット・ロング・ポジションは、5週間で最大の規模となっていました。しかし、このポジションは5年平均を13%下回り、過去のピークである2019年9月を63%下回っていました。
 
コメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションと金の動き 出典元 CFTCデータからブリオンボールトが作成
 
また、金を裏付けとする上場投資信託(ETF)は先週、最大銘柄のSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)が5週連続で週間の資金流出が見られ、第2規模のiShareゴールド(NYSEArca: IAU)は、4週間にわたってネットの資金流入が無い等、資金流入の傾向が見られていません。
 
そのような中、本日の欧州株式市場は、 中国の金融規制強化への懸念からアジア市場が下落したのに続き、金曜日の史上最高値から下落していました。
 
また、今週企業の決算発表多く発表されることを前に、米国の株式先物は月曜日午前中に下落していました。
 
なお、今週四半期決算を発表する企業は、フェイスブック、テスラ、アップル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾンなどを含むS&P500社の3分の1以上となっています。
 
政治面では、3月にアラスカで行われた最初の会合がほとんど成果のないまま終わったことを受けて、米国と中国の政府関係者が本日、北京郊外の中国・天津でハイレベル協議を開始しました。
 
中国外交部の英文プレスリリースによると、中国の謝鋒外務次官は、シャーマン米国務副長官との会談で、両国の関係は「現在、 膠着状態にあり、深刻な困難に直面している」と伝えられていました。
 
中国の上海金取引所の金価格は、ロンドン市場に対して若干のプレミアムを示しており、金の世界最大の消費国への新規輸入に対するインセンティブは、先週の5ドルから2ドル強に下げ、長期的な平均では8ドルを下回っていました。
 
ユーロ建て金価格は、ユーロが対米ドルで3.5ヶ月ぶりの低水準から上昇し、ドイツのベンチマークである10年債利回りが年率-0.45%と最近5ヶ月の低水準に戻る中で、トロイオンスあたり1530ユーロと前週終値から横ばいとなっていました。
 
英国ポンド建て金価格は、政府が直近の新型コロナウィルスのロックダウン規制の大半を緩和後に、Covid-19の感染者数が6ヶ月間の最高値から継続的に減少する中で、0.2%安のトロイオンスあたり1312ポンドとなっていました。
 
この英国におけるCovid-19の新たな感染者数は、2月以来初めて5日連続で減少し、パンデミック以来、感染者数の継続的な減少が記録されたのは、全国的なロックダウンが行われていなかった際には初めてのことでした。
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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